第206話 〈サトミ〉との絆

 「あはっ、〈タロ〉様、泣くほど喜んでくれたんだ。嬉しいな」


 「えっ、僕、今泣いているの」


 「うん。目尻に涙が溜まっているよ。〈タロ〉様、自分では分からないの」


 「そうか。〈サトミ〉の踊りに感動したんだな。〈サトミ〉の気持ちに感激したんだと思う。王都へ行っても、今日の踊りは忘れないよ。〈サトミ〉のことは、絶対忘れないよ」


 「ふへぇ、〈タロ〉様、そんな風に、言わないでよ。〈サトミ〉、我慢してたのに、もう持たないよ」


 〈サトミ〉の目尻には、みるみる涙が溜まっていく。

 まだ、涙は流れ落ちてはいないけど、見ている間に、決壊してしまうだろう。


 僕は、慌てて〈サトミ〉に駆け寄って、しっかりと抱きしめた。

 だけど、抱きしめたのは、何も効果がなかったようだ。


 涙が、〈サトミ〉の目尻からポロポロ溢れ出して、頬から顎へ、伝って零れていく。

 〈サトミ〉の我慢が、壊れて零れていっている。

 〈サトミ〉は、しゃくり上げるように泣いて、僕の胸に顔を埋めてきた。


 僕を引き留めようとしているのか。自分も連れて行って欲しいのか。

 〈サトミ〉自身にも、分からないのだろう。


 僕は、〈サトミ〉の頭を撫ぜながら、困ったな、と思ってた。

 僕は、〈サトミ〉の背中をさすりながら、可愛いな、と思ってた。


 〈サトミ〉は、少ししたら泣き止んだけど、まだ鼻をスンスン鳴らしている。

 僕は、〈サトミ〉の頬についた涙の跡を、親指を使って拭ってあげた。

 〈サトミ〉は、じっと僕を見上げながら、「タロ様」って、か細く呟いた。


 僕は、〈サトミ〉の目を見詰めた。〈サトミ〉も、僕の目を見詰めている。

 〈サトミ〉が、何か訴えている。でも、僕には、よく分からない。


 僕と〈サトミ〉が、交わす視線に、何か絆があるのかも知れない。

 何も見えないのだから、何もないとも思う。あるように思うのは、単なる思い込みなんだと思う。


 〈サトミ〉の訴えとは、違うかも知れないが、僕は〈サトミ〉にキスをしよう。

 〈サトミ〉との絆を深めれば、いつか、分かる時が来るかも知れない。

 せめて、分かるように足掻いてみせよう。

 大切に思っていると、分かって貰える努力をしよう。


 「〈サトミ〉、キスして良いかい」


 「うん。〈タロ〉様。〈サトミ〉は、待ってたよ。待ってるよ」


 僕は、〈サトミ〉の唇に、静かに唇を重ね合わせた。手は腰に回して、強く抱き寄せた。

 〈サトミ〉も、僕の首にぶら下がるように、しっかりと抱き着いてきた。

 〈サトミ〉の小さな手が、僕の首に巻きついて、離さないと訴えている。

 〈サトミ〉の小さな吐息が、僕の耳をくすぐって、連れていってと訴えている。


 僕は、〈サトミ〉の涙の跡を舐めとるように、キスを繰り返した。

 目尻も、頬も、顎にもキスをする。


 「ひゃぁ、〈タロ〉様。くすぐったいよ。〈サトミ〉の顔を、そんなに舐めたいの」


 「〈サトミ〉の顔は、可愛いからな」


 「あはっ、それじゃ、〈タロ〉様。もっと舐めて。もっとキスして、欲しいんだ」


 〈サトミ〉は、本当に、くすぐったいのだろう。

 すくめるように、身体を捩っていたけど、目をキラキラと輝かせて、もう笑っていた。


 もっと、僕と引っ付きたいのか、爪先だって、胸を僕に押し付けてくる。

 〈サトミ〉の弾力のあるおっぱいが、僕に当たって潰れて変形している。

 小さな身体から突き出した、こんもりと形が良いおっぱいだと想像出来た。


 下を覗けば、〈サトミ〉の小振りのお尻が、見えている気がする。

 爪先立っているのと、僕が強く抱いているので、短いワンピースから、お尻が零れているようだ。


 でも、そこにあるのは分かるけど、何も見えないぞ。

 暗いのと、ショーツが黒色だから、同化して見えないんだ。

 それらしい、黒い塊が見えるだけだ。


 見えているのに、見えないなんて、僕の理性が決壊しそうだ。

 あるのは分かるが、見えないものを、確認したくなるのは当然だろう。

 〈サトミ〉を大切に思っていることと、矛盾しないかは考えない。

 僕は、〈サトミ〉が好きなんだから、きっと許してくれるはずだ。


 僕は、〈サトミ〉のお尻に手を伸ばして、ショーツ越しに触った。

 〈サトミ〉のお尻は、胸と一緒ですごく弾力があり、僕の手を跳ね返してくる。

 揉んでも直ぐに、まん丸に復元する。でも、柔らかい。

 柔軟な筋肉の上に、適度に脂肪が被さっている感じだ。

 運動選手のお尻に近いんだろう。揉んだことは、ないけれど。


 「きゃん、〈タロ〉様。〈サトミ〉のお尻を揉むんですか」


 「嫌かい」


 「ふんぅ、恥ずかしいけど、〈タロ〉様が揉みたいのなら、我慢するよ」


 「ありがとう、〈サトミ〉」


 〈サトミ〉のお許しが出たぞ。それじゃ、胸も揉もおう。


 僕は、〈サトミ〉のおっぱいにも手を伸ばした。

 柔らかいけど、すごく弾力がある。ゴムマリのような、むにゅむにゅおっぱいだ。

 左手でお尻を、右手でおっぱいを揉みしだく。


 〈サトミ〉は、下半身と上半身を交互に捩って、僕の手から逃げようとしてくる。

 でも、少しくらい捩っても、逃げることは出来ない。

 ずっと揉み続けられる。

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