第482話 大サービス

 「〈タロ〉様、〈クルス〉ちゃんに、悪戯(いたずら)をして、ニヤニヤ笑っているのは。ちょっと、どうかなって思うな」


 「うん。反省しているよ。だから、真面目に〈スズキ〉を塗ってあげるよ」


 「本当かな」


 僕は、最初は真面目に、〈サトミ〉の腕と脚を塗ってあげた。


 ただ、〈サトミ〉だけ塗れるところが、目についた。

 〈サトミ〉は、身長が低いから長椅子に、サンダルを脱いで座っているんだ。

 だから、足の指の間と、足の裏も塗ってあげよう。

 〈サトミ〉だけの大サービスだ。


 「ひゃー、〈タロ〉様は止めてよ」


 〈サトミ〉は、吃驚したように身体を起こして、手で僕を止めさせようとしてくる。

 でも、力が入ってなくて、とても僕を止められそうにない。


 「裸足だから、ここも日焼けするよ。しっかり、塗ってあげるって」


 「うっ、もう、もう、くすぐったいんだよ。ひゃはは」


 〈サトミ〉は、止めるのを諦(あきら)めたのか。

 そんな余裕も、なくなったのか。

 足の指を、ピーンと伸ばしたり、グッと縮めたり、忙しいことになっている。


 さらに、足を盛んに動かすので、ワンピースの裾の奥が、露(あら)わになっているぞ。

 時おり見える色は、青色だ。

 この大空と、大海原に、合わせたのかも知れないな。

 たぶん、違うだろう。


 「少し我慢しろよ。下着が、見えているぞ」


 「ひぁん、見ないでよ。ひぁひぁ、我慢出来ないよ」


 〈サトミ〉は、足の指をそり返して、ぐったりとしてしまった。

 脚を開いたままで、股間(こかん)の青色を、隠す気力もないようだ。

 目からは涙が、零れそうになっている。


 ちょっと調子に、乗り過ぎたな。

 僕は、〈サトミ〉へ覆(おお)いかぶさるように、顔を覗き込んだ。


 「ふぅん、〈タロ〉様、どうして、止めてくれなかったの」


 〈サトミ〉は、掠(かす)れた声で僕に聞いてくる。

 理由は何だろう。自分でも、良く分からない。


 好きな子に悪戯をする。

 少しエッチなことをしたかった。

 弱点を責めて、優位に立とうと思った。


 どれも違う気がするし、少しは合っている気もするな。


 「うーん、〈サトミ〉に、触(ふ)れていたかったんだ」


 「はぁ、それがどうして、足の裏なの」


 「足の裏も可愛いかったんだ。〈サトミ〉は、どこが良かったの」


 〈サトミ〉は、少し口をとがらせた。

 怒っているようにも見えるが、ここに触れろ、ってことだよな。


 僕は、とがらせている〈サトミ〉の口に、そっと唇を重ねた。

 〈サトミ〉は、「んん」と声を出して、満足そうに見える。


 気を良くした僕は、〈サトミ〉の唇を、貪(むさぼ)るように吸ってあげた。

 「チュル」「ヂュル」と音が、出てたと思う。


 「〈タロ〉様。もうこれ以上、〈サトミ〉に、恥ずかしいことをしないで」


 〈サトミ〉は、そう言ったけど。

 身体の力は抜けていて、ぐったりとしている感じだ。

 今何をしても、抵抗しなそうだ。


 現に、おっぱいを触っていても、手で押さえることもしないでいる。

 僕の目を、見詰めているだけだ。少し悲しそうな目に見える。


 僕は、〈サトミ〉のおっぱいから手を離して、残っていた顔と首を塗ってあげた。

 ほっぺを両手で包み込むように、優しく塗ったんだ。

 〈サトミ〉の悲しそうな目は消えて、クリクリと良く動く、嬉しそうな目に変ったよ。


 「〈サトミ〉はね。やっぱり、〈タロ〉様が、好きだよ」


 「僕も、〈サトミ〉が、好きだよ」


 〈サトミ〉は、「へへっ」と笑って、僕の唇に「ちゅっ」としてくれた。


 〈アコ〉と〈クルス〉の視線は、海の方を向いている。

 でも、そんなに離れてないんだ。聞こえていたんだろうな。

 そう思うと、ちょっと照れ臭いぞ。


 だから、自分の顔にも、真っ白な〈スズキ〉を塗ってみた。

 こうすれば、赤い顔が誤魔化(ごまか)せるだろう。



 許嫁達が、航海の午前中は、練習をしようと言ってきた。

 どうも僕を暇にしておくと、ろくなことしか、考えないためらしい。


 それを聞いて僕は、少しムッとなった。

 ろくなことって、何だと聞いたら、エッチなことだと言い放された。

 うーん、そうかな。それだけ、じゃないはずだ。


 僕が、悩んでいるうちに、一日のスケジュールが決まってしまった。

 午前中は、言ってたとおり、練習に当てられる。

 と言っても、ダラダラと、体操や木刀を振るだけだ。

 監視の目がないので、気楽なもんだ。


 でも、身体を動かすのは、良いことだと思う。

 このぐらいの負荷が、ちょうど良い感じなんじゃないかな。

 心の底から、そう思うな。


 午後は、長椅子に座って優雅に過ごすか。

 許嫁達の歌を聞くか、リュートを少し弾いて、創造的な時間を持つことになった。


 創造的と言っても、しょせん素人のやることだ。

 身内だから、許して貰える技量だと思う。

 でも、親密さが、ドンドンと増していく感じが、かなり嬉しい。


 それから、許嫁達が僕に与えてくれる時間もある。

 夕食前に、一人ずつ僕の部屋を訪ねてくれるようになった。

 話もするけど、要はイチャイチャする時間だ。


 キスもするし、おっぱいもお尻も触れる。

 許嫁達も二人切りだから、嫌がったりはしない。

 僕の時間と言ったが、許嫁達も幸せそうに見える。


 夕食後は、皆でシャワーを浴びてから、就寝だ。


 ただ困ったことがある。

 イチャイチャして、シャワーの時に身体を洗われたら、僕の悶々(もんもん)が止まらないんだ。


 いつも、爆発一歩手前だ。我慢するのが、とても辛い。

 いっそシャワーの時に、爆発させてしまえと思ってしまう。

 後の処理も、シャワーで流せば済むからな。


 誰かが、性欲を運動で発散出来ると言っていたが、あれは嘘だと思う。

 運動している許嫁達の揺(ゆ)れるおっぱいと、弾(はず)むお尻が、反って加速させてしまうこともある。


 僕の限界が、近づきつつある、今日この頃です。



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 いつも読んで頂き、ありがとうございます。


 遅くからですが、「フォロー」をして頂いた方、「応援」「コメント」をして頂いた方、大変ありがとうございます。

 また、「星」を入れて頂いた方、誠にありがとうございます。


 本当に嬉しいです。心が躍ります。


 お手数とは思いますが、「星」や「レビュー」を頂ければ、大変有難いです。


 大変励みになります。明日への希望となりますので、よろしくお願いします。


 第7章が終わり、第8章「下半期は、困ったもんだ」編を始めます。


 これからも、どうぞよろしくお願いします。


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