35話 人殺しと殺し屋

太陽の光すら遮るほどに深い森。その森の中を、一人の男が走っていた。男の右腕は義手になっており、その手には巨大なガトリングガンが握られていた。男は木の陰に隠れながら様子を伺っている。木の上から襲撃される可能性があるため、終始男は木の上を確認していた。

そして、男の予想は当たっていた。木の上からガサガサッと音がした。


「!」


男は警戒して音がした後にガトリングを向ける。辺り一面森のため、天を仰げば一面葉だらけだ。どこから来てもおかしくないと男は判断し、天を仰ぎながら周囲を警戒する。風が一瞬だけぴたりと止まった時だった。

二時の方角から人影が落ちた。ヴィクトルだった。ヴィクトルは銃を男に向けて乱射する。男は身を翻して回避し、ヴィクトルに向けてガトリングをぶっ放す。ヴィクトルは走りながら避け、距離を縮めたところで跳躍して回し蹴りを繰り出す。男は義手でそれを受け止めた。ヴィクトルは一旦後退し、銃を構えた。男も同じように発砲せずに構える。お互い円を描くように歩きだし、警戒する。緊張感が走る、一触即発の空気。二分ほどそれが続いた時だった。先に空気を壊したのは、ヴィクトルだった。ヴィクトルが発砲すると、その一発は男の顔すれすれを掠って木に当たった。わずかに男の視線がヴィクトルから逸れた。ほんのわずか。その一瞬の隙を狙ったヴィクトルは、距離を一気に縮めて男の頭を蹴り飛ばした。


「がはっ……!?」


油断を突かれた男はほぼ無防備状態だ。ヴィクトルは男の頭を狙って発砲した。たった一撃で、勝負は決したのだった。



「ヴィクトルさん! まずは一勝、おめでとうございます! すごい戦いでしたよ!」


帰って来たヴィクトルを祐介が褒め称えた。


「さすがは軍警副官兼スペシャルコップですね! 何と言うか、身のこなしがすごかったと言うか!」

「大したことではない。あれくらい呼吸みたいなもんだ」


と言っているヴィクトルだったが、まんざらでもないのかどこか嬉しそうだった。


「お疲れ、ヴィクトル」


ハーツはヴィクトルにベクタの実を渡した。


「ああ。アルマは?」

「もう行った。例の殺し屋、ブルーローズが相手だ」

「そうか……」


ベクタの実を飲み込んだヴィクトルは、モニターに目を向ける。


「まあ、あいつのことだ。負けたとしても生き延びはするだろうな」


「……」


どこか浮かない顔のハーツをヴィクトルは見逃さなかった。


「……? らしくない顔だな?」

「いや……あの堂島って奴と戦った後から、アルマ……なんか追い詰めたような感じでな……」

「大空が攫われたんだ。そうなるのも当然だろう?」

「そうだろうか……」


終始ハーツの表情は晴れず、ヴィクトルはどこか違和感を感じていた。



真っ暗な空間で莉央はその瞬間を待っていた。目の前にはモニターがあり、『Alma VS Blue Rose』と表記されている。


「……まさかあいつとぶつかるとはな」


莉央はそうつぶやく。すでに莉央は前戦で一勝しており、ここを勝てば本戦進出確定。負けてもまだ一回のチャンスは残っており、かなり余裕のある状態だ。


(あいつの事情はわからねえ……が、だからって手を抜くわけにはいかない。死伝天使。そいつを殺すまでは死なねえ)


カウントダウンがゼロになった。景色が変わっていく。莉央の初期配置は、高速線の様な場所だ。アスファルトの道路は所々が抉れてあり、至る所に廃車が倒れている。振り返ると、すぐ背後に格子状のバリアみたいなのが張られていた。おそらくあそこが仮想空間の端っこで、あの向こう側には移動できないように設定されていることを莉央は知っていた。莉央は周囲を確認する。するとすぐ近くに、二段形式の高速バスがあった。倒れていないため潜むにはちょうど良かった。


