第320話 膨れ上がっていく

 「いゃっ、〈タロ〉様。〈サトミ〉は、まだ慣れていないの。そんなに強く抱きしめられたら、〈サトミ〉の心は、キュンとして辛いよ」


 「〈サトミ〉は辛いの」


 「うん。胸の奥が、痛いような感じなの。切なくなるの」


 「でも僕は、〈サトミ〉を離さないよ」


 「ううん、〈タロ〉様は、どうして、〈サトミ〉を離してくれないの」


 「それは、〈サトミ〉が好きだからだよ」


 「ふぁ、〈サトミ〉も、〈タロ〉様が大好きだよ。でもね。はあぁ、そんなこと言われたら、胸が熱くなって苦しくなっちゃうよ」


 「〈サトミ〉は苦しいの」


 「うん。苦しいけど、とっても幸せなの」


 僕は、〈サトミ〉の顎に手を当てて、顔を上げさせた。

 〈サトミ〉のまつ毛は瞬いて、何だか泣きそうな顔をしている。


 「あっ、いゃっ、〈タロ〉様、だめ。このままで、もう少し慣れさしてよ」


 僕は〈サトミ〉の願いは聞かずに、〈サトミ〉にキスをした。

 〈サトミ〉は「だめ」と言ったけど、僕が顔を近づけると、ギューと目をつぶっていた。

 たぶん、身体もギューって、固くしていたと思う。僕に慣れていないのは、本当のことなんだ。

 〈サトミ〉が、嘘を吐くわけないか。


 「んんう、〈タロ〉様、ひどいよ。〈サトミ〉は待ってて言ったのに」


 〈サトミ〉には悪いけど、僕に待つつもりはない。

 〈サトミ〉が、僕を怖いと思うだけ、僕の嗜虐心が膨れ上がっていく。

 〈サトミ〉の匂いと、ちっちゃくて可愛い唇を、思う存分味わってみたいんだ。

 

 僕のペースで、〈サトミ〉を堪能するぞ。


 今度は〈サトミ〉の唇を割って、舌を滑り込ませた。

 〈サトミ〉は、「んうう」って呻(うめ)いていたけど、抵抗はしなかった。

 〈サトミ〉は、基本、僕の好きにさせてくれる、優しい娘だ。少しぐらい、大丈夫だろう。

 だから、〈サトミ〉のちっちゃな舌を、僕の舌で嘗め回してやろう。

 舌以外の〈サトミ〉の口の中も、しつこく蹂躙してやった。

 


 「まぁんん」「おぇんん」と、〈サトミ〉は、僕に唇を塞がれて呻き続ける。

 「待って」「お願い」って、言っているのかも知れない。

 だけど、もっと〈サトミ〉を堪能したい。手でも、〈サトミ〉を堪能しよう。


 左手でお尻を、右手でおっぱいを少し乱暴に揉んであげた。

 〈サトミ〉のお尻とおっぱいは、プリンとして揉むと、大変気持ちが良い。

 いつまでも、プニュプニュと揉んでいられる。


 〈サトミ〉は、両手を使って、お尻と胸を守ろうと邪魔はするけど、キスは続けている。

 顔を振って、僕の唇から、逃げようとはしない。でも、お尻とおっぱいは、ダメなんだろう。

 〈サトミ〉は、エッチなことが、好きってわけじゃないからな。


 僕は、キスをしながら、〈サトミ〉の身体をまさぐり続けた。

 しばらくまさぐり続けると、〈サトミ〉は、僕の邪魔をするのを諦めたみたいだ。

 両手をダランと、力なく垂らしている。どうしたんだろう。疲れたのかな。


 〈サトミ〉の顔を見ると、涙が一筋流れ落ちているのところだ。

 あっ。これは、またやり過ぎたか。これじゃ、僕は変質者と変わらない。


 「〈サトミ〉、ごめん。もうしないよ」


 「ぐすっ、〈タロ〉様。〈サトミ〉に、エッチなことをして、虐めないでください。〈サトミ〉は、ずっと我慢して〈タロ〉様を待っていたのに」


 「すまない。〈サトミ〉は我慢していたのに、僕は我慢出来なかったんだ。〈サトミ〉の顔を見たら、愛しい思いが暴走したんだ」


 「ふぁ、〈タロ〉様は、〈サトミ〉が愛しいの」


 「そうだよ。だから止められなかったんだよ。〈サトミ〉に、触れたかったんだよ」


 「ふー、それなら、しょうがないですね。でも、〈サトミ〉の身体を、あんな風に撫でまわすのは、止めてください。もっと優しくして欲しいです。〈タロ〉様が怖かったの」


 はぁー、良かった。〈サトミ〉は、あんまり怒っていないな。

 〈サトミ〉は、少しぐらい強引にしても、「好き」とか「愛おしい」とか言えば、何でも許してくれる良い娘だ。

 大変扱いやすい。それに、かなり僕に慣れたようだ。強引にしたのが、良かったんだと思う。

 この方が手っ取り早い。


 「僕が怖かったの」


 「はい。そうです。〈タロ〉様の目が、発情した獣の様で、すごく怖かったです」


 〈サトミ〉さん、比喩(ひゆ)のようで、それは、比喩にはなっていないよ。

 自分でも、発情していると思うから、そのままだよ。僕は獣さ。

 君は、これからも、ずっと怖い思いをするんだ。覚悟しておいて欲しいな。


 「そうか。これからは気をつけるよ。〈サトミ〉に怖い思いはさせない」


 そうだよ。気持ち良い思いを、させてあげるからね。

 二人で、もっと気持ち良いことを一杯しようね。


 「〈タロ〉様、お願いがあるの、言ってもいい」


 「良いよ。何でも言ってご覧」


 「あはぁ、嬉しいな。それじゃ、〈タロ〉様がくれた置物のように、二人で草原を走ってみたいの。ダメですか」


 〈サトミ〉は、僕と二人でいるのは良いけど、屋内はマズイと思ったんだな。

 外なら、僕に襲われないと思ったんだろう。うーん、確かに、多少は効果があると思う。


 「うーん、それは馬で走るってこと」


 「そうです。〈青雲〉と〈ベンバ〉に乗って、どこまでも駆けてみたいの」


 「そんなこと、お安い御用だよ。昼から遠乗りしようか」


 「わぁ、ありがとう、〈タロ〉様。約束だよ」

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