第295話 口移し

 これ以上は止めておこう。生も見たし、今は機嫌が良くないみたいだ。

 それに、ドレスをもっとよく見たい。少し離れないと良く見えないんだ。

 もう一度、今度は長くキスをして、二人で並んで絨毯に座った。


 「〈タロ〉様、喉が渇きましたわ。お先にお茶を飲みますね」


 僕は、〈アコ〉が水筒からお茶を飲むのを見ている。でも、口元じゃない。胸の辺りだ。

 ドレスの空いているところから、おっぱいが半分以上見えているんだ。

 胸が突き出ているから、このドレスでは隠しきれていないんだ。

 いや、このドレスは隠すことを、半分以上放棄していると思う。

 手が勝手に、おっぱいの方に伸びてしまいそうだよ。


 「〈タロ〉様も飲みますか」


 「それじゃ、〈アコ〉が飲ませてくれよ」


 セクシーなドレスを見ていると、エロい気持ちが湧き上がってしまう。


 「えっ、私が水筒を持つのですか」


 「違うよ」


 「えっ、ええっ、もしかして口移しでですか」


 「うん」


 「そんな」


 「早く」


 「もう、〈タロ〉様は」


 それでも、〈アコ〉はお茶を口に含んで、僕に飲ませようとしてくれている。

 お茶を含んで膨れた口が、何とも可愛い感じだ。顔も薄っすら赤い。


 やっぱり、表情にはまだ少女が残っていると思う。

 でも、身体に少女らしさは、少しも残っていないのが不思議だと思う。


 僕は、〈アコ〉に口移しをして貰いながら、おっぱいを触った。

 もう、我慢が出来ないんだ。おっぱいの見えている部分。上乳と内側の横乳をそっと触った。

 しっとりと、ふにゅっとした手触りだ。ひもを解いてみたくなる。


 〈アコ〉の口からは、〈アコ〉の口内で、少し温められたお茶が注ぎ込まれる。

 〈アコ〉の唇の感触の後、お茶がとぷっと流れ込んできた。

 僕が〈アコ〉の何かの液体を受け入れて、〈アコ〉が自分の液体の一部を、僕に差し出した気がした。


 「あん、いやっ。飲ませてあげているのに、胸を触るなんて。〈タロ〉様は、もう」


 「ごめん」


 「このドレスを着ていると、〈タロ〉様は、おかしくなるようですね。もう着替えますわ。このドレスは、結婚するまで着ませんからね」


 そう言うと、〈アコ〉は服用の箪笥の前まで行って、着替え始めた。

 後ろ向いてだ。ただ、今度も、僕に「向こうを向いていて」とは言わなかった。

 でも、ドレスをストンと落とした後、素早くスリップを着ている。

 長く見せてくれる気はないようだ。

 しばしの間、〈アコ〉の濃い青のショーツ一枚だけの後ろ姿が、見られただけでもよしとしよう。


 あー、このドレスは結婚するまでお預けか。まあ、それ用のドレスとしか見えないしな。

 母親の形見が、それ用で良いのか。問題ないと思う。

 亡き母も、孫が出来るきっかけになったら、きっと喜ぶだろう。


 「〈タロ〉様、夕食を頂きましょう」


 「えぇ、もうそんな時間なの」


 「そうなのです。〈タロ〉様といると、時間があっと言う間に経ちますわ」


 「そう言えば、少し暗くなっているな」


 「もう秋も半ばを過ぎましたから、日が短くなりましたわ」


 「少し寂しいな。〈アコ〉ともっと一緒にいたいよ」


 「私も、もっと一緒にいたいですわ。寂しいのも一緒です」


 夕食を食べ終わり、〈アコ〉は水筒からお茶を飲んでいる。


 「もう一度、お茶を飲ませてよ」


 「ううん、食べたばかりの時はダメですわ。お口の中へ、食べ物のカスが入ってしまうかも知れません。そんなの、とても恥ずかしいことなんです」


 〈アコ〉は、「コイツ、何てことを言うんだ」という顔で、僕を見ている。

 これは、普通に言ってもしてくれないな。

 僕は、〈アコ〉を抱き寄せて、耳元に囁いた。

 声を低く落として、少しかすれ気味になるように、小声で囁く。


 「〈アコ〉、今日のドレスは、とても色っぽかったよ。本当に素敵だったよ」


 「んんう、〈タロ〉様、褒めて頂いて嬉しいのですが。耳元で囁いたら嫌ですわ。もう止めて。身体の奥が、ゾクってなってしまうのです」


 「そんなこと言わないでよ。〈アコ〉が、すごく可愛いから止めないよ」


 「あっ、止めてって言っているのに。可愛いなんて言わないで。んんん、〈タロ〉様は、私が耳元で囁かれるのが弱いと、分かってやっているんでしょう」


 「そうだったかな。ドレスを着た〈アコ〉を、褒めているだけだよ。すごく綺麗だったな」


 僕は、今度はお尻に手を伸ばして、優しく触り始めた。おっぱいだけ触るのは不公平だろう。


 「あっ、あっ、〈タロ〉様、綺麗だなんて言いながら、触ってくるのですね。んんう、私が抵抗しないと思っているのでしょう」


 「僕に、お尻を触られるのが嫌なの」


 「あん、嫌とは言ってませんわ。んっんっ、でも、あまりに好き放題されるのも。それは許したくないのですわ」


 「じゃ、抵抗するの。触るのを邪魔してない気がするけど」


 僕は、〈アコ〉のお尻全体を、撫で回すように触り続けた。

 太ももの内側から、割れ目に沿って撫で上げることもした。


 「んっんう、私、力が入らなくて。〈タロ〉様に、しがみ付いているのが、やっとなのですわ。〈タロ〉様は、狡いと思います」


 「えっ、どうして狡いの」


 僕は、〈アコ〉の部屋着の隙間から、手を入れてショーツの上から、お尻を弄った。


 「あっ、そんな。んんう、やっぱり、〈タロ〉様は狡いですわ。んんん、お茶を飲ませてあげますから、もう許して」

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