「……あそこがいいな」


莉央はバスに乗り込み、二階へ上がる。二階部分の最前席がある通路に寝そべり、デグチャレフを通路の上にセットした。スコープを開き、莉央は前方を確認する。


(あいつの行動パターンは二つ……一つは、物陰に隠れながら移動。もう一つは、隠れずかわす前提で突き進む。どっちにせよ姿が丸見えになったところで一発。後者の場合は敢えて外して油断させたところで撃つ。あいつは完全な超近接タイプ。近づかれてナイフや銃で迎え撃ったとしても勝ち目はない。距離を取って短期で終わらせてやる……)


莉央は引き金を引く動作を繰り返し、タイミングを調節する。ふと、莉央はある違和感を覚えた。


(……そういや俺、何であいつにこだわってんだ……? 他人のことなんてどうでもいいって思ってたのに……)


考えていると、莉央の頭に浮かんだのは、あの真っ青な顔をしたアルマだった。あの顔には見覚えがあった。


(あいつが棚田沙羅に似てるから……? あいつも常に何かに怯えているし……いや、違うな。あいつからはまだ絶望感を感じない。大事な人って奴のために抗っている。じゃあ……何でこんなにも目が離せないんだ……?)


疑問が膨れ上がろうとした時だった。前方に人影が見えてきた。


「!」


アルマだと確信した莉央は警戒し、引き金に人差し指をかける。スコープレンズ越しに見えるアルマが、ゆっくりとこちらに向かって歩いて来る。


「……!?」


姿がはっきり見えてくると、莉央は絶句した。

その場で立ち止まったアルマは、換装していない。ほぼ無防備状態だったのだ。しかもあの様子は明らかに撃ってこいとでも言っているような感じだった。考えていた二パターンのどちらにも当てはまらない。


(かわす気がねえ、だと……!?)


莉央は予想が外れたことに対して動揺するが、徐々にそれは怒りに変わっていく。何故なら今のアルマの態度は、戦うことを放棄しているのも同様だからだ。


「ふ……ふ……」


莉央は怒りで震えながらも、力強く絶叫した。


「ふざけてんじゃねええぞてめええええっ!!」


怒りに任せて莉央は引き金を引いた。前方の窓ガラスを突き破り、弾丸がアルマに向かって一直線に走る。しかし、それは外れて廃車に当たった。銃弾に当たった廃車は爆発した。爆風がアルマの髪を撫でる。


「……っ!!」


やけくそになった莉央は発砲を続ける。だがどの一発もアルマには当たらない。掠りすらもしない。アルマはそんな莉央を真顔で見つめる。その目からは戦う意志は感じられない。


「くっ……!!」


耐えきれなくなった莉央はバスから降り、アルマに向かって走りだす。彼との距離が二メートルに縮まったところで、莉央はデグチャレフをアルマに向けた。


「おい! 一体どういうつもりだ!? まだ初戦のダメージが残ってんのか!? それとも、まさか俺と戦いたくないとでも言うのか!?」


莉央の問いにアルマは答えず、ただ莉央を見つめ続ける。その態度が余計に莉央の癪に触った。


「何か言ったらどうなんだよっ!?」

「……まだ一回チャンスは残ってる。オレはそこに賭けようと思う」

「だったら、リタイアしたらどうなんだ!? もう条件はクリアされてるはずだ!! できないならそれまで俺に向けて降参でもなんでもすりゃいい話じゃねーか!! まさか、わざと撃たれれば俺が満足するとでも!? ……お前の事情も、考えも、知ったこっちゃねえ!! でも、それに俺を勝手に巻き込むんじゃねーよ!! お前の自分勝手な考えを、俺に押しつけるなっ!!」

「!」


莉央の怒りの込められた主張に、アルマははっとした。動機は不明だが莉央は全力でこの勝負に挑んでいる。今自分がしていることは、莉央の全力を踏み躙っていることだ。美香の救出とヨシタダと死伝天使から言われたことで頭がいっぱいいっぱいだったとはいえ、さすがに悪いことをしてしまった。


(馬鹿だオレは……!! リオは全力で戦おうとしてんのに……!! 自分の価値観を押しつけてた……!!)


