第577話 手から髪へ心まで届け

 こんな幸せなことが、この世にあって良いものだろうか。

 僕は嬉しさが込み上げてきて、わははっと笑い声が出てたと思う。


 ほぼ裸の女性のおっぱいを弄(いじ)って、お尻であそこを揉ませながら、高笑いをしているかなり危ないヤツだと思う。

 三人のカワイ子ちゃんに、前と左右から身体を寄せられている、この世でもかなり幸せな男だとも思う。


 「〈タロ〉様、眠くて堪りません。寝た後も揉んでて構いませんよ」


 〈クルス〉は僕の肩にコテンと頭を乗せて、もう半分眠っているようだ。

 片おっぱいを揉まれながら、寝ることも出来るんだな。

 良く眠れるように、優しく揉んであげよう。


 「〈タロ〉様、私は酔いましたわ。酔いが回ってよく分かりませんけど、胸は自由しても良いですわ」


 〈アコ〉は僕の方へ身体を捻り、目を閉じてしまっている。

 僕は両おっぱいに身体を挟まれて、お尻に手を添えて〈アコ〉の身体を支えている状態だ。

 大きなおっぱいを肌で感じることは出来るが、おっぱいを自由に触ることは不可能である。

 贅沢だけど、少し不満である。


 だから、〈アコ〉の身体を支えるのは大きなおっぱいに任せて、〈サトミ〉のおっぱいを揉もう。


 「へへっ、〈サトミ〉は〈タロ〉様に胸を触られながら、どんな夢を見るのかな」


 〈サトミ〉は身体の力が抜けて、僕に寄りかかってくる。

 へへっ、〈サトミ〉の夢は超イケメンである僕が、幻のテクニックで楽天地へ連れて行ってあげるんだよ。

 一杯プレゼントも買ってあげるんだ。


 僕はその後も、〈サトミ〉と〈クルス〉のおっぱいを揉み続けていたが、三人とも本格的に眠ったのだろう。

 僕に全体重を預けてきたから、支えることが出来なくなりベッドの中に倒れ込んでしまった。

 今考えると、僕もかなり飲んで酔っていたんだと思う。


 ハッと気づけばもう朝になっていた。

 許嫁達はもう起きており、前日から用意してあった普段着に着かえ済みだ。

 

 「〈タロ〉様、早くこれに着替えて顔を洗ってきてください」


 「あぁ、分かったよ」


 頭が少しズキズキとするけど、何とかベッドから這い出した。

 枕元には、〈クルス〉が僕の服を揃(そろ)えてくれている。

 服が仕舞ってある場所が、よく分かったな。


 「〈タロ〉様の持っている服は、少な過ぎますわ。自分の服ばかり買っていたのは、少し反省です。こんど〈タロ〉様の服を買いましょうね」


 「そうなの」


 「〈タロ〉様は伯爵様だよ。こんなボロボロの下着じゃ、〈サトミ〉も恥ずかしいよ」


 「そうかな」


 僕はとりあえず服を着て顔を洗いにいった。

 昨日の酒がまだ残っているので、さっぱりとしたかったんだ。


 でも許嫁達は、酒が残っている感じじゃなかったな。

 昨日はあんなに酔っ払っていたのにな。


 僕達は〈南国果物店〉の従業員と一緒に朝食を食べて、学舎に登舎する準備を整えた。

 許嫁達は気分良く、モリモリと朝食を平(たい)らげている。

 少し二日酔い気味で僕はいつもよりは、控えめの量しか食べられなかった。


 「三人とも、昨日のお酒は残っていないの」


 「少しは飲みましたけど、二日酔いになるほど飲んではいませんわ」


 「お酒は百薬の長と言われますが、飲み過ぎることは致(いた)しません」


 「〈サトミ〉は、お酒があまり好きじゃないの」


 えぇー、おかしいな。

 昨日は三人とも、あんなに乱れて裸になって、おっぱいをポロリと出してたじゃないか。


 「あれ、昨日は何だったんだ」


 「ふふふ、〈タロ〉様が〈マサィレ〉さんのことで、落ち込んでいらしたので。元気にしたかったのですわ」


 「うふふ、〈タロ〉様が元気になることは、良く分かっています」


 「へへっ、〈サトミ〉は頑張ったんだよ、それで、〈タロ〉様は元気になったでしょう」


 「皆、ありがとう」


 僕の元気を取り戻すために、おっぱいを与えてくれたんだな。

 〈サトミ〉が膝に座ったのも、僕を喜ばせるためなんだ。

 許嫁達のお陰で、むしゃくしゃとした嫌な気分は吹っ飛んでいる。

 とても幸せな心に、僕を変えてくれたよ。


 僕のことを思ってくれたのが、何より嬉しくて有難いと思う。

 僕の許嫁達は、最高の女だよ。

 今直ぐ抱きしめて、キスをしたいな。


 「〈タロ〉様、今私の唇を見たでしょう。皆が見ている前では許しませんわ」


 「したい気持ちは分かりますが、今は我慢してください」


 「〈タロ〉様のそんなところ、〈サトミ〉は嫌いじゃないけど、さすがに今はちょっとね」


 「うーん、しょうがないな」


 僕はキスの代わりに三人の頭を撫ぜることにした。

 三人は「もう子供ではないです」と言っていたけど、僕は構わず撫ぜ続けた。

 目を瞑(つぶ)ってくすぐったそうにしてたけど、嫌そうには見えなかったからだ。


 言葉でいくら感謝を伝えても、身体に触れることより強いメッセージはならないと思ったんだ。

 僕の心から嬉しいという気持ちが、手から髪へ心まで届けと祈って髪を触ったんだ。


 薫風(くんぷう)に乗った朝の光が、許嫁達の髪を煌(きら)めかせ、僕の手を包んでいたことを決して忘れないだろう。


 昨日の酒池肉林も、絶対に忘れないぞ。

 また飲ませてポロリとして貰おう。

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