第3話 俺
俺の中学ではカップルが通学バックに
お互いの名札を付けるのが流行っていたが、
ナツと付き合う前からそれが理解できなかった。
見せつけているみたいでなんか嫌だった。
ただ彼女がいないからひがんでんのかな?
とか考えてたが、彼女が出来ても変わらなかった。
ナツから名札交換のことを言ってこないことでくれ
どこかでそう願っていた。
彼女のしたいことをしてあげたい気持ちと
理解できないことをしたくない気持ち。
もしナツに交換したいと言われたら
断れる自信はなかったけど、
どこかで嫌だなと思いながら付けるのは
ナツに失礼やと思った。
だから、言わんといてくれ。
そんなことを考えていると
付き合うって嫌なことも我慢してすんの?
やっぱり俺にはまだ難しかったんじゃね?
とかいらんこと考えてしまう。
悶々とした俺をよそに
友達の時と何も変わらない毎日が過ぎた。
クラスが違うから部活でしか会えないし、
男子と女子では練習メニューが違う。
ナツとのコミュニケーションは部活での
たわいない会話。
しかも2人で話すことはほぼなかった。
まあそりゃそうだよな、
部活なんてみんなでやってんだから。
ふと意識が飛ぶ瞬間に、
え?俺、彼女いるよな?
自問自答を繰り返すようになった。
え?あれ夢?妄想?
ナツの考えてることがわからん。
いや、待ってたらあかんのか?
彼氏ってなんかしなきゃあかんのか?
俺初心者やねん、どうしよ、
よっしゃ、声かけるか!でも、
なんて声かける?
なんで話しかけてこやんかったん?とか
なんでなんも言ってこやんの?とか
…いや、ちゃうやろ、絶対ちゃうわ、これ。
なんかしたいならお前から言えや!って感じやん
んーーーわからん。もう考えんのめんどくさい。
.
.
.
結局俺から何も動けず、
ナツが声をかけてきてくれたのは
今年最後の11月の大会中だった。
雨の日の思い出 @NONAKI
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