深く反省したアルマは、顔を歪めた後きっと真面目な顔に切り替えた。


「悪い!」


アルマは莉央に向けて頭を下げた。


「あ……!?」

「自分のことで頭がいっぱいだった! だよな……いくらなんでもお前に押しつけるのはナシだよな……なあ、今からでもやり直すことってできるか?」

「はあ……?」


急に態度が変わり、莉央は若干困惑している。


「銃の弾、ちょっとくれるか?」


アルマは莉央に向かって手を差し出す。


「……何に使うんだよ?」

「いいから!」


訝しむ莉央だったが、とりあえず飲むことにした。弾をリロードし、火薬が空になった弾をアルマに向かって投げた。それを手で受け止めるアルマ。


「そっち、あと何回撃てる?」

「……デグチャレフはあと一発だけ。こっちの銃はさっき弾抜いたからあと三発」

「じゃあ、決闘スタイルでいこう。オレは今からお前から十メートルくらいは離れる。で、オレがこの弾を空に投げる。弾が地面に着いたら勝負開始。互いに一発で決めるってのはどうだ?」


決闘としては理にかなっている。しかし、莉央は腑に落ちていなかった。


「お前……このデグチャレフを甘く見ているな? 自慢じゃねえけど、こいつは絶対に外さない。十メートルなんてほぼほぼ必中みたいなもんだ。発射速度からして回避も不可能だぞ?」

「んなもんやってみなきゃわかんないだろ?」


不敵な笑みを浮かべるアルマ。そんな彼を莉央は不審そうに見つめる。


(こいつ……何か考えがある……? 明らかにこいつは頭で考えるタイプではないはず……そんな奴が一体何を……)


疑問に思いつつも確かめてみたい。莉央はそう決断することにした。


「……わかった。戦うことを放棄しなかったその意を見越して、お前のその要求は飲んでやる」

「サンキュ!」


アルマは莉央に背を向けて離れていく。宣言通り距離が十メートルくらいになると、莉央に体を向けて空弾をコイントスの要領で親指の上に乗せた。莉央はデグチャレフを構え、スコープレンズ越しにアルマを見つめる。


「じゃ……行くぞ」


アルマは弾を指で弾いた。弾は真上に高く飛び上がる。弾が空中に浮遊している間、アルマはチョーカーに触れて変身し、すぐさま構えた。

ゆっくりと弾が地面に向かって落ちていく。その間だけ、時間がゆっくりになるような感覚がした。


(いきなり心臓部を撃つのもあれだ……肩を撃って怯んだところを狙うか……)


莉央は視線をアルマの右肩に移した。

そして、弾がチャリーンと音を立てて地に落ちた。その音が聞こえた直後、莉央は引き金を引いた。弾丸は凄まじいスピードで放たれた。速度、方向、共に狂いなし。外すことはないと莉央は確信していた。弾丸がアルマに迫った時だった。

アルマは右肩を引いて回避した。弾丸は遠くを過ぎていってしまった。


──馬鹿な、ありえない!!


避けられたことに莉央は驚愕し、狼狽えた。弾丸を避けた直後、アルマは片足に力を入れて、莉央に向かって真っ直ぐに、一気に加速してきた。


「!!」


すぐさま莉央は腰元の銃を取り、三発全て撃つ。三発中二発がアルマの頬と右腕を掠った。まるで避けるつもりもないかのように、アルマはただひたすら真っ直ぐ走る。アルマが拳を後ろに引く。


「くっ……!!」


動揺した莉央は袖口からナイフを出すが、顔面すれすれにアルマの拳が突き出された。


「……っ!?」


顔に当たりはしなかったが、当たったら明らかに顔面潰れるくらいの威力だと莉央はなんとなく悟った。袖口に仕込んでいたナイフが落ちた。アルマは腕を引くと、莉央を冷静に見据える。


