巡る
岡崎花子
第1話 雨祭り
傘を刺すのが好きですか?
青梅雨へ どけよ と唸る傘は
雨に溶け込むのがすごく上手で切なくなります
まだ一桁の歳の頃
嵐の中を格好つけて走り回り
風邪をひくよ と母に怒られたものでした
雨で濡れた母の髪の毛や
きらきら光るお花たちをみて
綺麗だな と思ったものです
私の方は 馬鹿みたいに鼻水を垂らし
次の日晴れても 風邪は止まず
ほら言ったでしょ
と笑われているようでした
お花のように
私たちも同様
雨が栄養になってくれたら
きらきらになれるのに
理不尽な世界です
この歳になると
母のように雨に濡れた髪の毛を
恋人が褒めてくれます
綺麗だねと言われるたびに
母への距離が近いのか遠いのか
わからなくなり悲しいです
楽しかった思い出を
塗り替え続けるのは
野暮ですね
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