第2話 怒る

わたしの中にもう一人の僕が住みつきました。

小学校、中学校、大学、就職

そのように淡々と続くであろう。

それが普通というものなのだろうと、

そいつが言うんです。


わたしの間違いは、

そいつの誕生と当たり前の日々でした。


息ができなくなるほど夢中になれる温かいご飯

親が支払う無料の映画

携帯電話で近くにある友達

お退けて幸せそうな家族


ちっぽけな生活を

自力でよりちっぽけにしました。


しかしながら、

大学費用はありませんでした。

就職先はタダ働きの残業まみれで

温かいご飯の炊き方はわかりません。

わたしの映画=学割 という概念は消え、

友達からのメッセージは来なくなりました。


積み木遊びをやったことがありますか?

9個積み上げたのに10個目が見当たらず

残りの一つは不細工な赤ん坊の手へと渡ったのです。


それでも赤ん坊なので、、、

それでも不細工なので、、、


そんなわたしのうじうじとした行ったり来たりの生き様は

大切にじっくりコトコトと煮込まれたようで、

破壊的な勘違いの美味しさで終点というわけです。


ちっぽけな生活を好みますか?

『こびと』のおうちは快適だと誰かが呟いたので

わたしをどうか消してしまってくださいと

亡くなったおじいちゃんに願い始めます。

それでも尚、少しの心残りがあるようなので仕方なく生きている。

死ぬ勇気もなければ、別に死にたくもない。

すっと消えたいだけのわたしは糞で、

強く生きたくもないので

すっと生きているわけです。


悪に吹っ切ることも

善と生きることも

不可能だとわかってしまいました。

わたしは阿呆です。

これが結末です。



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巡る 岡崎花子 @okazakihanako

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