9/10 希死念慮くん

 9月10日。充電切れ。


 午前中。ふと目が覚めて、一人でいることに恐怖を覚える。

 逃げるように寝て、12時になる。頭が痛い。


 お昼ご飯を食べて、また、ベッドに沈む。

 何もできずにただ寝ている間、頭ではやっぱり色んなことを考える。家具を処理すること。日用品をまとめて捨てること。荷物をまとめること。本の発送のためのカバーかけ、ペーパーバックの印刷、梱包、郵送。役所の手続き。部屋を明け渡すためのあれこれ。


 死んだら全部なくなるんだよな、と考えると、意識がそちらに持っていかれる。


 死んだら面倒ごとからは全て解放される。ひとりで生活していくことへの挫折も、すねをかじりに戻るという事実も、何に関してもろくに結果を出せない苦しさも、自分への情けなさも、全部から自由になる。


 失敗したら面倒なことになるのは変わりないんだよな、今健康保険入ってないし、と思って、少しだけ冷静になるけれど。気づいたら「死にたい」で頭がいっぱいになっている。


 ひとりでいると、むやみに寂しい。部屋の中にいると、ソファに座っていても、ベッドに寝っ転がっていても、椅子に座っていても、全部を手放す事実を突きつけられる。椅子も、デスクも、一人掛けのソファも、ベッドも、サイトを眺めたり店舗に行ったりして、よく吟味して選んだものだった。部屋の中は私の城だった。

 本を手放さなくていいことだけは救いだけれど、逆に、本と本棚と最低限の衣類以外のほとんどを私は手放すことになる。自分の生活してきた痕跡をすべて捨ててしまうことになる。


 自立した女になりたいと思っていた。自分ひとりで生活できるだけの力がほしかった。それが、家具を処理することで、人に依存しないと生きていけない状態へ戻ることを嫌でもつきつけられた。


 自分が情けなくて泣きそうだった。

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