第501話 遺憾と思う
もうちょっとしたら、狼の僕が、丸裸にした兎ちゃんの二人を、美味しく召し上がってあげよう。
ピンク色の丸裸も良いけど、バニーちゃんの扮装(ふんそう)をさせて、震える耳と尻尾を鑑賞するもの捨てがたいな。
「今も、震えが止まらないのか」
「そうなのですわ。思い出しただけで、震えが起きる怖い顔なのです」
「〈タロ〉様も、一度、会ってください。私達の気持ちが分かります」
うーん、一言で言うと、うざったい。
〈サヤ〉は、鍛錬や練習のことしか頭にないので、あまり関わりを持ちたくない。
関わりを持つ意味が、僕には見いだせない人種だと思う。
でも、〈アコ〉と〈クルス〉の頼みを、冷たく断ることも出来ないな。
僕なら何とかしてくると、期待されているんだ。
その信頼には、答えたいと強く思う。
その暁(あかつき)には、鮮やかなエッチが、僕を待っているはずだ。
鮮やかなエッチとは、どう言う意味かと問われたら。
動きや技術が巧みで,心と身体がすっとすると、答えたい。
要は、雰囲気で言ったにすぎない。
どうでも良いことばかり、頭に浮かんでくるな。
それより、〈サヤーテ〉と言う名の〈藍色の女豹〉に、どう手綱(たづな)をつけるかだ。
おぉ、鳥じゃなくて豹だけど、一石二鳥を狙ってみるか。
「王子との剣の練習に、連れていってみようか」
「婚約披露の席で、王子様に嫌味(いやみ)を、言われていましたわね。でも、そこに〈サヤーテ〉先生を、連れて行くのはどうしてですか」
えっ、あれは嫌味だったのか。
まさか、御手討ちにされないよな。
「確かに、〈サヤーテ〉先生は、剣の練習なら同行されると思います。ただ、王子様は、お強いのですか」
弱い相手では、不機嫌さが増すことを、危惧(きぐ)しているのか。
〈クルス〉は、〈サヤ〉のことをよく見ているな。
鬼に合って身体が竦(すく)むように、怖すぎて目が離せないのかも知れないな。
「王子か。まあ、普通だな。僕が期待しているのは、近衛隊だよ。たぶん、強いんじゃないかな」
「〈タロ〉様、それで〈サヤーテ〉先生は、収(おさ)まるのですか」
「〈アコ〉の心配は、もっともだ。ただ、近衛隊がすごく強ければ、〈サヤ〉の機嫌も、少しは良くなると思うよ」
「〈タロ〉様、質問です。〈サヤーテ〉先生の機嫌が、悪い原因をご存じなのですか」
〈クルス〉の質問で、少し理解出来た。
〈アコ〉と〈クルス〉が、このほど〈サヤ〉を怖がっているのは、機嫌が悪くなった原因が、全く分からないことかも知れないな。
自分達が怒らすようことを、したんじゃないかと、疑心暗鬼(ぎしんあんき)になっているんだろう。
「たぶん、魔獣討伐隊に選ばれなかったことと、選ばれた人の〈スキル〉が、第二段階に進んだことだと思うよ」
「はぁー、魔獣討伐に、行きたかったのですか。そんなこと、思いつきもしませんわ」
「ふぅー、〈サヤーテ〉先生らしいと、言って良いのでしょうか。ただ、私には、到底(とうてい)理解出来ません」
「まあ、どうなるか分からないけど。悪くは、ならないと思うから、一度誘ってみるよ」
「どうか、よろしくお願いします。〈タロ〉様だけが、頼りです」
〈アコ〉と〈クルス〉は、両側からしがみ付いて、おっぱいの谷間で腕を包んでくる。
僕に期待している笑顔と、おっぱいが、とても柔らかいぞ。
左右の腕を同時に、おっぱいで挟まれたら、頑張るしかないな。
ただ、おっぱいを押し付けられたら、何でも望みを、叶(かな)えている気がするな。
でも、おっぱいの感触だけが理由じゃない。
僕におっぱいを押し付けることが、少しも嫌そうじゃないことも大きな要因だ。
おっぱいと、おっぱいを僕に許している気持ちが、両方とも僕に幸せをもたらしてくれるんだ。
二人が僕に、心を許してくれていることが、堪らなく嬉しいと思う。
だから、押し付けられたおっぱいを、どう弄(いじく)るのかが、僕の大きな課題だ。
おっぱいを、上手く揉んで、歓喜をもたらす必要があるんだ。
うーむ、著(いちじる)しく困難な課題だけど、一心に頑張ろう。
いつの日か、腕以外のものを、おっぱいの谷間で包んで貰うんだ。
僕は王宮に使いを出して、剣の練習に、赴(おも)く旨(むね)を伝えてみた。
〈アコ〉と〈クルス〉には悪いけど、断られても良いなと思ってしまう。
使いを出した後に、出さなけで良かったと後悔し始めたんだ。
王宮で王子と剣の練習なんて、気を使うだけで、何も面白くない。
当たり前のことを、今になって、気づいてしまったんだ。
王宮のメイドの、ミスコンだったら、喜んでいくのにな。
ただ、そんな催(もよお)しは、実施されていないらしい。
開催すれば、入場料だけでも、良いお金になると思う。
余談(よだん))はさておき、王子の返事は、待っているってものだった。
遺憾(いかん)に思う。
「次の休養日に、〈リィクラ〉卿も、同行されたい。近衛隊の、希望である」
何だか、すごく、上から目線じゃないか。
あんたは、何様だと言いたい。
でも、向こうは、王子様だけど何か文句があるのか、と言ってくるだろう。
僕は、華麗に土下座をかまして、泣いて許しを乞(こ)うに違いない。
王家は、ミスコンはしないし、土下座までさせるなんて、土台から腐っていると思う。
本当に、遺憾と思う。
瓦解(がかい)してしまえ。
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