第290話 僕は、フニャフニャ

  こうなったので、夕食会はお開きとなった。副旅団長は、奥さんに背負われて帰っていった。

 うーん、背負うのか。


 船長は。船長は〈リク〉に任そう。

 海に捨てて来いって言ったら、笑いながら「不法投棄はいけません」と言っていた。

 許可があれば良いのか。どっちにしても、船長はゴミなんだな。


 僕は、何とか部屋に、たどり着けた。千鳥足で、フラフラだったと思う。

 どうしてだが、廊下も波打っていたからな。歩きにくかった気がする。

 この旅館には、波があるので、海の上に建っているのだろう。


 記憶が、飛んで良く覚えていないけど。

 〈アコ〉と〈クルス〉が、横で支えてくれていたようだ。

 さすがに、背負うことは出来なかったんだろう。やっぱり、奥さんはすごいな。


 そのまま、僕はベッドに倒れ込んで寝ようとした。

 眠くて仕方がないし、少し気分も悪い。


 「〈タロ〉様、寝てはダメですわ。お風呂に入ってください。汗をあんなにかいて、そのまま寝るなんて、いけませんわ」


 「えー、お風呂は良いよ。今、入ったら身体にも悪いと思う」


 「身体に悪いのは、そのとおりです。だから、お風呂といっても、湯船には入らずに、身体を洗うだけにしてください」


 「えー、もう動けないよ」


 「ふー、しょうがない人ですね。あんなに、お酒を飲むからですわ」


 「はぁ、〈タロ〉様、これからは、程々にした方が良いです。後が辛くなりますよ」


 二人は、僕をお風呂に無理やり引きずっていった。

 もう、僕の身体は、フニャフニャだ。二人のなすがままだ。


 「〈タロ〉様、重いですわ。自分でも歩いて」


 「両足を一度に出したら、ダメでしょう。歩く気があるのですか」


 二人は、苦労して僕の服をはぎ取っているようだ。

 パンツが特に汗で濡れているって、遠くの方で聞こえたような、ないような。

 服を脱がした後、僕が自分で洗うのは、無理だと判断したようだ。


 「〈クルス〉ちゃん、仕方ありませんわ。二人で〈タロ〉様を洗いましょう」


 「〈タロ〉様が、こんなフニャフニャだと、そうするしかありませんね。左右から、半分ずつが効率的だと思います」


 この辺りで、僕の記憶は全くなくなってしまった。断片的にも覚えていない。

 思考力も、著しく低下していたようだ。


 「ふぇーん、僕はフニャフニャじゃない。カチンコチンだ」


 「〈タロ〉様は、泣き上戸なのですか。でも、とてもカチンコチンとは言えませんね」


 「ふぇーん、ふぇーん、〈クルス〉が虐めるよ」


 「はぁ、〈タロ〉様は、カチンコチンですわ。これで満足ですか。小さな子供になっていますね」


 「ふー、私も言ってあげますよ。〈タロ〉様は、カチンコチンで固いです。すごく固いカチンコチンです。一杯言いましたよ」


 「ふんふんふん、カチンコチンコチンカチンだ」


 「うふふ、〈タロ〉様。それはなんですか」


 「ふふふ、面白い歌詞ですね。童謡のようですわ」


 二人は、僕を洗うため、スリップ姿になっていたらしい。

 それも、濡れて肌に張りついていたので、裸と変わらなかったみたいだ。

 それなのに、僕は何も覚えていない。

 完全に酔いつぶれていたので、全く認識が出来ていなかった。

 あぁ、カチンコチンコチンカチン、なんて言っている場合じゃなかったんだ。


 「ひゃっ、ダメです。太ももから、手を退けて下さい。そんなところを触られたら、洗えませんよ。どうして、変な所ばかりに手がいくのでしょう」


 「きゃっ、〈タロ〉様、胸を触っちゃいけませんわ。もう酔いつぶれているくせに触るなんて。本当に、もう」


 「〈アコ〉ちゃん、〈タロ〉様のあそこどうします」


 「うーん、目をつぶって二人で洗っちゃおうか」


 「一応つぶりますか。もう一杯見ましたけど、私達は淑女ですからね。ふふふ」


 「うふふ、私達は、もう夫人みたいなものです。でも、まだ夫人じゃないですもの。慎みは必要ですわ」


 「あれ、目をつむると、あそこが分かりませんわ。どこへ行ったのかしら」


 「うーん。私も、探しあぐねています。おかしいですね。どこにもないです」


 「あっ、〈タロ〉様の目から涙が流れていますわ」


 「本当ですね。何か悲しいことが、あったのでしょうか」


 夜中に目が覚めた。喉がすごく乾いている。頭もズキズキ痛い。二日酔いらしい。

 飲み過ぎたな。起き上がって、水差しからゴクゴクと水を飲んだ。生き返るな。もう一度寝よう。


 〈アコ〉と〈クルス〉は、すやすやと寝息を立てて、おやすみだ。

 でも、〈アコ〉は、また上下逆さまで寝ているな。

 僕の目の前に豊かなお尻が、デーンと横たわっている。少し触ってみよう。

 寝相が悪いから、ショーツが少しめくれているな。お尻の素肌がすべすべだ。

 触り心地が大変良い。


 「うー、ひゃっ」


 おっと、起こしたらマズイ。次は〈クルス〉だ。

 〈クルス〉は、僕に背を向けて寝ている。

 後ろから、両手でおっぱいを揉み揉みしてやろう。柔らかくて、ちょうど手の平に収まるぞ。

 先っちょも、プックリしている。クネクネしてみよう。


 「あっ、うーん」


 おっと、起きそうだ。これくらいで止めて、もう一度寝よう。明日の早朝に帰るんだから。

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