第190話 ミニ検証

 「この服のことは、気にいったよ。〈サトミ〉に良く似合っている。

 ますます、〈サトミ〉が可愛くなっているよ」


 「あはっ、嬉しいけど。〈サトミ〉は、そんなに可愛くないよ。褒めすぎだよ、〈タロ〉様」


 〈サトミ〉は、よほど嬉しいのか。頬を両手で押さえながら、頭をフリフリしている。

 照れながら、喜んでいるのを、表す動作のようだ。


 「でもな、〈サトミ〉。丈が短いな」


 「えっ、〈タロ〉様。短いのはダメなの」


 「うーん、嫌いでは無いんだ。

 むしろ大好物なんだけど、〈サトミ〉の下着を誰かに見られたらと思うと、ちょっとな」


 「うー、そんなに短いかな。見えちゃうかな。〈タロ〉様、本当は嫌なんだ」


 〈サトミ〉は、ワンピースの裾を下に引っ張りながら、俯いてしまった。


 魚を食べ終えた〈トラ〉と〈ドラ〉が、また、僕の足首に爪を立てて、ガシガシと嚙ついている。 普通に痛いし、魚の生臭いのが、ズボンに着いちゃうよ。誤解だ。止めてくれ。


 〈サトミ〉を、虐めているわけじゃないんだ。

 〈サトミ〉の下着を覗く、変態の目から、〈サトミ〉を守ろうとしているだけなんだよ。

 〈トラ〉と〈ドラ〉よ。話せば分かるはずだ。だから、離してよ。


 「検証しよう」


 「えっ、〈タロ〉様、何のこと」


 「本当に、下着が見えてしまうか、実際に検証してみよう。

 検証した結果で、考えたら良いんじゃないか」


 「はぁ、検証なの。下着が見えなければ、この服は着て良くて、下着が見えれば、この服を着てはいけないってこと」


 「そうだな。もし、下着が見えるようなことがある場合は、この服を着る場面を、限定するってことだな。他人がいる場所では、着ないとかだよ」


 「ふーん、どうやって検証するの」


 僕は、〈サトミ〉の手を引いて、小屋の中へ入った。


 「検証の方法は、〈サトミ〉が色んな動きをして、下着が見えるか確認するんだ」


 僕は、ソファーに座って、〈サトミ〉は目の前に立っている。

 検証するためには、目線は低い方が良いんだ。


 「〈タロ〉様、〈サトミ〉は、どんな動きをすれば良いの」


 「そうだな。まずは歩くか。〈サトミ〉、足を高く上げて、足踏みをしてくれ」


 「〈タロ〉様、こんな感じかな」


 〈サトミ〉は、その場で、元気よく腿を上げて、足踏みを始めた。

 腿を高くあげるたびに、太ももの裏側が見えてしまう。


 ただ、下着までは見えないな。でも、低い位置からでは、見えてしまうと思う。

 微妙だ。


 「〈サトミ〉、足踏みはもう良いよ。足踏みでは、下着は見えなかったよ。次は背伸びをしてみてくれ」


 「うん、分かったよ。背伸びだね」


 〈サトミ〉は、手を上に伸ばして、「うーん」と言いながら、背伸びをしている。

 気持ちよさそうだな。僕もしてみるか。


 〈サトミ〉は、一緒に背伸びをした僕を見て、コロコロと機嫌よく笑っている。

 笑いながらも、背伸びをしているので、引っ張られたワンピースも、上の方に上がっていく。

 裾が上がっていくのに合わせて、〈サトミ〉の健康的で可愛い太ももが、段々むき出しになってきた。


 〈サトミ〉は、小っちゃいけど、太ももには脂肪が適度について、ふっくらとしている。

 もう少女とは言えないのかな。途中なんだろう。


 ただ、下着までは見えないな。でも、低い位置からでは、見えてしまうと思う。

 これも微妙だ。


 「〈サトミ〉、背伸びはもう良いよ。背伸びでは、下着は見えなかったよ。

 次は、跳び上がってみてくれ」


 「〈タロ〉様、ぴょんぴょん、したら良いんだね」


 〈サトミ〉は、そう言って、元気一杯に飛び跳ねだした。

 小っちゃいけど、中々高く飛べるんだ。運動神経は、良いからな。


 ワンピースの裾も、ふわりと浮き上がって、〈サトミ〉とショーツが見えてしまっている。

 〈サトミ〉の下腹部を隠している白いショーツが、チラチラ見えているぞ。


 動きが激しいので、細部は見えないが、ハッキリとショーツだと分かってしまう。

 ハッキリ分かるのは、色が白のせいかな。

 黒色なら、どうなんだろう。影と区別がつかない気もする。

 〈サトミ〉に、黒のショーツをはけっていうのも、どうかと思うな。


 「〈タロ〉様、もう良いよね。〈サトミ〉、疲れちゃったよ」


 いけない。真面目に考えていたら、〈サトミ〉の股間とショーツを、鑑賞するのを忘れていた。

 僕は、何をやっているんだ。情けない。


 「〈サトミ〉、頑張ってくれたな。もう良いよ。ソファーに座って、休んでくれ」


 「うん。そうするね」


 「さすがに、飛び跳ねたら、下着が見えていたよ。今日も、白色だろう」


 「むっ、〈タロ〉様、下着の色まで、言わないでよ。恥ずかしいんだから」


 〈サトミ〉は、怒った感じで、横に座っている僕を、睨んできた。

 睨んだと言っても、可愛いんだ。


 でも、どうして怒られるんだろう。


 「あれ、どうして〈サトミ〉は、怒っているの。下着が見えるか、見えないか、検証してたはずだけど」


 「それはね。〈タロ〉様が、今日も、って言うからだよ。またかって、言い方だよ。

 〈サトミ〉は、とっても恥ずかしいのを、我慢してやっているのに」


 「違うんだ。白が、気に入らないんじゃないんだ。白は、好きな色だよ。

 清楚で可愛らしい〈サトミ〉には、白が良く似合っているよ」


 「〈タロ〉様、本当にそう思ってる」

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