「……何故、肩を狙うとわかった……?」


莉央は小さく震える声でアルマに問いかけた。


「反則かもしんないけどよ、その銃のレンズ越しにお前の目が見えた。視線でなんとなく肩狙うだろーなって」

「は……!?」


莉央はアルマの返答からすぐさま考察する。


(視線から狙いを読んだってのか……!? そんなこと……いや、できる……! 奴は機械人……顔面も機械化されているなら、眼球がレンズになっているはず……それを拡大してみれば、視線を読むこと自体はできる……いや、だとしたらじゃああれはっ? それができるならさっきの三発だって難なく避けることだってできるはず……! なのにあいつは避ける素振りすらなかった……! デグチャレフほど威力はないにせよ、心臓や脳に当たれば即死だって可能だ……! じゃなくても、何かしらの負傷はする……! 問題ないからとでも言うのか……!?)

「……だよ」

「うん?」

「何……なんだよ……」


莉央は狼狽えながら震える声で必死に問う。


「お前は……一体何なんだよ……!? 死にたいのか死にたくないのか、俺にはまったく読めねえ……お前は、一体、何がしたいんだよ……!?」


今まで感じたことのない感情に、莉央は若干パニックになっていた。しかしそれでも納得のいく答えが欲しいという欲求が勝ち、なんとか理性を保った。


「……」


アルマは一度瞑想し、目を開くと答えた。


「オレはミカを絶対に守る。だから戦っている。ミカの笑顔を守りたい。幸せにしてやりたい。そのためならオレは、どんなに辛い事実でもちゃんと向き合おうって決めたんだ。それがたとえ、ミカや大事な誰かを悲しませることになったとしてもだ」

「何を、言ってんだ……?」

「……オレには、記憶がないんだ。でも、だからって逃げてちゃいけないって、さっきやっとわかったんだ。きっとそれは、強くなるために必要なんだ」


アルマは自分の胸を掴んだ。


「今はここが、心が悲鳴を上げるくらい辛いけど、ちゃんと向き合わないといけない。じゃなきゃオレは、ミカを守れなくなるから」

「……!」


莉央は目を丸くした。


(こいつ……ああ、きっとそうなんだ……こいつもどこかで人を殺している……今こいつは、その業を受け入れようとしている……あの目に見覚えがあるわけだ……あれはまだ俺が殺し屋として未熟だった頃の目と似ている……自分のやったことを理解しようと必死だった頃の……)


