第227話 〈アコ〉と話がしたい

 「いやっ、〈タロ〉様。これは、完全に添い寝じゃありませんわ」


 「それじゃ、これは何て言うのかな」


 「そんなこと、私が、知っているわけないでしょう。〈タロ〉様、この状態は困るんです。私を離してください」


 「どうして。抱きしめてって言ったのに」


 「言いましたけど。このままだと、私にエッチなことをされるでしょう」


 「ダメなの」


 「うぅ、私は、どうぞ、って言いませんわ」


 〈アコ〉の目を見詰めると、〈アコ〉は不安げに目を閉じた。

 キスは待っているけど、他に何をされるか心配なのだと思う。

 少し身体を堅くしているな。身構えている感じだ。


 まず、キスをしよう。

 〈アコ〉の唇に唇を合わせて、吸ったりなぞったりした。

 〈アコ〉は、「んうん」って感じで、少し喘いでいる。


 キスだけなので、安心した〈アコ〉の身体から、固さが少しとれた。

 続けて、舌を〈アコ〉の口の中へ滑り込ませた。口の中を舌で愛撫する。

 ディープキスも、相当エッチだと思うけど、キスだからエッチじゃないらしい。

 この辺は、良く分からないな。まあ、良いか。気にしたら、負けだ。


 〈アコ〉は、「はぁん」って感じで、鼻にかかった声を出してきた。

 ここまでくると、〈アコ〉の身体は、全く固さが無くなった。

 身体から、力が抜けてグニャってなって、僕に身体の全てを預けている感じだ。

 もう、あまり抵抗しないだろう。


 僕は、〈アコ〉の部屋着の裾に手を入れて、〈アコ〉のお尻をまさぐった。

 〈アコ〉は、ピッタリした木綿のショーツを履いているようだ。

 ショーツ越しの〈アコ〉のお尻が、柔らかくて気持ちが良い。

 ショーツが何色なのか、見てみたいな。


 〈アコ〉は、身体をビクッとさせて、フリフリとお尻を左右に動かしている。

 僕の手から、逃れたいようだ。でも、少しくらいの動きでは、逃げることは出来ない。

 僕は続けて、〈アコ〉のお尻の感触を楽しませて貰おう。


 でも〈アコ〉は、お尻が逃げられないことを悟ったのか、今度は僕のキスから逃れた。


 「はっ、あぁん、〈タロ〉様。やっぱりエッチなことをしましたね。思ったとおりですわ。前に何度も、もう少し待ってと言ってますよね」


 「そうなんだけど、どうしても触りたくなったんだ。少しだけなら、良いだろう」


 「うんもう、〈タロ〉様、狡いですわ。そんな風に、お願いされたら断り難くなりますわ」


 「〈アコ〉が好きだから、〈アコ〉の魅力的なお尻が触りたいんだよ」


 「ふぅ、私のお尻は大きいだけで、魅力的ではありませんわ。でも、〈タロ〉様がどうしてもと仰るのなら、少しだけなら良いです」


 「あははぁ、やった。触れるぞ」


 「はぁ、もう触っておられますわ」


 僕は、〈アコ〉のお尻をたっぷりと触った、横の方も、割れ目の近くもだ。


 「あぁん、〈タロ〉様。少しだけって言う約束ですよ」


 〈アコ〉が文句を言うので、キスで口を塞いで、もう少し触った。


 「はぁん、〈タロ〉様。これ以上は、もうダメですわ」


 〈アコ〉は、強引に僕の身体の上から離れた。最初の半分添い寝の状態に戻っている。

 なんだ、その気になれば、逃げることが出来たのか。


 隣に寝ている〈アコ〉を見ると、「はぁ」「はぁ」と息が少し荒くなっている。

 何だか息が荒い〈アコ〉は、色っぽくなっているな。

 胸元から、下着の白いスリップも見えている。


 僕は胸元から、手を差し入れて、〈アコ〉のおっぱいを触った。

〈アコ〉は、僕の顔を見て少し涙ぐんでいるようだ。


 「うぅ、〈タロ〉様は、私にエッチなことばかりされます。私とは、それだけなのですか。私とは、お話をしたくないのですか」


 「えっ、そんなことはないよ。〈アコ〉と話がしたいよ」


 「本当ですか。それではお話をしてください」


 「分かったよ」


 「〈タロ〉様、分かったと言ったくせに、まだ私の胸を触っていますわ」


 「あっ、触りながらは、ダメなの」


 「はぁー、ダメに決まっています。触られていると、私が話せなくなります。抱きしめながらなら、良いですわ」


 それから、僕と〈アコ〉は話をした。僕は、主に旅団と執務の愚痴だ。

 〈アコ〉は、《白鳩》で起きた色々なことだ。

 友達が、あんなことや、こんなことも、したとか。

 誰それが、婚約したとか、別れそうとかを、僕に話してくれた。

〈ミ―クサナ〉が、言ってくる嫌味の愚痴も少し入っていたな。


 僕は、〈アコ〉に愚痴を言ったら、何だか心が晴れた気がする。


 〈アコ〉は、僕の愚痴を聞いても嫌な顔を一つもせずに、「本当にそうですわ」「〈タロ〉様は正しいですわ」と全てに頷いて、共感してくれる。

 〈アコ〉とは、考えが合うな。いや、僕に合わせてくれているんだろう。


 でも、〈アコ〉が無理にそうしているわけでも、なさそうだ。

 コロコロと良く笑って、楽しそうに見える。

 自分の思いの、逆を言わされているという感じではない。


 話している間は、〈アコ〉をずっと横から抱きしめていたけど、ずっと〈アコ〉は僕に身体を傾けていた。

 会話が途切れた時は、僕を見詰めてくるので、軽い目のキスをしておいた。

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