第576話 酒池肉林

 許嫁達は、蜜柑果汁を入れたカクテルみたいなものを美味しいと言って飲んでいる。


 だけどそのお酒は、〈ミオ〉が「果汁が一杯入ってます」と持ってきたものだぞ。

 アイツは、僕達の幸せを妬(ねた)んでいる可能性が大だ。

 きっと、アルコール度数の高い蒸留酒がベースだと思うよ。

 べろべろに酔わせて、何かを企んでいるんじゃないのか。


 「〈タロ〉様は、また女の人の足を見てるよ。〈サトミ〉が見えないようにしてあげる」


 〈サトミ〉は真っ赤に酔って、僕の膝の上に座ってしまった。


 「えぇー、〈サトミ〉。僕の膝の上に座るの」


 〈サトミ〉のプリプリのお尻の感触がとても良いのだが、右左(みぎひだり)に動くから左右(さゆう)の鼠径部の間が元気になってきてしまう。

 今の酔った〈サトミ〉なら、「〈タロ〉様は、プリプリお尻でカチカチにハッスルしてるよ」くらい言いかねないぞ。

 かぁー、これが〈ミオ〉の狙いだったのか。


 「むう、〈タロ〉様、〈サトミ〉が嫌なの」


 「え、えぇー。そんなことはないです。どうぞお座りください」


 はぁー、と溜息を吐いていたら、今度は〈アコ〉と〈クルス〉が僕の耳を責めてきた。

 二人とも目がトローンとしてかなり酔っているらしい。


 〈アコ〉は僕の耳元に「〈タロ〉様、はい、おっぱい」と小声で呟いている。

 そんなことを言われても、大勢の人が見ているんだぞ。

 エッチでおっぱい好きの僕でも、触(さわ)れないおっぱいがあるんだよ。


 〈クルス〉は、僕の耳たぶを口に含んでモグモグしている。

 僕は耳が性感帯ではないので、ただふやけるだけだぞ。


 許嫁達は三人とも、普段からはあり得ない行動をしているのは、何か鬱憤(うっぷん)が溜まっていたのか。

 僕がおっぱいやお尻を、触り過ぎた弊害(へいがい)なのか。

 まさかとは思うが、おっぱい触られ中毒になっているのか。


 でも、許嫁達がこんなエッチになるのなら、それも有りだな。


 僕は三人に責められて、マグマ溜りのように熱いものがせり上がってきた。

 三人と言っても、殆どは〈サトミ〉のお尻のせいではあるが。

 他人の店で、パンツの中にぶちまける訳にはいかないので、この辺りでお暇(いとま)しよう。

 許嫁達も相当酔っているし潮時だろう。


 〈ラオ〉に「もう帰る」と告げると、「まだ早いですよ」とは言ったが、それほど引き留めはしなかった。

 許嫁達の様子を見て、もう限界だと思ってくれたんだろう。


 〈アィラン〉君と〈アーラン〉ちゃんは、《新ムタン商会》に泊まるらしいし、船長は〈アン〉兄ちゃんに裸にされているのでここに置いておこう。


 船長が裸にされている訳は、知る必要も知りたいとも思わない。

 たぶん、普段着のお姉ちゃん達に課せられた罰なんだろう。

 右の尻にはえているオデキが、無性に悲しみを放っているな。



 辻馬車を呼んで貰っている間に、許嫁達が〈ミオ〉と「キャッ」「キャッ」と笑いながら話をしていた。

 境遇や立場がまるで違うけど、年齢が近いから話は合うのかも知れないな。


 〈南国果物店〉に帰り着いても、許嫁達は僕から離れようとしない。


 「ふふふ、〈タロ〉様。もっと飲みたいですわ」


 いつの間にか、〈アコ〉がお酒の瓶を持っているぞ。

 〈ミオ〉が渡したのに違いない。

 余計なことをするなよ。


 「はぁん、身体が熱くて堪りません」


 〈クルス〉は熱いと言って服を脱ぎ始めている。

 うーん、もう春だから脱いでも風邪を引いたりはしないだろう。


 「〈サトミ〉は疲れたから、ベッドに座ろうよ」


 〈サトミ〉はベッドに腰かけて僕を手招きしている。

 確かに四人が座ろうとすれば、ベッドに座るしかないか。


 僕がベッドに座ると左右には、〈アコ〉と〈クルス〉が座ってくる。

 〈サトミ〉はさっきと同じように、膝に座ってきた。


 「〈サトミ〉だけ、〈タロ〉様と引っ付けないのはズルい」


 〈アコ〉は行儀が悪いことに、お酒を瓶からラッパ飲みをして、僕の口にも突っ込んでくる。


 「うっ、〈タロ〉様は私のお酒が飲めないのですか」


 〈アコ〉は、かなりの絡み酒なんだな。


 「はぁ、〈アコ〉、ちゃんと飲んでいるよ」


 もう酔っ払い過ぎだから、この辺で止めるように言わないといけないな。


 「〈タロ〉様、今日はとても熱いですね。服を着てられません」


 〈クルス〉は、さっき上着を脱いでいるが見えたけど、スリップも脱ぎ出しているぞ。


 「あっ、〈タロ〉様は〈クルス〉ちゃんばっかり見ている。私も脱いじゃお」


 「ううぅ、私も負けられませんわ」


 二人も服を脱ぎ出して、三人はショーツ一枚になり、おっぱいはポロンポロンポロンとむき出しだ。

 ショーツの色は三人とも今日は純白で、レースが使われているゴージャスなものだ。

 式典に出席するための、公的で公式なショーツなんだろう。


 僕もおっぱいを見て嬉しくなり、負けていられないと、服を脱いでパンツ一丁となった。

 公的で公式を意識したわけじゃないが、僕のも白色だ。

 純白と言いたが、ちょっとシミがあるかも知れない。


 左右に座っている〈アコ〉と〈クルス〉のおっぱいを両手で揉みながら、〈サトミ〉のお尻を股間で感じている。


 これは、俗にいうハーレムってものじゃないのか。

 酒池肉林と言っても過言じゃない、

 こんな幸せなことが、この世にあって良いものだろうか。

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