第508話 仲良く風にヒラヒラ揺れる

 おっぱいだけじゃ済まないぞ。

 部屋着に手を差し込んで、お尻も触ろう。


 しばらく、〈クルス〉の瑞々(みずみず)しい、唇とおっぱいとお尻を堪能していたら。

 僕の股間にスベスベなものが、差し込まれてきた。


 えっ、嘘だろう。

 〈クルス〉もなのか。


 繊細で冷ややかな感触が、僕のあそこを襲っている。

 僕は腰が砕けて、四つん這(ば)いになったまま、身を硬くするしかない。


 サワサワとした感触がゾクゾクとしして、逃げられないんだ。

 この与えられる感触を逃したくないと、僕のスケベが叫んでいるんだ。


 どれ位の時間かは判然としないけど、不意(ふい)に終わりがやってきた。

 僕の身体は一回跳ねて、その後ダルダルになってしまったのだ。

 頭の整理が出来ないまま、ぼっーとした時間が過ぎていいく。


 午前中にも出したのに、午後も簡単に出たな。

 これじゃ、グルグルをとても笑えないぞ。

 何か打開策を、検討する必要があるな。

 あぁ、くだらない考えしか浮かばない。

 

 〈クルス〉は、僕のズボンとパンツをテキパキと剥(は)ぎとり。

 今は、僕のパンツを手洗いしてくれている。

 ニチャニチャは気持ち悪くないのかと、つい思ってしまう。

 手を動かす時に、〈クルス〉の腰も揺れるので、楽しんでいると勘違いもしそうだ。


 「〈タロ〉様、私の奥の手はどうでしたか。その感じなら、喜んで頂けたようですね。すごく恥ずかしかったのですが、このお礼にして良かったです」


 洗ったばかりのパンツを持ちながら、〈クルス〉は真っ赤な顔で言っている。

 やったことが恥ずかしいのか。

 持っている僕のパンツが、恥ずかしいのか。

 どっちなんだろう。


 僕は、ドボドボに濡れているパンツが恥ずかしい。

 剥(む)き出しになっている下半身が、スウスウしているぞ。

 

 〈クルス〉も気が付いたのだろう。

 鞄から、真っ青なパンツを取り出してくれた。

 用意してあったんだ。

 計画的な犯行だったんだね。


 それにしても青色か。

 抜けるような秋の晴天を、表しているんだろう。


 僕は真っ青なパンツを着用して、少し冷静さを取り戻した。

 青色は、冷静になって落ち着く効果があるんだよ。


 「〈クルス〉、どうしてなんだ」


 「今のままでは、〈タロ〉様が辛抱(しんぼう)出来ないと思ったのです。だから、放出して頂きました。放出したら、爽快(そうかい)な気分でしょう。今私が出来る限界です。平気な振りをしていますが、すごく勇気がいったのですよ」


 「あ、ありがとう」


 うー、話の流れでお礼を言ってしまったが、これで良かったのだろうか。

 うーん、あれは直ぐ出たけど、良く考えないと答えが出せないな。


 「うふふ、どういたしまして。このパンツは、乾かしてからお返ししますね」


 えっ、〈アコ〉と違って〈クルス〉は大部屋のはずだ。

 この僕のドボドボのパンツを、どこに干すつもりなんだろう。


 「えっーと、そのパンツは、どうやって乾かすんだ」


 「はぁ、乾かす場所は、《赤鳩》の屋上しかありませんよ」


 〈クルス〉は賢いと思っていたけど、バカなのか。

 男物のパンツを干せば、そう言う仲だと疑われてしまうだろう。


 「えっ、バレちゃうよ」


 「うふふ、そう言う心配ですか。でも、〈タロ〉様との仲は、もうそうなっています。変な虫がつかないように、自分で流しました。うふふ、このパンツは物証(ぶっしょう)に最適ですね」


 〈クルス〉は、僕の濡れたパンツを、大事そうに洗濯袋へ仕舞っている。

 上機嫌で、嬉しそうな顔をしているぞ。

 大切な物証だからか。

 でも、ニチャニチャしてたんだぞ。


 僕のパンツは、《赤鳩》の学舎生の色とりどりの下着と、仲良く風にヒラヒラ揺れるのか。

 すごく羨(うらや)ましいぞ。

 せめて匂いだけでもつけて、帰っておいで。

 言っておくけど、石鹸の匂いは却下だ。



 今日は〈アコ〉と〈クルス〉から、思ってもいないことをされた。

 あんなことを二人がするとは、想像もしていなかった。

 悲壮感はなかったけど、望んでしたことじゃない気もするな。

 僕の欲望を逸(そ)らすために、やったことだろう。


 二人に恥ずかしいことを、させて良かったのか。

 気持ち良かったと言う本音と、それはあんまりだと言う建前(たてまえ)が、並列して僕の中に存在している。

 いとも簡単に放出して、少し情けないと言う気持ちもある。


 もう一年も経たないうちに、結婚するんだ。

 この位は、許容範囲だとエッチな心は主張してやがる。


 僕の出来ることを考えた。〈アコ〉と〈クルス〉に、もっと好きだと言おう。

 それと感謝を伝えよう。


 二人がしてくれたことは、心の底から嬉しいとハッキリ伝えれば良いと思う。

 あんなことでも、触れ合いであることには違いない。

 より深い触れ合いと、言えなくもない。


 僕も負けないように、もっと触らねばならないな。


 それに、とても気になることがある。

 僕のあそこに対する評価が、何もなかったことだ。

 一体、大きいのか、小さいのか、どう思っているのだろう。


 「きゃー、こんなにおっきいの。こんなの無理だよ」

 とか何とか言う、テンプレが欲しかったんだ。


 どうして言ってくれないんだ、〈アコ〉〈クルス〉。

 僕は、心の底から待っています。


 だけど、本音はいりません。

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