第235話 中を観察

 「〈タロ〉様、この階段の先に言っていらした、もう一つの部屋があるのですか」


 〈アコ〉が、長い階段の先を見詰めながら言ってきた。

 階段が、あまりに長くて急だから、戸惑っているのかも知れない。


 「そうだよ。狭い部屋なんだけど、屋根裏部屋があるんだよ」


 「三階にも部屋があるとは、思いませんでした。それにしても、急な階段ですね」


 屋根裏だから、建物の外見からは、〈クルス〉にも分からなかったのだろう。

 この階段は、誰が見ても、急で危ない感じだよな。


 「そうなんだ。危ない階段だから、気をつけて昇らなくてはならないんだよ」


 「でも、手すりが両側についていますわ。ゆっくり昇れば何てことないですわ」


 まあ、〈アコ〉は、この階段を昇れないと言える気持ちにはならないよな。

 この階段が昇れないのでは、自分の失敗が明確になるからな。


 「私もそう思います。慎重に昇れば問題ないと思います」


 〈クルス〉も、この階段を昇れないとは、言えないよな。


 「二人の言う通りだと思う。念のため、僕が一番最後に昇るよ。万が一、足を滑らせても受け止めるから心配しないで」


 「分かりました。私が最初に昇りますわ」


 〈アコ〉〈クルス〉僕という順番で、階段を昇っていくことになった。

 〈アコ〉も〈クルス〉も、両手で確実に手すりを掴んで、慎重に昇っていく。

 僕もその後ろから、最悪のことを考えて、手すりを強く握って昇る。


 前の二人が落ちてきた時に、的確に対処出来るように、少し間隔を空けることにした。

 そして、〈アコ〉と〈クルス〉が、昇っていく様子を、しっかりと確認するのも忘れていない。

 危機的な状況化においては、何よりも即応性が求められるからな。

 救助するべき対象を観察するのが、第一に取るべき手段だと言えるだろう。


 そう言うことで、まず〈アコ〉のスカートの中を観察させて貰った。


 〈アコ〉は、僕にショーツを見せながら、階段を慎重に昇っていく。

 階段が急だから、もう丸見え状態だ。


 色は白か。まあ、学舎生だから順当だろう。


 下着が見えているのを、気にしている様子はない。

 今はそんなことを考えている余裕はないのだろう。当然、後ろを振り返る恐れもない。

 見放題と言えるだろう。


 ただ、狭い階段だから、どうしても〈クルス〉の身体が邪魔になる。

 〈クルス〉の身体の隙間から、チラチラとしか下着が見えないのが、非常に残念だ。

 世の中、そんな甘いものではないな。


 次は、〈クルス〉の番だ。

 僕のすぐ前で、階段を恐る恐る昇っている。


 スカートに包まれたお尻が、僕の真ん前で左右に揺れているぞ。

 〈クルス〉のお尻は小さい方だが、それでも目に前にあると、存在感が際立つようだ。

 お尻を左右に振っているのは、僕を誘っているのかも知れない。


 手すりを離して、〈クルス〉のお尻を、今直ぐ触りたい欲求に駆られてしまう。

 〈クルス〉のお尻は、大変危険な揺れる物体だ。僕の心も揺れている。

 今触れば、〈クルス〉は吃驚して、足を踏み外す可能性がある。やっちゃいけないと思う。

 〈クルス〉を、危険に晒すようなまねをしてはいけない。


 お尻の誘惑から抜け出して、本来の目的に戻ろう。

 頭を切り替えて、〈クルス〉のスカートの中の観察を始めよう。


 〈クルス〉は、手すりをしっかりと握って、集中して階段を一歩ずつ昇っている。

 階段の踏み板と自分の足に、視線を集中させているから、後の僕に全く意識がいってないようだ。 

 大変良いことだと言える。


 もしも、気付いてスカートの後ろを手で隠そうとしたら、危険だからな。

 手すりから、手を離してはいけない。事故の元だ。

 僕が〈クルス〉を観察するのも、安全のためだ。致し方がないんだよ。


 ただ、もう少し角度が欲しいので、僕は一旦昇るのを止めて立ち止まった。

 段々角度がついて、スカートの中が見えていくのが、すごくワクワクするぞ。

 楽しいな。嬉しいな。心臓が高鳴るな。


 待った甲斐があって、〈クルス〉の下着が見えた。〈クルス〉も白色だ。二人とも白色か。

 違う色が見たかったな。だけど、贅沢を言ってはいけない。


 今日は、階段下から、ショーツを覗けることが出来た記念日だ。お祝いの日なんだ。

 オー ・ハッピー・デイだ。エロスの神様なら、きっと祝福をしてくれるだろう。

 それにこれから、何色も見ることが出来るだろう。白しか持ってないはずはない。

 前に違う色を見たこともある。どうしてもなら、買ってプレゼントする手もある。

 ただ、これはやり過ぎだな。気持ち悪いと言われる、可能性があるな。


 〈クルス〉のショーツは、お尻にピッタリ張り付いて、〈クルス〉のお尻の形になっている。

 小振りの白桃だな。月並みな表現だな。二つの月が、合わさった感じと言おう。

 〈クルス〉が、階段を昇るたびに、ショーツが少し捩れるのも良い。


 いつまでも、飽きずに見ていられるぞ。未来永劫、この世の終わりまで見ていたい。

 あっ、突然、〈クルス〉のショーツが見えなくなった。また、お尻が見えるようになったぞ。

 どうしたんだろう。一体全体、何が起ったんだ。

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