第665話 〈サトミ〉の涙じゃなくて
〈サトミ〉は身体の力が抜けて、僕のなすがままになっている。
「はぁふん、〈ターさま〉、お願い。もう止めて。新婚初夜はお風呂じゃ嫌だよ」
そう言われると、しょうがない。
僕は自分と〈サトミ〉の泡を流して、お風呂から出ることにした。
〈サトミ〉はまだ力が、充分入らないようだったので、おっぱいやお尻を拭いてあげる。
「〈ターさま〉はエッチだよ。〈サトミ〉の涙じゃなくて、〈サトミ〉のあそこまで拭いちゃうんだね」
ぐへへぇ、ここも涙みたいのを流しているからな。
「〈サトミ〉は嫌なの」
「ううん、恥ずかしいけど、それが嫌じゃないんだ。〈ターさま〉にいやらしい目で見られると、〈サトミ〉は身体の中がゾワゾワってしてくるの」
「それじゃ、寝室でもっとゾワゾワするか」
「うん、今日は初夜だから最後までしてね。〈サトミ〉が痛いって言っても、途中で止めたりしないでよ」
僕は素っ裸の〈サトミ〉を、お姫様抱っこに抱えて寝室に向かう。
〈サトミ〉の髪はまだドボドボだけど、下もドボドボにするのだから、構(かま)わないと思う。
キスをしておっぱいを揉んで、その他諸々(たもろもろ)を触わると、〈サトミ〉から甘い声が漏れ始めた。
もっと諸々を触って諸々なことをすると、〈サトミ〉は「あぁん、〈ターさま〉」って声を一際大(ひときわおお)きく上げたから、今が潮時(しおどき)なんだろう。
「〈サトミ〉、愛しているよ」
「あはぁ、〈サトミ〉は、泣きたいほど〈ターさま〉を愛しているんだよ」
〈サトミ〉はギュッと目を瞑(つぶ)り、痛みに耐えてくれている。
時々、「いっ…… 」って声が出ているけど、前回よりはかなりマシになったようだ。
僕はゆっくりを心がけて、口の中もおっぱいも、ゆるゆると一杯舐めてあげる。
〈サトミ〉の意識が上半身へ向くようにだ。
ゆっくりだけど、僕は早かった。
ギチギチなんだもん。
早いことは、この場面では大変良いことだ。
早くても言い訳がきくんだよ。
終わって〈サトミ〉を抱きしめていると、〈サトミ〉の方も僕をヒシっと抱きしめてくれる。
「〈ターさま〉、これで本当の夫婦になったんだね。〈サトミ〉は幸せだよ」
「うん、僕も幸せだ。気持ちもすごく良かったよ」
「へへっ、〈サトミ〉で気持ちが良かったの。明日からは、もっと気持ち良くなってね」
明日からは、もっと早く動いて良いってことかな。
〈サトミ〉ともう一度お風呂に入って、パジャヤマを着て二人で眠った。
もう晩秋で肌寒いんだ。
〈サトミ〉にお休みのチュッをすると、〈サトミ〉は「〈ターさま〉と朝まで一緒なんて眠れないよ」と可愛いことを言ったが、僕に抱かれながら直ぐに寝息を立て始めた。
あれだけ泣いたんだから、疲れているのは当然だな。
〈サトミ〉とソファーで、イチャイチャしていると、〈トラ〉と〈ドラ〉が僕の足に噛みついてくる。
本気と甘噛みの中間くらいの強さだ。
靴下越しではあるが、結構痛いぞ。
こいつらの意図はなんだろう。〈サトミ〉が盗られると思っているのか、それとも僕が、〈サトミ〉を虐めていると思っているのか。
おっぱいとかを触ると、「いゃん」とか「止めてよ」とか、〈サトミ〉は一応否定的なことを言うからな。
いずれにしても、じゃまであることに違いはない。
「〈サトミ〉、〈トラ〉と〈ドラ〉をどうにか出来ないか」
「ふふっ、〈トラ〉と〈ドラ〉は〈ターさま〉に遊んで欲しいんだよ」
聞いた僕がバカだった。
僕は〈サトミ〉へ、真剣に苦情を言ったつもりなんだが、〈サトミ〉はまともに取り合ってくれなかった。
〈サトミ〉は僕がガジガジされているのを、微笑ましいことだと思っているらしい。
こう言う認識の違いで、夫婦間の溝が生まれるんだな。
僕達は、早くも危機的な状況じゃないか。
これは放置出来る問題じゃないぞ。
「〈サトミ〉、町で買い物をしてくるよ」
「えっ、何を買うの。〈サトミ〉も一緒に行くからね」
〈サトミ〉と手を繋いで《ラング》の町を歩くと、道行く人が僕達へ挨拶をしてくれる。
《ラング》は発展したと言っても、まだそれほど大きな町じゃないから、まだまだ人の触れ合いがなくなっていないんだ。
「〈ターさま〉、こうして二人で、町を歩くのも久しぶりだね」
〈サトミ〉はニコニコして繋いだ手を振っている。
先ほど発生した夫婦間の溝は、もうかなり解消しているぞ。
ハンドシェイクで、意思疎通確認が図れたようだ。
これで秘密兵器を導入すれば、〈サトミ〉との仲は完璧になるはずだ。
僕の目的は、《ラング》の町に出来た家具屋である。
ここで、秘密兵器の材料を買うんだ。
「長い脚立(きゃたつ)と梯子(はしご)が欲しいんだ」
「おぉ、これはご領主様。私どもの店に、足を運んで頂きありがとうございます。脚立と梯子は、向こうの方に置いてあります」
店員に連れられて店の隅(すみ)へ行くと、確かに数種類の脚立と梯子が置いてある。
僕はその中で、一番長い脚立を二つと、短めの梯子を一つ買うことした。
「これをすまないが、館まで配達して欲しいんだ」
「えぇ、分かりました。直ぐに配達いたします」
店員はホッとしたような顔で、ニッコリと笑ってくれている。
何だか良い買い物をした感じで、僕は嬉しくなってしまう。
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