第331話 口移し

 午前中の鍛錬を耐え、午後からの執務も頑張り、僕はベッドの上だ。

 でも、まだ眠るわけにはいかない。


 〈クルス〉の部屋に忍んで行かなければならない。

 昼の間に〈クルス〉へ、今晩行くとメモを渡してあるんだ。


 〈クルス〉の家の裏側には、樽が積んであった。

 〈クルス〉が昇りやすいように、置いてくれたんだな。

 〈クルス〉も僕を待っているんだ。


 寒いけど、心が温かくなるな。心がはやるぞ。ドキンドキンする。

 下半身にも、血が集まってきたぞ。ビクンビクンするぞ。


 〈クルス〉の部屋の窓を「コツ」「コツ」と叩いたら、窓が直ぐに開いた。


 「〈タロ〉様、危ないですので、直ぐに入ってください」


 〈クルス〉は、パジャマ姿だ。冬だから暖かそうなのを着ている。


 「〈クルス〉、こんばんは」


 「ふぅ、こんばんは、じゃないです」


 「それにしても、寒いな」


 「冬で真夜中なんですから、当然です」


 「それはそうだな。じゃベッドの中で話そうよ」


 「えー、そんな」


 「早く入ろうよ。このままじゃ、風邪を引いちゃうよ」


 僕は〈クルス〉の手を引いて、ベッドまで連れていった。


 「〈タロ〉様、やっぱりいけません。前みたいなことを、されるつもりでしょう」


 僕は無言で〈クルス〉を抱きしめた。当たっているから、何も言い返せないんだ。


 「ん、〈タロ〉様、本当にダメですって」


 僕は構わずに〈クルス〉にキスをした。このまま帰るわけにはいかない。


 「んうん、〈タロ〉様、もう止めて。このまま、なし崩し的に私を好きにするのでしょう」


 僕は、また無言でキスを続けた。そのとおりだけど、口に出していうことじゃない。

 行動で示させてもらおう。


 今度は、長く丁寧に唇を重ねる。

 〈クルス〉は、もう何も言わなかった。もう諦めたのだろう。


 僕は先にベッドに乗って、〈クルス〉をベッドの上に引き寄せた。

 そして、唇を割って〈クルス〉の舌をゆっくりと愛撫した。


 〈クルス〉は、「はぁ」って呻いて、僕の背中に手を回してきた。

 止めては欲しいんだけど、僕を抱きしめたい気持ちが勝ったのだろう。

 ここまでくれば、しめたものだ。次は耳を責めさてもらおう。


 僕は〈クルス〉の耳を舐めながら、パジャマの上からおっぱいを揉んだ。


 「いやっ、耳を舐めないで。胸も触らないで。はぁん、〈タロ〉様、お願い」


 僕は、〈クルス〉を押し倒して、耳を舐めながら、おっぱいとお尻を触った。

 〈クルス〉は、「はぁ」「はぁ」と息が荒くなっている。

 「んうん」「あん」と続けて、呻くようにもなってきた。

 もうすぐ、身体の力が抜けて、後はやりたい放題だな。


 「あん、〈タロ〉様、提案があるのです。寒いので、お酒を飲みませんか。私が飲ませてあげます」


 「飲ませてあげます」って、口移しのことなのか。

 真面目な〈クルス〉が、思いもよらないことを言うぞ。

 このまま続けて、〈クルス〉のおっぱいを触りたい気持ちは強くある。

 でも、せっかく〈クルス〉が言ってくれた、エッチな誘いを断れないな。

 ここは、ぜひとも乗らせてもらおう。


 「〈クルス〉、口移しで飲ませてくれるの」


 「恥ずかしいのですが、そうしようと思っています。お嫌ですか」


 「嫌じゃないよ。お願いしても良いかな」


 「うふふ、分かりました。少し待っててくださいね」


 〈クルス〉は、ベッドサイドに置いてあった、ワインの瓶を胸に抱いた。


 うーん、ワインの瓶がどうして置いてあったんだろう。

 ひよっとして、〈クルス〉は寝酒を嗜むのか。そんな風には思えないけど。

 人は見かけによらないってことか。でも、まだ若いのに、それはどうなんだろう。


 「〈タロ〉様、私が口に含みますので、お口を開けてください。ベッドの上ですので、絶対に零さないでくださいね」


 「分かった。零さないよ」


 〈クルス〉がワインを口に含んで、僕の唇に唇を重ねる。僕は唇を開いて、ワインを受け取る。

 零さないように、〈クルス〉の舌ごと、「ヂチュー」と吸った。


 〈クルス〉の唾液が混じったワインは、とても甘いな。

 いっぺんに、身体が温かくなってきた。僕はお酒に酔っているのか。

 〈クルス〉の甘い誘惑に、酔わされているのか。


 〈クルス〉は、僕に舌を吸われたので、目をつぶって耐えているようだ。

  身体が小刻みに震えて、両手を固く握っている。


 「はぁん、〈タロ〉様、もう一回いかがですか。まだお酒は、たっぷりとありますよ」


 「それじゃ、お願いするね」


 さっきと同じように、僕は「ヂチュー」と吸った。

 そして、〈クルス〉の舌に残ったワインを「ペロッ」って舐めとる。

 〈クルス〉の唾液が混じったワインは、とても美味しい気がする。

 いくらでも飲めるぞ。身体も、ポカポカとして熱いぐらいだ。


 〈クルス〉の様子をうかがうと。今度は、パジャマを固く握りしめている。

 〈クルス〉の呼吸が「はぁ」「はぁん」荒くなっているな。


 「あはぁん、〈タロ〉様、もっといかがですか。まだ寒いでしょう」


 「それじゃ、またお願いするよ」


 また僕は、「ヂチュー」と吸った。

 そして、僕に吸い出された〈クルス〉の舌を、「チュッ」って吸ってみる。

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