第610話 五十㎝くらいのナマズ

 「んん、〈タロ〉様は大っきい方が好きなんじゃないの」


 「違うよ。〈サトミ〉のは大好物なんだ。シャー」


 僕は両手で〈サトミ〉のおっぱいを鷲掴(わしづか)みに触ってみる。

 だけど当然ながら、力は入れずにソフトタッチにだ。


 猫が毬(まり)に、じゃれついている感じを出してみたんだ。

 これが今僕が編み出した、高等おっぱい揉み術なんだよ。


 「きゃっ、〈タロ〉様。いきなりだよ。キスもまだなのに」


 「ごめん、〈サトミ〉。順番を飛ばし過ぎだな」


 僕は〈サトミ〉を抱きしめてキスをした。


 《ラング川》は、僕達の真下で滔々(とうとう)と今日も海まで流れている。

 空の雲は反対に高い山の方へ流れていっている。

 僕と〈サトミ〉の想いは、川なのか雲なのか、どっちなんだろう。


 バカなことを考えても仕方がないので、バカらしく大好物のおっぱいをキスしながら揉もう。


 「あぁん、〈タロ〉様は本当にエッチだね。今日はお魚を釣りに来たんだよ。お外で〈サトミ〉の胸を触らないで」


 〈サトミ〉はピンク色の顔になっているけど、手で妨害したり逃げようともしていない。

 もっと本格的にイチャイチャしても良いのだろう。


 「〈タロ〉様と〈サトミ〉ちゃんは、仲がとっても良いんだな。だども、竿がもっていかれそうだで、早くあげねぇとよぐねぇだよ」


 「きゃー、〈ボニィタ〉のおじちゃん、ずっと見てたの」


 「はははっ、おっぺぇを揉まれているなんぞ、なんも見えてねぇかっただよ」


 かぁー、何が何も見てないだと、農長のヤツまた覗いていたんだな。

 くぅー、農場からもっと離れるべきだった。

 後悔先に立ってしまったよ。


 イチャイチャを邪魔されて、しょうがないので、竿を引き上げてみた。

 原始的な太鼓(たいこ)リールは、結構な重さだ。

 頑張って巻上げると、五十㎝くらいのナマズが釣り上がってきた。


 「おぉ、中々の大もんだべ。《ラング川》で釣りをするものありだすな」


 農長は川を見詰めて、カピバラなのに捕らぬ狸の皮算用をしているらしい。

 僕達は釣りをする気がなくなったので、釣れたナマズをぶら下げて帰ることにした。

 まあ、釣りをする気がなくなったと言うより、ラブシーンを見られて恥ずかしかっただけだ。


 小屋にいって、〈トラ〉と〈ドラ〉にナマズをあげたら、ナマズが跳ねる度(たび)に〈シャー、シャー〉と威嚇(いかく)していたよ。

 〈トラ〉と〈ドラ〉には喜んで貰えたようで、釣りに行った甲斐があったな。


 「〈タロ〉様、〈ボニィタ〉のおじちゃんは、今日のこと皆に話しちゃうかな」


 「あぁ、農長は気にしないおっさんだから、直ぐにしゃべるぞ。でも僕も、気にしていないんだ。〈サトミ〉は僕の嫁なんだから、あれぐらいは普通だよ」


 「あはぁ、〈タロ〉様の気持ちは、〈サトミ〉は嫁で普通なんだ。でも、お父さんやおばちゃんに知られたら、とっても恥ずかしいんだもん」


 〈サトミ〉が少し落ち込んでいる感じなので、僕は小屋の中で〈サトミ〉を抱きしめて頭を撫ぜておいた。


 あっ、と思った時にはナマズの生臭い匂いが、〈サトミ〉の髪の毛についてしまっていた。

 どう言って〈サトミ〉に謝ろうと考えながら、頭を撫で続ける困った僕がいるよ。



 夕食を食べてお風呂に入り、夜の営みの時間となった。


 今晩の〈アコ〉は、透けるネグリジェの下に黒いショーツをつけている。

 ランプに照らされたより黒い部分が、人妻になったことを主張しているみたいだ。

 もう清純ではなくなって、僕をそこで受け止めてくれたんだな。

 

 僕は〈アコ〉のおっぱいが、どうしてこんなに育ったんだろうと思いながら、一心に揉み続けている。

 こんな時に余計なことを考えては失礼だと、頭の中のどこかでスケベの神様が警告してくるけど、おっぱい関連だからカスっているはずだ。

 おっぱいの手触りと揉み心地も、もちろん堪能させて貰っている。


 だけど僕の身体の下で、甘い声を出している〈アコ〉を意識すれば、ほらもう、集中し過ぎて僕も出してしまったよ。

 だから余計なことを考えていたのにな。

 はぁー。


 〈アコ〉は昨日で懲りたのか、おっぱいをベタっと僕に胸にくっつけている。

 こうすれば、おっぱいを揉まれないと思ったんだろう。


 何とか揉む方法はあるとは思うけど、〈アコ〉の工夫とおっぱいの感触に敬意を表して、今晩はお尻を揉むことにしょう。

 お尻もムッチリとして、おっぱいに負けないほど大変良いもんなんだよ。


 「んん、〈あなた〉。私のお尻がこれ以上大きくなったら、どうしてくれるのですか」


 「ははっ、〈アコ〉のお尻がどれだけ大きくなっても、僕は揉み続けるぞ」


 〈アコ〉は僕の答えに満足したのか、僕の腕の中で寝息を立て始めた。

 裸の〈アコ〉を抱えながら、僕も眠るとしよう。

 明日からも、二回する方法はないものかなと考えながら。



 〈アコ〉との三日間が終わり、次は〈クルス〉との三日間だけど、まだ結婚していないのにどうするんだろう。

 結局、〈クルス〉との結婚式までの四日を半分で割って、〈クルス〉と〈サトミ〉と二日ずつ過ごすことになった。


 最初の二日は〈クルス〉とだ。

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