第672話 小さな猫の顔が一杯

 〈サトミ〉の着ている服は、〈緑農祭〉で着た例の売り子の制服だ。

 民族衣装的なコスチュームのヤツだ。


 「おぉ、あの服か。もちろん、大好物だ。後ろも見せてくれよ」


 改めて見ても、胸が危うくてスカートがとても短かいな。

 下にシャツを着てないから、おっぱいの谷間がかなり見えているぞ。

 スカートは膝上で、完全にミニスカートだ。


 いや、ちょっぴり違うな。

 この短さは、マイクロミニスカートに、片足を突っ込んでいるんじゃないかな。


 このマイクロミニスカートっていう代物(しろもの)は、ファッション業界ではなく、エロ業界のカテゴリーだと思うな。

 〈サトミ〉がクルっと回ってくれる度に、黄色のショーツが裾からチラッと見えているもの。


 《緑農学苑》は何の意図で、この服をチョイスしたんだろう。

 男子学生を集めるためか。

 でも即売場には、おばちゃんしかいなかったぞ。


 がぁー、そんなこと、どうでも良いじゃん。

 それよりも、〈サトミ〉の谷間と黄色のショーツが重要だ。

 僕は「はふぅ」「はふぅ」とド助平中年のように興奮して、〈サトミ〉の後ろへ回り、ガバッとスカートまくった。


 「きゃー、〈ターさま〉、エッチなことをしないでよ」


 〈サトミ〉はお尻を押さえて、きっと僕を睨みつけている。

 だけどその仕草(しぐさ)は、とても可愛いらしくて、僕のド助平精神をもえ上がらせるだけだ。


 だって、〈サトミ〉の黄色いショーツには、小さな猫の顔が一杯あるんだよ。

 〈サトミ〉のセンスは抜群(ばつぐん)だ。


 僕は〈サトミ〉の正面に回り込み、もう一度ガバッとスカートまくった。


 「きゃー、〈ターさま〉、またエッチなことをして」


 〈サトミ〉は股の間を押さえて、呆れたように僕を見ている。


 「ごめん、〈サトミ〉があまりに可愛かったんだ」


 僕はそう言いながら、〈サトミ〉のおっぱいの谷間に手を突っ込んだ。

 〈サトミ〉のおっぱいは、プルプルとしてすっごく弾力に満ちている。

 癖になる柔らかさだな。

 もうなっているけど。


 「いゃだ。〈ターさま〉、服が伸びちゃうよ」


 えっ、服を心配するの。

 僕の想定とは違っているぞ。

 もっと恥ずかしがって欲しかったな。


 「いいじゃないか。胸を揉ませろよ」


 「うん、分かったよ。服を脱ぐから待っててね」


 「えぇー、脱いじゃうの」


 「うん、皺(しわ)になっちゃうし、裸の方が揉みやすいでしょう」


 「そ、そうだな」


 僕の妄想とは、まるで違ってきているぞ。

 まさか、〈裸の方が揉みやすいでしょう〉って言うと思わないよな。

 これが妻になり、何回も身体を重ねたって言うことか。

 贅沢(ぜいたく)を言っている自覚はあるんだが、何か残酷(ざんこく)なものを見せられた気がする。


 たけど僕は、服を脱いだ〈サトミ〉をベッドに押し倒して、キスの嵐をお見舞いしてあげた。


 「やぁん、〈ターさま〉、〈サトミ〉はもうベチョベチョだよ」


 プルプルのおっぱいを皮切りに、カチカチやニュルニュルにも遭遇(そうぐう)したと思う。


 「ふわぁぁ、〈サトミ〉はもう真っ白だよ」


 えっ、黄色で猫の柄(がら)だったぞ。


 僕は〈サトミ〉のお尻を触りながら、一つの夢が叶ったと考えている。

 それは王都の思い出が詰まった、この館の部屋で、許嫁とエッチなことをいたすことだ。


 叶えてみれば、何と言うことはない。

 〈サトミ〉とのエッチは、もう回数を覚えていないぐらいしたからな。

 僕にとっては、もう特別じゃない、日常の出来事だ。

 場所が変わっても、やることと受ける快楽に何も違いはない。

 人は、時間経過や立ち位置や環境の違いで、ころっと気持ちが変わるんだな。


 ただ過ぎ去りし日のあの熱情を、僕は忘れないようにしよう。

 プルプルのおっぱいを、ありがたく揉ませて頂こう。


 「んんう、〈ターさま〉、〈サトミ〉のお尻やおっぱいを触る前に、一度身体を拭こうよ。ニチャニチャして気持ちが悪いんだ」


 「おぉー、そんなにニチャニチャなのか」


 「ふぅーん、〈ターさま〉が、あんなことをするからだよ」


 「ニチャニチャになるようなことを、したっけ」


 「うん、一杯されたよ。思い出したら、またなるから、もう言わないでよ」


 「うーん、そうか。それじゃ、身体を拭く前にもう一回しよっか」


 「えぇー、もう一回するの。あぁん、そこはニチャニチャだよ」


 僕は過ぎ去りし日のあの熱情を、僕はハッキリと思い出したんだ。

 一回なんてとんでもない、三回ぐらいは平気だったはずだ。



 〈マサィレ〉が僕を訪ねて、〈南国果物店〉へ来てくれた。

 〈サトミ〉も含めた三人で、店の奥でお茶を飲むことにする。

 かなり〈マサィレ〉が興奮した様子だったから、一旦落ち着かせる必要があったんだ。


 「ご領主様、息子が俺のことを覚えてくれていたんです。俺の胸に飛び込んできたんですよ」


 〈マサィレ〉は、嬉しくって仕方がないようだ。

 もうおっさんのクセに、キラキラとした目で、精一杯気持ちを伝えようとしている。

 たぶん、自分が感じた強い喜びを、誰かに伝えたいんだろう。

 感動を知って貰い、共有して欲しいと思っているんだろう。


 「〈マサィレ〉さん、本当に良かったね」


 〈サトミ〉は涙ぐんで、〈マサィレ〉のことをすごく喜んでいる。

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