第6話
科学技術の発達は恐ろしいものだ。ちょいと居眠りをしてしまえば、文献の
だから非科学を学び始めた。古きを
魔術のセカイは、すっかり彼を受け入れた。
「……まァ。そう手っ取り早くはいきませんよね」
ひとり、
彼の目の前では、敷設していた降霊装置がぞくぞくヒビ割れている。
「フ————大事な人とともに、恨み
断言できる。全世界の軍隊をこのばに取り揃えても、歯向かえない。ゼロコンマ数秒以下で全滅する未来がやすやす見える。
けれど、主催たる男性は
「三次元の皆さん。二次元の皆さん。こうも
ハハハハ、まさかそんな。主人公を気取って最愛のパートナーを呼び出したあなた方が、小賢しく小競り合いをしたいなんて言いませんよね」
その頬横をズドンと通り過ぎた、水圧レーザー。
「フフハ、口を閉ざせと? ああ嘆かわしい。弱っこくて、まどろっこしい——ひどい軍隊アリだ。女王すら
あくまでも泰然自若。さいさんに
その自信の在りどころは何であるか。こうも
ともすれば解答をもたらすように、水圧を操っていた術者が
「こい、つ……はダメだ! 当たらない、いや当てられない。外される‼︎」
「おや流石は別途のセカイにいるだけはありますね。それとも事例がおありでしょうかね」
「さぁ蜘蛛の子を散らすように、去ってくださいな。
本物の怪異を前に、さすれば常人たちは一歩退く。生物にそなわる危険信号が、彼らの精神をじりじり揺さぶっている最中である。
では、総仕上げとばかりに。
————空気が
「……ハハハ。絶好すぎるタイミングなことで」
尻尾を巻いて逃げゆく多勢をみおろして、ひとり、ぼうっと呟く。
火を放るよりも明らかに、人の波はそれぞれの脱出口へ赴いた。窓枠を蹴り飛ばしたり、機能停止したハズのエレベーターを電流で復旧させたり、高熱レーザーで直下型の降下口をつくりだしたりと。
レパートリーは
「せめてもの利口に帰っていただけませんかねぇ……」
喧騒さが八割増しになり、だが秒刻みに静けさを取り戻す場。粉微塵にされた電子機器を見ると、多少なり心にクルものがあるが……
さても
男は
「素材の軟質化、防護機能をそこなわせる強烈な電流、——フフン。面白いことですよ魔法に科学ゥ? いわく
興味は尽きぬとばかりにメモ機能へとシフト。指先のタップは止まる
皮肉なものだ。科学分野の学会から距離を置いた身が、こうも面白
すると予兆もなく。——男の薄型タブレットに通話がなげられた。
「だぁあなんだい
『うるせ。っつーか騒ぎの種を
そえられた詳説文に、男はうごきを止める。
「……。そりゃあ困りものですね。しかも早計かつ勘違い——やっぱり主人公に向いているのは、あの二人だけらしい」
『ふーん。あれだろ、お前が目をつけたっていう』
「ええ。彼と彼女が、僕の想定における主人公です。——ですので? あなたはいつでも出動できるよう身なりを整えていればいいだけ。フフフ、簡単なミッションですね」
『だといいな。あー、どうせ暇な時間とかねぇだろうな』
あからさまに
それでも男は顔色ひとつ変えない。
「で? 要件は済みましたか、これで」
『いや、最後に一つ。——近傍の地熱発電所。そこに一組、
「心得ました。彼らの覚醒次第、向かわせましょうかね」
ブツリ、とそこで通話終了。たっぷりの
なので主賓たる彼は、当事者たちに目線をもどし……
「さぁ。そろそろ第二の生ですよ、
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