第303話 堪能出来た

 僕達は、二人並んでベンチに座った。

 この場所は、樹木の種類が変わって、緑の中に赤や黄の紅葉も混じっている。

 一面が紅葉ってわけじゃないけど、それでも綺麗だと思う。

 小径から、少し外れているからか、小鳥の声しか聞こえない。二人だけの世界だ。

 二人の吐息の音がやけに大きい。


 僕は、赤い紅葉を手に持っている〈クルス〉の両肩を掴んで、少し強引に振り向かせた。

 もう待てない。


 「あぁ、〈タロ〉様、待っていました」


 〈クルス〉は、待っていてくれたようだ。嬉しい気持ちが溢れて、心が満たされていく。

 〈クルス〉は、僕の目を見詰めた後、静かに目を閉じている。


 僕は〈クルス〉の唇に、貪るように吸い付いた。激しかったと思う。

 さっきの光景に、あてられたのかも知れない。僕達からも、音が漏れていた。

 「チュパ」「チュパ」と。


 「んん、〈タロ〉様、情熱的なのは嬉しいのですが。少し押さえてください。この後が怖いです」


 「怖くなんかないよ」


 僕はそう言って、〈クルス〉の耳を触りながら、もう一度キスをした。

 今度は吸うのではなく、〈クルス〉の口の中へ、僕の舌を差し入れた。


 〈クルス〉は、逃れようと身体をくねらせたけど、もう舌は口の中へ入っている。

 そして僕は、〈クルス〉の舌をなぞるように動かし始めた。


 「んっんっ、〈タロ〉様、もう止めて。あっ、あっ、耳と舌は、私弱いんです。はぁん、知ってるくせに、狡いです」


 そうだよ。知っているから、責めているんじゃないか。〈クルス〉は何を言っているんだろう。

 もっと責めて欲しいのかな。でも、〈クルス〉は僕の腕を掴んで、引き離そうともしている。

 どっちなんだろう。


 〈クルス〉の耳を触って、舌を舐め続けていたら、〈クルス〉の手から力が抜けた。

 身体も結構熱くなっている。これで〈クルス〉の身体を、ある程度自由に出来そうだな。


 僕は〈クルス〉を、僕の股の間に座らせて、後ろから胸を揉んだ。

 さっきの男女のように、膝の上に座らせるのは、しないことにした。

 そこまでしたら、〈クルス〉も本気で抵抗すると思う。


 だから、ブラウスのボタンを何個か外して、スリップ越しにおっぱいを触ることにした。

 おっぱいを揉むだけで、我慢しておこう。

 これ以上のことは、僕も野外では恥ずかしいし、したくない。

 〈クルス〉のあられもない姿を、他に人には絶対見せたくない。

 僕達は不倫じゃないから、パートナーを晒すようなまねはしない。

 服の下で、おっぱいを揉むのが限度だと思う。これなら、〈クルス〉は服を着たままだ。


 〈クルス〉の耳を舐めながら、おっぱいを揉み続ける。

 両手でおっぱいを、下から支えるように揉みしだく。

 〈クルス〉のおっぱいは、僕の手の平にジャストフィットだ。

 とても揉みやすい。揉み心地が良い。


 親指を脇の下に入れて、横乳も忘れないように、円を描いて揉みしだく。

 スペンス乳腺の開発も忘れてはいないぞ。


 〈クルス〉の先っちょは、もう固くなって、ピンと立った状態になっている。

 固くなった先っちょを、フェザータッチで触ったり、少しコネコネしてみた。

 〈クルス〉は、もう身体中が真っ赤だ。喉を反らして、「はぁ」「はぁ」と荒く喘いでいる。   時々、「はぁん」「あん」という声も混じり始めてきた。


 僕は無防備に晒された、喉の根元を強く吸った。

 〈クルス〉にキスマークをつけたんだ。僕の印だ。


 「あっ、あん、〈タロ〉様、もうダメです。もう止めて。んっんっ、私を先程の女性にみたいにしたいのですか。声が押さえられません。はぁん、私に印をつけられたのなら、もう良いでしょう。それで、今は我慢してください」


 パートナーを晒すようなまねはしないと思っていながら、少しやり過ぎたかな。

 何と言っても、野外だしな。僕は、特別露出が好きなわけじゃない。今のところは。


 「そうだな。〈クルス〉を堪能出来たから、もう止めるよ」


 「んん、もう。私を堪能って、どういう意味ですか。いやらしい言い方です」


 「そう言うなよ。僕は〈クルス〉が大好きってことだよ」


 「はい。私も〈タロ〉様が大好きです。でも今のは、誤魔化されたようにも思います」


 「そんなことしないよ」


 僕は、念押しで〈クルス〉に軽いキスをした。

 〈クルス〉は、最初「んんう」と少し抵抗してたけど、抱きしめると背に手を回してきた。


 「〈タロ〉様は狡いです。私の気持ちを、段々都合の良い方に、変えていかれています」


 「えっ、そんな力は、僕にはないよ」


 「いえ。すごく強い力です。私はそれに抗えません。以前はそれが怖かったのですが、今は怖ささえ感じなくなりました」


 「怖くなくなったら、良いじゃないか」


 「そうかも知れませんが、狡いと思います」


 「どうして、狡いんだ」


 「それは。私が変えられたのに、〈タロ〉様が変わったように思えないからです」


 「そうでもないよ。僕は〈クルス〉のことが、前よりうんと好きになったと思う。〈クルス〉には、そう見えないかな」


 「実は、私にもそう見える時があります。でもそれは、私の願望で、そう思い込んでいると縛めています。私の目は、〈タロ〉様をちゃんと見られていないと思うのです。〈タロ〉様に、深く囚われ過ぎて、冷静な判断が期待出来ません」

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