第608話 若いって良いですね
〈アコ〉との朝食は、こんがりと焼いたパンに温めたスープが、基本的な献立になるらしい。
〈アコ〉の後宮で朝食を食べるのだが、作るのはメイドのようだ。
平民の家と違い、貴族の奥方は、そもそも自分で調理をしないってことだ。
そのためにメイドを雇っているのだから、当たり前と言えば当たり前か。
朝食の後は、鍛錬や軍を指揮(しき)する訓練を行う。
より良い夜の営みのために、体力と腕力をつけることは、決して無駄にはならないと励(はげ)もう。
特に腰の強化を図ろうと考えている。
腰はやっぱりあれの要(かなめ)だし、激しい動きに耐えられる強靭(きょうじん)さを身につけたいと思う。
今は出来ないけど、何時の日か超高速ピストンや全周回グラインドを夢見ているんだよ。
鍛錬の後は軽くシャワーを浴びて、執務室で執務を行う。
領主の大切なお仕事だ。
邪魔くさくても耐えようと思っている。
お金がなければ嫁に、下着一枚買ってあげることが出来なくなる。
ノーパンの方が良いとは思わない。
脱がす楽しみは、とても大きいんだ。
それに脱がせば、ノーパン状態は簡単に作れてしまう。
ビロビロになった下着も乙なもんだ、と言う意見もあると思うが、嫁達は惨(みじ)めだと泣いてしまいそうでその意見は却下だ。
昼食は自由度がかなりある。
執務室で食べても良いし、食堂で食べることも可能だ。
または、町へ繰り出してお店で食べる選択肢もある。
ただし、事前に厨房に伝えておかないと、食材と時間の無駄になるので要注意だな。
執務が多い日は、泣く泣く午後からも執務をこなして、執務が少ない日は自由時間が頂ける。
だがこの自由時間で、領内の視察と言うのか、領地の状況を自分の目で確認しておく必要があるらしい。
でもこれじゃ、自由時間は無いに等しいな。
でもしばらくは仕方がない。
我が《ラング領》は、まだまだ発展途上だから、丁寧に治(おさ)めることが必要なんだよ。
人間に例えれば十歳くらいで、まだまだ手が掛かって目が離せない時期だと思うな。
そして、夕食は少し豪華なものを食堂に集まって食べることになる。
今は〈アコ〉だけだが、〈クルス〉と〈サトミ〉も結婚後は一緒のはずだ。
また、大切なお客様が滞在している場合は招待するらしい。
〈アコ〉の母親みたいな人だ。
結婚して二日目の夕食は館で、〈アコ〉と〈アコ〉の母親と一緒だ。
〈アコ〉の母親は、〈クルス〉の結婚式の後王都へ帰るらしい。
〈アコ〉は「五月蠅い人がいなくなって、清々(せいせい)しますわ」と言っていたがどうだろうか。
昼間からお盛んに、いたした後だから態度に出ていたんだろう。
〈アコ〉の母親に、「若いって良いですね」と笑われてしまったのは何だかな。
そしてそして、夕食後は後宮でまったりとねっとりな夜を過ごすのさ。
これがあるから、自由時間があまり無くても耐えられるんだ。
はははっ、これが我が人生で一番幸せな時間なんだよ。
後は付け足しみたいなもんだろう。
僕が鍛錬を終えて浴室から出てくると、〈アコ〉が聞いてきた。
「〈あなた〉、明日からのお昼ご飯は、どこで食べられますか」
うーん、良く考えてみよう。
今僕は、エッチなことが〈アコ〉と最後まで出来るので、とても浮かれている。
そのことばかりを考えていると思う。
一つのことだけを考えている時は、知らないうちに大きな顎(あぎと)が直ぐ横に開いているものだと聞く。
だから周りを、良く見渡す必要があるはずだ。
「うーん、そうだな。お昼は皆集まって食堂で食べようか」
「ふふ、大勢で食べた方が美味しいので、それが良いと思いますわ。〈クルス〉ちゃんと〈サトミ〉ちゃんに伝えておきますね」
「よろしく頼むよ」
「任せてください。それから明日(あす)より、メイドがこの後宮の掃除などをしますので、ご承知おきくださいね」
うーん、完全に二人だけの新婚生活は今日で終了となるのか。
メイドを使うのは貴族なので当然だし、メイドのことを気にしないでいれば良いんだろうけど、横で仕事をしているのにエッチなことはやり難いぞ。
「そっか。メイドが来る時間帯は何時位なの」
「えぇっと、後宮に来るのは朝食の配膳と、昼間に掃除と寝台の整頓ですわ。夜は来ませんので、そんなに困った顔をしないでくださいよ」
朝早くから、もうメイドが来るのか。
奥さんと生活していても、それが貴族って言うものなんだろう。
学舎生活の方が、まだ庶民の僕には理解出来ていたんだな。
これからは、もっと貴族って言うものに、慣れて行かなくてならないぞ。
だけどその前に、新婚的なエッチを堪能しておこう。
僕はお茶を入れてくれている〈アコ〉の背中から、ガバッと抱きしめた。
だって明日からはメイドが来るんだ。
まだ僕には、見られて喜ぶ性癖は備わってはいないんだ。
「きゃ、〈あなた〉、何をするんです」
「それはこう言うことさ」
僕は〈アコ〉のおっぱいを揉みながら、首筋に舌を這わせていく。
「んんう、朝からお台所じゃ嫌ですわ。夜にしてください」
「夜もするけど、今も良いだろう」
「あぁ、シャツのボタンを外さないでください」
「ちょっとだけだよ」
「んん、そんなことを言って、もう胸を揉んでいますわ」
「直ぐに終わるよ」
思わず言ってしまったけど、真実ではあるが、とても悲しくなるな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます