第529話 エロエロのバカ達がアホなことしている

 ただ、これから何十年も共に過ごす相手だ。

 こんなことで、悩んではいけない。


 「〈アコ〉、下が見えているぞ」


 「きゃー、〈タロ〉様は、そんなとこを見て。いやらしいですわ」


 慌てて〈アコ〉が、バスタオルを下に引き下げたら、今度はポロンとおっぱいが跳び出してしまった。

おっぱいは塊だから、出る時は全てなんだな。

良い勉強をさせて貰ったよ。


 「きゃっ、〈タロ〉様。見ましたわね」


 〈アコ〉はおっぱいを片手で隠して、もう片方でバスタオルを押さえている。

 ただし、言うまでもなく、おっぱいは片手で隠せる大きさではない。

 そんな甘い大きさではないんだよ。


 「それは。あんなにポロンとしたら、そりゃ見えるよ」


 誤魔化したりはもうしない。僕も生おっぱいに、少し慣れてきたんだろうな。

 それに今も、殆ど見えているもの。


 「うっ、もう、〈タロ〉様は。普通のように言わないでください。後ろを向いて、もう私の方は見ないように」


 〈アコ〉はおっぱいを隠すのを諦めて、僕の背中を洗ってくれるようだ。

 〈クルス〉は腰を落として、僕の足の爪の間を一心に洗ってくれている。

 くすぐったいし、そんなに汚れていないのにな。


 「そうだ。この前の授業で一緒だった、《青燕》生から〈クルス〉の話を聞いたよ」


 「えっ、どのようなことですか」


 〈クルス〉は意表を突かれて、よほど吃驚したんだろう。

 立ち上がろうとした瞬間に、置いてた石鹸を踏んだみたいで、お尻から見事にコケてしまった。


 「きゃー、痛い」


 〈クルス〉はお尻を強打して、足は大股開きになってしまっているぞ。

 バスタオルはめくれ上がって、清楚(せいそ)なブラックが僕の目の前にご開帳だ。

 先から水滴が零れ落ちる所まで、見えてしまった。


 〈クルス〉は慌てて股を閉じたけど、茫然とした顔になっている。


 「うぅ、〈タロ〉様に見られてしまいました」


 〈クルス〉は、少し涙目になってとても悲しそうな顔だ。

 涙目になっているのは、可哀そうに強打したお尻が痛いのだろう。


 「〈クルス〉、お尻は大丈夫かい。股の間は、一瞬だから暗くて見えなかったよ」


 「はぁー、腰を落としていましたから、それほどではありません。本当は見えたでしょう」


 《青燕》生の話を気にしていたようだが、もうどうでも良いらしい。

 何かしらのショックで、吹っ飛んでしまったのだろう。


 「〈クルス〉、あまり気にするなよ」


 「うぅ、そうなのですけど。こんな事故は本意(ほんい)ではありません」


 〈クルス〉はガクッと肩を落として、元気なく石鹸を見詰めている。

 この石鹸が、悪さをしたのだと思っているのだろう。

 僕は、〈クルス〉の特別なサービスを見せて貰って幸せな気持ちだから、あまりその石鹸を責めてやるなよ。


 「〈タロ〉様、ここの皮の間が取りにくいよ」


 「あっ、〈サトミ〉、そこは触ったらいけないよ」


 あ、危ないな。

 〈サトミ〉は、どこを洗おうとしているんだ。

 おまけにタブーとなっていることを、気軽に表現するなよ。

 何でも素直に言ってはいけなんだよ。


 「あははっ、〈タロ〉様は微妙なお年頃だもんね」


 〈サトミ〉こそ、花も恥じらう年頃なんじゃないのか。

 いつか〈サトミ〉の身体に、羞恥(しゅうち)ってものを叩きこまないといけないな。


 その後は、〈アコ〉が背中におっぱいを押しつけて前を洗ってくるし、〈クルス〉はショックから立ち直って手の爪の間を洗ってくれた。

 〈クルス〉が屈(かが)むたびに、谷間の奥がチラチラと見える。

 〈サトミ〉は僕の腰やお尻が担当のようで、際どい所を洗ってくる。

 嬉しそうに洗っているから、止めてくれと言いにくいな。


 僕のあそこは、とっくに元気になっているぞ。

 三人の前で爆発させるのは、どうしても避けたい。

 ただ、こんな洗い方をされては時間の問題だと思う。


 「もう、泥は落ちただろう、僕を解放してくれよ」


 「ふふふ、私達が〈タロ〉様を、虐めているように言わないで欲しいですわ」


 「うふふ、〈タロ〉様も醜態(しゅうたい)を晒したらいいのです」


 自分で勝手にコケたくせに、〈クルス〉は何を言ってるんだ。


 「あはぁ、〈タロ〉様はもう降参(こうさん)するの」


 「あぁ、降参だ」


 僕はそう言って、「ザバーン」とお湯を頭からかぶった。


 三人は僕の余波でバスタオルがドボドボに濡れて、身体の線がクッキリと見えている。

 僕が身体をガン見してやると、「嫌らしい目つきです。もう上がってください」って言ってきた。


 はぁー、何とか爆発は回避出来たな。


 僕が〈南国果物店〉の奥で、火照った身体を冷やしていると、着替え終わった三人が合流してくる。

 喉が渇いたと言うので、〈サトミ〉が学舎で買ってきた牛乳を飲むことにした。

 もちろん、腰に手を当てた《ラング》伝統の飲み方だ。


 ぐぃーと飲んだら、皆の唇に白い牛乳がついているぞ。

 僕は〈アコ〉の唇に唇をつけて舐めとってあげた。

 〈クルス〉と〈サトミ〉は、横で順番を待っているみたいだ。

 順番に唇で牛乳を舐めとると、四人とも不思議に笑いが込み上げてくる。


 唇に牛乳がついていたのが、可笑しかったのか。

 神妙(しんみょう)に順番を待っていた二人が、可笑しかったのか。


 笑い声をあげる僕達を、〈カリナ〉と〈ルメータ〉の赤ちゃんが「へっ」っていう顔で見ているぞ。

 たぶん、エロエロのバカ達がアホなことしていると思っているんだろう。 

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