真面目な表情をしていたアルマだったが、しばらくするといつもの明るい表情に切り替わった。


「……さてと! じゃあ決闘はオレの勝ちってことでいいよなっ?」

「え、あっ……?」

「こんなことここで言うのは失礼だけどよ、やっぱりオレ、命の恩人であるお前のこと、あんまり傷つけたくねーんだよな。まあ、お前が嫌ってならやるしかないけど……」

「……」


申し訳なさそうなアルマに拍子抜けした莉央は、すぐにいつもの調子に戻った。莉央はアルマをきっと睨んだ。


「……本戦では俺が狙ってる奴の次にお前を必ず殺す……!! それまで生き延びなかったら承知しないからな!!」


不機嫌そうに舌打ちしながら、莉央はアルマに背を向けた。


「アイ・リザイン!」


降参のウィンドウを出し、莉央は右手を叩きつけた。結果ウィンドウがフラッシュし、アルマの勝利を知らせた。


「おおっとお! ここでまた本戦進出者が出たー! 堂島鉄心をリタイアに追い込んだダークホース、アルマが本戦進出決定だあーっ!」


観客が歓声に沸いた。


「すごい……二戦連続ストレート……しかも両方ともリタイア勝ち……アルマさん、すごいや……」


祐介が目を丸くしてその様子を見ていた。なんとかアルマが生き延びたことに、ヴィクトルとハーツは胸を撫で下ろす。


「あとは我々だな」

「ああ」


二人はあと一勝すれば本戦進出決定となる。気を引き締めようとした時だった。突然わっと歓声が沸いた。歓声が聞こえた方を向くと、観客はモニターを見上げて興奮していた。


「何だ……?」


モニターを見ると、血塗れになって倒れている男と、エストックを構えて立ち尽くす男──ブラックスコーピオンがいた。


「あいつは……っ!!」


ハーツは激しく動揺した。それは祐介ら探偵事務所の三人も同じだった。


「おっとまたまた本戦進出者が出たあーっ!」


MCが興奮ぎみに宣言した直後だ。


「おい見ろよ! 女の子がまた勝ったぞ!」

「マジかー!」


別のモニターを見ると、両手に銃を構えた女──ホワイトスネークがそこに映っていた。


「げっ! ホワイトスネーク!」

「へえ、あれが……」

「……ブラックリストに入ってる殺し屋全員が、まさかここに集うとはな」


ヴィクトルは口に手を当てて思案顔を浮かべる。


「おーい!」


聞き覚えのある声にヴィクトルははっとした。振り向くと、アルマがこちらに向かって手を振っている。すぐそばには莉央がいたが、ヴィクトルと目が合った瞬間、どこかへ行ってしまった。


「アルマ! 生き延びて何よりだ!」

「ああ! 当たり前だろ?」


ふと、ハーツはアルマを見てはっとなった。アルマの頬の一部が裂かれて、機械部分が露わになっていた。


「お前、それ……」

「えっ? ああ、これか? 大したことないって!」

「お疲れ様でした、アルマさん! はいこれ、ベクタの実を…」


祐介がアルマにベクタの実を渡そうとした時だった。


「おおーっとお!? またしても本戦進出決定者が出たぞーっ!」


MCの実況を聞いて振り返ると、モニター越しにある人物が銃を向けていた。


「……!!」


その人物を見たアルマは激しく喘いだ。モニターに映っていたのは、あの迷彩マントとガスマスクを着けた男だった。


「あい、つは……!!」

「どうした? 知り合いでも……っ!?」


アルマの様子を伺っていたヴィクトルがモニターに視線を変えると、男の姿を見てはっとした。慌てたヴィクトルはウィンドウを出し、画像を確認する。誠が見せてくれた画像と見事に一致していた。


「……間違いない……奴が死伝天使か……!!」

「何っ!?」


ヴィクトルの台詞にハーツが動揺する。


「栗原! 奴の出場者名は!?」

「えっ? あっ、えっと……」


祐介は慌ててトーナメント表を確認する。タイムログ順に確認すると、一番最初に表示されていたのは、『Cadaver VS GoKuu』とあった。前者の方には本戦進出決定と表記されている。


「多分これかと!」


祐介はヴィクトルにウィンドウを見せた。


「こいつか……キ、キャダバー……?」

「いえ、これは多分スペイン語でカダベルと読みます。確か、死体という意味だったかと」

「死体……!? 死体だと……!?」


一瞬ヴィクトルは疑問に思ったが、すぐに考えは深まった。


「奴が元人間のサイボーグならなんとなくわかる気もしなくはないが……」


すると、モニターに映る男、死伝天使が銃を向けながら大声で話しだした。


〈……“叛乱軍”は、まだ終わってない!!〉

「叛乱軍……?」


アルマはそのワードに違和感を感じた。と、その時だった。


「ーっ!?」


突然アルマの脳裏にモノクロの映像が凄まじいスピードで流れた。速すぎてどんな映像かはわからない。


「なっ、あっ……!?」


急に来た現象にアルマは困惑し、ふらっとよろめいた。


「どうした!?」


慌ててハーツがよろめくアルマを支えた。


「はん、らん、ぐん……!? オレは……どこかで……!?」


苦しそうに頭を抱えるアルマに対し、ハーツは何と言ってやればいいのかわからず、ただ心配するしかできなかった。

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