第306話 僕ちん

 「はぁーん、〈タロ〉様。僕ちんのお尻を見ているでしょー。視線が熱くて、ぞくぞくして来ちゃいまーす。もっと見たいでしょー」


 〈クルス〉は、下着を僕に見せるために、わざと屈んだらしい。

 今は屈みながら、お尻をフリフリと左右に振っている。

 お尻がブルブル弾んで、僕の心はスイングしている。


 〈クルス〉は、こんなエッチな娘だったのか。変り過ぎだよ。

 下着が見えたのは良いけど、少し怖くなってきた。


 「あなた。いい加減にして。早く昇りなさいよ」


 〈アコ〉が、堪らず〈クルス〉を注意してきた。イライラが、頂点に達しているようだ。


 「フン、妖怪乳袋は、貴族を鼻にかけてまーす、偉そうで五月蠅いでーす」


 えー、嘘だろう。それ絶対言っちゃいけないヤツだぞ。


 「な、なんですって」


 〈アコ〉は、信じられないって感じで、過呼吸気味になっている。

 怒りで、上手く言葉が出て来ないみたいだ。僕も、今起こっていることが、信じられない。

 それでも、何とか屋根裏部屋にたどり着いた。


 でも、〈アコ〉と〈クルス〉の仲が、このままじゃ崩壊しそうだよ。僕はどうしたら良いんだ。

 僕が悩んでいるのを横目に、〈クルス〉はサッサと服を着替え始めた。

 〈アコ〉は、〈クルス〉をじっと睨みつけている。

 コイツをどうしてやろうかと、考えている目だ。険しくて、チビリそうだよ。


 〈クルス〉は着替えていると思ったけど、スリップも脱ぎ出した。

 えー、何しているんだ。


 「〈タロ〉様、僕ちんのおっぱいは、どうでしょー。プリプリしているから、いやらしい目で見てるネー。ふふふ」


 〈クルス〉は、両手を広げて、僕におっぱいを見せつけている。全く隠そうとはしていない。

 上半身は裸で、身に着けているのは、黒のショーツだけだ。

 生真面目だった〈クルス〉が、娼婦のようにふるまっている。


 また、頭の中を何度も?が飛びかった。おっぱいは、飛び出したままだ。


 〈クルス〉のおっぱいは、肌と同じでとても白い。

 いつもは隠されている分だけ、余計に白いと思う。青い静脈が透けて見えている。

 透明感がある白さだ。

 張りはあるのに、中は柔らかそうに見える。それに、けっこう大きい。

 半球のように盛り上がって、美しい形だと思う。

 先っちょは、少し陥没気味で、周りより少しだけ色が濃い。でも薄い色だ。


 僕は〈クルス〉のおっぱいから、目が離せない。

 見たいと思っていたものが、目の前で惜しげもなく晒されているんだ。

 凝視するのは当たり前だよ。


 でも、こうも開けっぴろげで見せられるとは。想像の範疇を大きく超えている。

 見れて嬉しい反面、言いようのない違和感を持つ。心から喜べない。あそこも、半起立程度だ。

 僕のあそこは、何か不安要素を嗅ぎ取っているらしい。


 後ろには〈アコ〉もいるし、〈クルス〉にどう声をかけたら良いのか。頭が混乱するばかりだ。 


 「えっ、〈クルス〉」


 「〈タロ〉様、おっぱいを見た、感想とかないのでーすか。しょうがないわネ。触っても良いのでーす」


 えー、今度は触れって言っているのか。

 僕はさらに違和感を持ったが、身体は〈クルス〉に吸い寄せられてしまう。


 生のおっぱいを、触る誘惑には勝てない。いや、初めから勝負になりはしない。

 ブラボー、ファンタスティック、おっぱいだ。


 「〈クルス〉、触っても良いの」


 「もちろんでーす。僕ちんのおっぱいを、自由に触って良いょ」


 僕は、〈クルス〉のおっぱいを優しく触っていく。生で触るのはこれが最初だ。

 〈クルス〉のおっぱいは、生はさらに柔らかくて、フルッてしている。

 肌理が細かくて、肌触りが素晴らしい。スルスルってしている。


 「あん、〈タロ〉様、くすぐったいでーす。でも、感じちゃったょ。もっと大胆に触ってょ」


 そう言うなら、遠慮なく触らして貰おう。

 僕は、おっぱいを持ち上げるように、下から揉んでみた。〈クルス〉のおっぱいは、僕が揉むのに合わせて、形を変えていく。

 そして、元に戻ろうとする。張りがあるのに、ふかふかだ。プルンプルンしているぞ。


 「そこまでよ。あなた、〈クルス〉ちゃんじゃないわね。〈クルス〉ちゃんをどうしたの。言いなさいよ」


 〈アコ〉が、真っ赤な顔で〈クルス〉に問いただしている。腰に両手を当てて、仁王立ちだ。

 「〈クルス〉ちゃんじゃない」って、どういうことだろう。

 確かに、今の〈クルス〉は、猛烈に変だとは思う。


 「フン、妖怪乳袋は気づいたの。そうでーす。僕ちんは、このがり勉のくせに恋人がいる、許せない女を乗っ取ったのでーすょ。はははっ、〈クルス〉ちゃんは、身体を奪われて泣いているみたいでーす。笑えるのでーす。ははははっ」


 「酷いことしないで、直ぐに〈クルス〉ちゃんを返して。そうじゃないと、承知しないわよ」


 〈アコ〉は、胸を隠そうとしているのか、〈クルス〉に抱き着いている。

 もうおっぱいは見えない。悲しい気持ちになるな。


 「ちょっとー。妖怪乳袋、何するのでーす。離しなさいょ。離さないと酷いことしょーっかな」


 「そっち方が、何してんのよ。早く〈クルス〉ちゃんを返しなさいよ」


 「フン、そんなに言うなら返しまーす。その代わり、乳袋に憑りついてやりまーす」

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