第555話 〈タロ〉様の望みなら

 実際に乳繰っていたから、少し恥ずかしくなって僕は顔を伏(ふ)せていた。

 良く知っている〈テラーア〉に、情事的なことをした後を見られるのは、知らない人の十倍気まずいんだよ。


 僕が顔を伏せたのを誤解して、お腹を見ていると思ったのだろう。


 「太ってなんかいませんわ。さっき見せたでしょう」


 と〈アコ〉が怖い顔をして睨んできた。

 太っていると思われる、ほんのちょっとしたことにも敏感なんだ。

 でも、そんな〈アコ〉がなぜか可愛らしく感じてしまう。


 「お腹なんか見てないよ」


 僕が笑いながら言い返すと。


 「私は〈タロ〉様のことを誰よりも分かっているのですわ。間違うはずないでしょう」


 と怒りながらケーキをぱくついていた。


 まだ〈アコ〉とは、分かりあえてはいないらしい。

 でも結婚もしていなんだから、これからの努力次第なんだろう。

 たぶん、おっぱいをもう百回揉んだら、少しは分かり合えると思う。

 少なくとも、おっぱいの性感帯は分かるはずだ。



 次の日に、まだ処理しきれていない執務をこなしていると、〈サトミ〉がお茶を持ってきてくれた。


 「〈タロ〉様、お仕事も大切だけど、休むことも大事だと思うな。〈サトミ〉とお茶を飲もうよ」


 「うん、ありがとう。〈サトミ〉の可愛い顔を見ながら、お茶を飲むのは最高だよ」


 「あはぁ、いきなりそんなこと言わないでよ。そうだ、〈タロ〉様。お腹は空いていない。何か軽く口に入れるものを持ってこようか」


 〈サトミ〉は本当に可愛いな。

 少し褒めたら、手をワタワタと動かして照れてしまっているぞ。


 「口に入れるものか。そうだな、〈サトミ〉の胸を口に入れてみたいな」


 あぁー、セクハラ好きな中年のおっさん、みたいなことを口走ってしまったぞ。

 これは僕が悪いんじゃなくて、戦争と執務が僕に与えたストレスがそうさせたんだよ。


 「えっ、〈サトミ〉の胸。〈タロ〉様はエッチだよ。でも、それが〈タロ〉様の望みなら、恥ずかしいけど〈サトミ〉が叶(かな)えてあげるね」


 〈サトミ〉はそう言って、頬を赤く染めながら上着を脱ぎ出した。

 静かな僕の部屋には、〈サトミ〉が服を脱いでいく「シュル」「シュル」という音しか聞こえてこない。


 スリップも脱いだ〈サトミ〉は、おっぱいを両手で隠して僕を見詰めている。

 真っ赤な顔をしているけど、正面に立って僕を見ているぞ。

 僕は近づいて、〈サトミ〉をお姫様抱っこに抱えて、椅子に座った。


 〈サトミ〉はまだ両手でおっぱいを隠したまま、僕に抱きかかえられてギュッと目を閉じている。

 長いまつ毛が、秘(ひそ)かに震えていたかも知れない。

 その姿は戦死者を追悼(ついとう)した時、僕の隣に現れた〈サトミ〉の横顔とダブって見える。


 〈サトミ〉は目を閉じたまま、顔を僕の方へ傾(かたむ)けて、顎(あご)をクイっと上にあげてきた。

 キスをし易(やす)いようにしてくれたのだろう。

 僕は〈サトミ〉に覆(おお)いかぶさって、〈サトミ〉の唇に〈チュッ〉とキスをした。


 「んうん、〈タロ〉様。やっとキスが出来たよ。ずっと待っていたんだよ」


 〈サトミ〉は目尻に涙を溜めてこう言ったから、僕は涙を舐めるように目にキスをした。

 〈サトミ〉は、少しくすぐったそうに、身体を捩(よじ)っている。


 「〈サトミ〉もそうなのか。僕もずっとしたかったんだ」


 「あはぁ、一緒なんだ。すごく嬉しいな」


 「うん、嬉しいな。でも手を退(の)けてくれたら、もっと嬉しいかな」


 「ふぅん、やっぱり退けるの。恥ずかしいから、あんまり見ないでよ」


 〈サトミ〉は、少しづつ両手を横に開いていくから、おっぱいが徐々(じょじょ)に見えてくる。

 〈サトミ〉はワザとやっている訳じゃないと思うけど、あざといくらいにいじらしく感じてしまう。

 おっぱいを全てさらけ出した〈サトミ〉は、恥ずかしそうに呟いた。


 「うぅ、〈タロ〉様。これでいい」


 「うん。でも身体を丸めていると、口に入れにくいんだ。胸を張ってくれよ」


 「そんな。〈サトミ〉に、そんなことをさせるの」


 〈サトミ〉は、無理難題を押し付けられたって感じで、目を見開いて僕に抗議してきた。


 「うーん、どうしても出来ないなら大丈夫だよ」


 「はぁー、分かったよ。ちゃんと〈サトミ〉の所へ帰ってきてくれたんだ。〈タロ〉様にご褒美(ほうび)をあげるよ」


 〈サトミ〉が背を反(そ)らすようにしたから、おっぱいが僕の目の前にやってきた。

 〈サトミ〉のおっぱいは、重力に全く影響されていないように、まん丸を保っている。

 小さな身体に艶(つ)やかな真球(しんきゅう)が、二つ付いているような造形美だ。

 それに恥ずかしさのためか、体勢が少し苦しいのか、艶やかな真球がブルブルと震えているため、僕の興奮も最高潮になってしまう。


 僕は〈サトミ〉の背中にガッと手を差し入れて、引き寄せると同時に右のおっぱいの上部にキスをした。


 「あっ、いやっ、そんなぁ」


 〈サトミ〉の言葉を無視して、今度は左のおっぱいだ。

 〈サトミ〉は言葉とは裏腹に、手は身体の横で握って抵抗はしてこない。

 好きにして良いってことだよな。


 僕は〈サトミ〉のおっぱいへ吸い付くようなキスの雨を降らした。

 キスする度に、〈サトミ〉は「あっ」とか「いやっ」とかを口にしている。

 自然と出るらしくて、自分ではコントロール出来ないようだ。

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