第356話 絶対慣れません

 「そうか。そうだよな」


 「ふぅ、〈タロ〉様。本当に分かって頂けましたか」


 「うん。良く分かったよ。確かに、子供はまだ早いな」


 「そうです。私達にはまだ早過ぎますわ。それに待つ時間は、もう二年もありません。我慢してください」


 「ふー。我慢するよ」


 「はぁ、そんなに、がっかりしないでくださいよ」


 「えっ、がっかりしてる」


 「えぇ、お顔にしっかりと書いてありますわ。うーん、少しだけなら触っても良いですわ。私の胸を触りたいですか」


 「それは触りたいよ」


 「約束してください。胸だけですよ」


 「分かった」


 〈アコ〉はベッドの横に立って、スリップを頭から抜いた。

 下は厚手のスカートをはいているが、上半身は裸だ。

 何回見ても大きい。顔より大きいものが胸に二つもある。


 とんでもない存在感だ。頭が痺れて、おっぱいから目が離せない。

 頭の中も、目の中も、おっぱいしかない。

 僕は〈アコ〉のおっぱいを両手で掴んだ。でも、全てを掴み切れなかった。

 僕の両手から、はみ出してしまう。


 大柄ではない〈アコ〉にどうして、こんな巨大なものがついているんだろう。

 意味が分からない。けど、嬉しい気持ちになってしまう。


 敏感な部分は避けて、少し揉んでみた。手触りはスベスベで、柔らかい。

 揉むと指が沈んで行くし、フルフルと揺れる。フニュフニュのおっぱいだ。

 先っちょに少し触ると、〈アコ〉が「いゃっ」って小さく声を出した。


 〈アコ〉は、両手で顔を押さえている。僕におっぱいを触れるのが、恥ずかしいのだろう。

 そして、声が出るのを防いでいるのだろう。


 「〈アコ〉の胸は、大きくて綺麗だ」


 「んんう、〈タロ〉様。私の胸のことは言わないで。恥ずかしくて堪りませんわ」


 「そうなの。こんなに綺麗なのに」


 「んう、私は今、裸になって〈タロ〉様に胸を触られているんですよ。そんな時に話かけられても」


 「そうか。そうだよな。ごめん」


 胸をしばらく揉んでいると、〈アコ〉の身体が熱くなってきた。

 手の隙間から漏れる呻き声が、「はぁ」「はぁん」と大きくなってくる。


 「〈タロ〉様、もう良いでしょう」


 「えっ、まだ良いだろう」


 「もう限界ですわ。お願いします」


 〈アコ〉の顔を良く見ると、泣きそうな顔になっているようだ。

 うーん、もっと続けていたいけど、無理は良くない。

 〈アコ〉との関係を壊すわけにもいかない。これで終わりじゃないんだから、次に期待しよう。


 「分かったよ。また頼むよ」


 「えっ、またですか」


 〈アコ〉は、素早くスリップと上着を着た。そして、僕の胸に頭を預けてくる。

 自然と僕は、〈アコ〉をまた抱きしめた。


 「私は〈タロ〉様に、こうされているのが一番好きなんです」


 「胸を触られるのは嫌なの」


 「それは、ものすごく恥ずかしいですわ」


 「慣れて欲しいな」


 「今は、絶対慣れません」


 「そうなの」


 「そうですわ。だから〈タロ〉様は、もっと私を強く抱きしめたら良いのです」


 「このぐらい」


 「もっと、もっとですわ」


 こんなに強く抱きしめて、苦しくはないのだろうか。

 そうか、大きな胸がクッションになっているんだな。

 だから、〈アコ〉はもっと強くと言うんだろう。

 大きい胸が邪魔して、抱きしめられている感じが、薄いのかも知れない。


 「〈アコ〉、大きな胸も、良いことばかりじゃないんだな」


 「急にですね。でもそうですわ。色々不便なんです」


 「でも僕は好きだよ」


 「ふふ、知ってますわ。だから今は、大きな胸で良かったと思っています」


 僕は〈アコ〉のおっぱいを揉みながら、長いキスをした。


 「もう〈タロ〉様ったら、どれだけ私の胸が、お好きなんですか」


 〈アコ〉はそう言いながらも、怒ってはいない。微笑んでいるように見えた。

 「絶対慣れません」と言っていたけど、慣れてきたんじゃないのかな。




 〈サトミ〉の学舎試験があるので、もう王都に行くことにする。

 余裕を持って、準備させてあげたいと思ってのことだ。

 領地で過ごす期間が短くなるが、〈サトミ〉の重大事だから当然のことだと思う。


 今まで僕達が、王都に帰る時は、〈サトミ〉は一人で領地に残っていた。

 でも今回からは、学舎試験がどうあれ、〈サトミ〉も王都で生活する予定だ。

 だから〈サトミ〉を、一人で残していくこともない。

 それで、領地を早く離れても良いと考えたんだ。


 王都へ帰ると決めた日、厩舎にいるグルグルへ伝えることにした。

 放って置いても良かったんだが、問題を起こされたら困ると思ったんだ。

 もうほとぼりは冷めたので、どこかへ行けば良いと思う。

 一言で言えば、邪魔ってことだ。理解が及ばないものは、怖いってことだ。


 「僕達は王都へ帰るんだ。グルグルも、どこかへ行ったら良いんじゃないのか。もう大丈夫だろう」


 「はぁ、挨拶もなしに、いきなり追い出そうとは。やはり、童貞の雄はどうにもならんな。雌に相手にされないような小者は、この程度か。哀れなり」


 きぃー、腹立つな。


 最後の、哀れなり、ってどういうことだ。

 ボソッとした一言が、下半身にキューと突き刺さるぞ。 

 童貞の何が悪い。好きでやってんじゃないよ。おまえの相手のされ方より、数倍まだ。

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