8/27 「逃げる」コマンドばかり選んできた人生
8月27日。私は逃げた。しかしまわりこまれてしまった。
お医者さんに責任転嫁をして逃げるつもりだった。ドクターストップがかかったのでと。自分の意志を示さないことで、角を立てずにどうにかするつもりだった。
けど、面談が始まって、開口一番に言われた台詞は、こうだった。
「君はどうしたいの?」
自分の意志がどこにあるかは、自分でもよくわからなかった。
仕事そのものは楽しかった。今日は授業準備の日だったのだけれど、授業をするために用意していたものを見て悲しくなった。こんなにがんばるつもりだったのになあ、私。
これは過去形でも現在形でもある。
迷いはある。このまま辞めていいのか。続けることもできなくはないんじゃないか。けれど、そのまま居続けていいのか。
揺れているところを、直球で貫かれた。
相手だって馬鹿じゃない。社会経験が赤ちゃんみたいな私の考えていることなんてきっと見抜いているのだろう。見抜いたうえで、どうすれば揺さぶれるのか熟知している。
私がどうしたいのか。私が一番わからない。というか、わかっていて見ないふりをしている。だから、自分の気持ちを正直に打ち明けることができない。人に手の内を明かすのが怖い。自分の本心を晒すことが怖い。
私がとった選択肢は「泣く」だった。職場で泣きだせばやばい精神状態だと思ってもらえるかもしれないという打算もあった。泣こう泣こうとしなくても涙は出てきた。さほど効果はなかった。相手は慰めるつもりで色んなことを言った。
「つらいことは誰にでもあるから、君だけじゃないから」
「若い時は僕だって色々悩んだし」
「いろんな人の意見を聞くことも大事だから」
「お金の問題だってあると思うし」
「もし君が体調悪くなってもフォローはできるから」
結果として結論は告げられなかった。泣くだけ泣いて「答えは29日までに出してね」と面談はお開きになった。私は結論を言えずに逃げた。文字通り逃げ帰った。これ以上職場にいれる気がしなくて早退した。
思えば私の人生、逃げてばかりだなあ。
中学のとき、部活から逃げて。大学生になって親から逃げて。今は、職場から逃げようとしている。
「逃げる」コマンドばかり選んできた人生。
しかしまわりこまれてしまった。
もう「自分の意志を伝えること」からは逃げられない。
結論を伝えなければならない。
結局逃げ帰ることしかできなかった自分に嫌気がさす。これじゃ問題を先延ばしにしただけだ。
つらい。しんどい。自分が嫌いで仕方ない。
何も考えられない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます