第621話 分からないだろうな

 少し北へ進んだ小川の畔(ほとり)に、第二の拠点を整備することにして、第一の拠点に帰ることになった。

 帰りは一度通った場所だから、皆の気持ちにも余裕が出来て、少し緩い行軍となっている。

 〈ハパ先生〉もリラックスされて、そこそこ会話をしながらの帰路であった。


 第一の拠点で待っていると、〈ハヅ〉がニヤニヤとして小屋に入ってくる。

 いやらしい笑い方だ。

 コイツは探索で何か見つけたな。


 「ふっ、〈タロ〉様、壁や建物に仕えそうな岩を見つけましたよ。《ラング川》も上流に行けば川幅も狭いので、ある程度小さくしたら何とか運べそうです」


 どうも兵士の話によると、安山岩で出来た岩山を見つけたらしい。

 兵士が見つけたのに、探索隊を率いていた〈ハヅ〉の功績になるのが、かなり腹立たしいぞ。


 「むむっ、そうか。お手柄だな」


 「ははっ、お手柄なんて。岩しか見つけていませんよ」


 くそっー、お前は岩さえも、見つけられなっかたと言いたいのか。


 二泊三日の探索は、こうして僕の失意のうちに終了した。

 だけど、《ラング領》としては新たな建材が見つかったので、素直に喜べないけど大変良いことだ。

 僕は自分の心を押し殺して、早速職人を向かわせて詳しく調査させることにした。

 僕の今回の探検は何も成果がなかったが、領主としてはそうでもない。


 だけど探検家としては、悔しいじゃないか。

 今度は何か見つけてやるぞと、固く誓ったのであった。

 いつから探検家なったかは、聞いちゃいけないんだよ。



 三日留守にしていたので、黙々と執務をこなして夕食を食べたけど、僕の機嫌が良くなかったので、〈アコ〉と〈クルス〉も黙って食べていた。

 二泊三日の探索と溜まっていた執務で、とても疲れていたんだ。


 〈アコ〉の後宮に入ったら、〈アコ〉が開口一番謝ってきた。


 「〈あなた〉、ごめんなさい。〈ハパ先生〉に、予定をお話してしまいました。《ラング領》の将来のためだと言われて、つい言ってしまったのですわ」


 〈ハパ先生〉は、真摯に《ラング領》のことを考えているから、抵抗心が薄れてしまうんだと思う。

 申し訳そうな〈アコ〉の顔を見ていると、怒る気持ちは消えてしまった。


 〈アコ〉のことが、やっぱり好きってことか。


 「もう怒ってはいないよ。確かに《ラング領》のためにはなると思う。それよりお風呂に入るよ。探索中は身体を拭いただけなんだ」


 お風呂から上がったら、〈アコ〉がショートパンツのお尻を僕に向けて、フルフルと振っていた。

 ムッチリとしたお尻だけど、どう言うことなんだろう。


 「〈あなた〉、〈ハパ先生〉に話した罰にお尻を叩かれますか」


 突き出されたお尻を叩くのは、少し惹(ひ)かれるものが正直あるが、僕は変態じゃないのでここは惜しいけど断っておこう。


 「〈アコ〉が悪いんじゃない。だから罰なんか、与えたりはしないよ」


 でも〈アコ〉はお尻を、今度はプルンプルン振っている。

 当然僕は、我慢出来ずにショートパンツに手をかけた。

 プルンプルンとなる原因を探索しなければ、探検家の沽券(こけん)に関わるだろう。


 鍾乳洞(しょうにゅうどう)とまごう、鐘(かね)のような乳房と胴にある洞(ほら)を探索すれば、そこはまさに桃源郷である。

 ももの奥にある、液体が流れ始める場所なんだ。

 その神秘で隠された場所に立ち入れば、瞬(また)く間に干(ひ)からびてしまう。


 脊椎反射に囚われた僕は、もう後戻りが不能だ。

 源(みなもと)に振り絞(しぼ)られてしまう、定(さだ)めであった。

 デジャブに襲われてしまったかな。

 静香ちゃんでもないぞ。


 〈アコ〉を振り向かせてキスをすれば、〈アコ〉の手が僕の手を、巧妙におっぱいへ誘導しているように思える。

 これで終わりじゃないんだ。


 ひとしきり揉ませた後、〈アコ〉は透けたネグリジェを羽織(はお)って、大きく手を広げているぞ。

 その下には何もつけていない。

 チラリじゃないし、動きで見えたのではないから、チラリズムではないな。


 スケスルーだ。

 分かるかな、分からないだろうな。

 透けるとスケベをかけて、シースルーを足しているんだよ。

 よく考えてみれば、スケスケで良いじゃんと思ったりもするな。


 僕は〈アコ〉をさらうように、ベッドに連れ込んで再度探索を開始した。

 脊椎反射に囚われるのは、少し時間がかかったと思う。


 「んんう、〈あなた〉が探索に行かれている間は、私はすごく寂しかったのですよ」


 「僕も寂しくて良く眠れなかったんだ」


 「うふふ、一緒の思いでしたのね」


 〈アコ〉は満足したようにニコッと笑い、僕の腕を枕にして可愛い寝息をたて始める。

 僕も枕にした手でおっぱいを触りながら、とても安心して眠りにつけた。



 〈ベート〉が《ラング領》へ移住してきた。

 どうも既に孕(はら)んでいるらしい。


 僕達と違って見境(みさかい)なく、婚前交渉をやり過ぎたんだろう。

 だから大急ぎで、結婚式を挙げることになってしまったんだ。

 新居は一応、新町に完成しているので何とかなるそうだ。


 様子を見に行くと、〈ベート〉が「きぃー」「きぃー」と鳴きながら両親と弟と妹をこき使って、一階の服屋の準備をしていたぞ。

 両親と弟と妹は、結婚式に参列するために王都からはるばる来たはずが、開店準備を手伝わされるはめとなっている。


 親族とはいえ、かなり気の毒だと思う。

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