第616話 短く細くても感動
「あぁ、旦那様。こんなのは今日だけですからね。。あぁん、明日からは日常に戻りますので、勘違(かんちが)いしないでくださいね」
ベッドの中で〈クルス〉が抱き着いてきたため、三回目も行った。
三回目は、今で一番長く持ったと思う。
腰の辺りが熱を持っているけど、すごく嬉しいな。
「はぁ、はぁ、三回もされると思いませんでした。もう大変です。明日からはお手柔らかに頼みますね」
〈クルス〉は疲れたのか、直ぐに眠ってしまったようだ。
僕も、〈クルス〉の柔らかいおっぱいを触りながら、目を閉じることにする。
〈クルス〉との三日間は、あっと言う間に終わってしまったな。
メイドも通ってくるから、ピチピチのシャツと短いスカートを、〈クルス〉はもう着てはくれない。
明るいうちは、キスならさせてくれるけど、おっぱいを触ろうとするとスルリと逃げていく。
少し物足りないと感じる。
逃げられないように、もっと触り方を工夫する必要があるんだろう。
まあ、結婚生活は始まったばかりで、先はとても長いのだから焦る必要はないんだ。
通常の生活に戻ると、朝も早よから、鍛錬と執務をこなす生活が待っていた。
たぶん、健康的なんだろう。
昼食と夕食は、〈アコ〉と〈クルス〉と三人で食べることになっている。
三人で、おしゃべりしながら食べるのも楽しいんもんだ。
二人の視線で見えている《ラング領》の現状は、僕の認識とは少し違って気づかされることも多い。
多面的な視点を持つと言うことだろう。
ちょっと違うか。
〈クルス〉との新婚生活が終わり、また〈アコ〉の後宮へ戻ってきた。
僕は根無し草のように、フラフラと彷徨(さまよ)うんだな。
ただ、メイドがいなくなった夜には、〈アコ〉が「あなた」「あなた」と熱烈な歓迎だ。
メロンおっぱいをブルンブルンと揺らし、ヒシっと抱き着いてくる。
しばらくぶりだからだろう。
一発決めて〈アコ〉に抱き着かれながら、ふと考えてみる。
ちょっとこれは、はしゃぎ過ぎだよな。
頭がお花畑で種馬みたいに、僕はあのことばかり考え過ぎだよ。
アンドロゲンとか、オキシトシンとか、テストステロンとかの、脳内物質を生成し過ぎだな。
僕の名前は、〈アンドロイド〉の〈ゲン〉じゃない。
あのドドメ色の薬の副作用かも知れないぞ。
狂騒的な新婚生活が終息(しゅうそく)したのだから、桃色の生活から脱却しよう。
二十発近くやって、僕もようやく落ち着いてきたんだ。
そう言うことで、《ラング川》対岸の探索に今現在参加している。
「〈タロ〉様、腰がふらついていますけど、大丈夫なんですか」
〈ハヅ〉がニヤニヤ笑いながら声をかけてきやがる。
そんなこと良く分かっているわ。
「〈タロ〉様、無理なさらずに、少しずつ進めていきましょう」
〈ハヅ〉と違って〈ハパ先生〉は、人間が出来ているな。
〈リク〉は、〈サトミ〉と〈サヤ〉と〈アコ〉の母親と一緒に王都へ帰っていった。
離れて暮らしている子供が、気になって仕方がないんだろう。
ただし、僕はもう王都に住んでいないのだから、〈南国果物店〉と〈南国茶店〉の引継ぎを完了させた〈カリナ〉と一緒に、もう直ぐ《ラング領》へ家族で引っ越してくる。
タイミング的には、〈サヤ〉の結婚式の後になる感じだ。
〈サヤ〉と近衛隊のエースは、共に武道派だからか、結婚も即決即断で決めてしまったらしい。
僕達の婚約期間が、すごく長かったのと大違いだよ。
どちらが良いかは、ケースバイケースだとは思うけど、長い方が良いに決まっている。
許嫁が全部受け入れてくれた時の感動が、長いほど大きいんだよ。
ほっとけ、短く細くても感動はするんだ
《ラング川》を渡って周囲を見ると、荒野は少しだけ緑が多くなっていると思う。
水車で汲み上げられた水が、まだ目が荒い水路をそれでもトクトクと流れている。
「〈タロ〉様、もう少し草が増えれば、広い牧場になりそうですね」
〈ハヅ〉の言う通り、これだけの大きさがあれば、良い牧場になるかも知れないな。
「でも〈ハヅ〉、この荒野にも肉食動物はいるんだろう」
「それはいますよ。狼と熊が、北西方向にある森の中に、生息していると思いますね」
「それじゃ、家畜が襲われるじゃないか」
「えぇ、ここを牧場にしようとすれば、頑丈な柵と合わせて犬を放っておく必要があると思います」
「〈タロ〉様、《ラング川》のこちらは、まだまだ探索が進んでおりません。試験的に水車を設置しただけなのですよ」
〈ハパ先生〉は〈ハヅ〉と違って、ちゃんと説明してくれる。
人間性の高さが、根本的に違っているらしい。
「今回の探索は、もう少し進んだ先に拠点を作る予定です。〈タロ〉様、出発にあたって訓示をお願いします」
えぇ、訓示っているの。
急に言われてもな。
「兵士の諸君、今回の探索は非常に重要なものであります。皆は、充実した生活を過ごせているでしょうか。僕は結婚をして、新たな局面を迎えています。この《ラング領》も同じく新たな局面を迎えているのです。それはこの《ラング川》北側の探索であり、軍の練度の強化なのである。《ラング領》がより発展すれば、諸君らの生活もより充実するであろう。そのためにも、大いに頑張って欲しいし、大きな期待をしているぞ。明るい未来に向かって出発だ」
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