第183話 【許嫁女子会(最初に戻る)】
【許嫁女子会(最初に戻る)】
「三人揃うのは、何か月ぶりかしら。〈サトミ〉ちゃんと、久ぶりにゆっくりと話せて嬉しいわ」
「〈サトミ〉も、二人とおしゃべり出来て嬉しいな。一杯おしゃべりしたいことがあったんだ」
「私も三人で、お話をするのが楽しみでした。今日は沢山したいですね」
「うんうん、最初に聞くけど、王都の学舎は、楽しいですか」
「そうですね。大体は、楽しいですわ。
色んな人と知り合いになれましたし、お友達も出来ました。
でも、お勉強は、あまり楽しくはないですね」
「私も楽しいです。友達も出来ましたし、勉強も楽しいです。
他の学舎生と、競い合いながら高めていく関係が、すごく刺激になります。
毎日が、とても充実していますよ」
「ふぁ、良いな。王都の学舎に、〈サトミ〉もいってみたいな。
でも、お勉強なんだよね。〈クルス〉ちゃんは、やっぱりお勉強が楽しいんだ。
〈サトミ〉は、ちっとも楽しくないよ」
「うふふ、それが普通だと思いますわ。〈クルス〉ちゃんが、変わっているのです」
「えぇ、私を変人扱いしないでください。他の学舎生も同じですよ」
「それは、《赤鳩》だけだと思いますわ。特殊なのです。他の学舎は、違うと断言できますわ」
「あはは、断言するんだ」
「うふふ、当たり前ですわ」
「もう、二人して笑うなんて、どういうことですか。私は、変人ではありません」
「〈クルス〉ちゃんを、変人だとは言っていませんわ。他の人と、ちょっと違うだけです」
「そうだよ。〈クルス〉ちゃんは、変人じゃないよ。お勉強が、変に好きなだけだよ」
「二人とも、いい加減にしてください。この話は終わりです。違う話をしましょう」
「〈クルス〉ちゃん、分かったよ。次は、うーんと、そうだ。
〈タロ〉様が、〈サトミ〉の胸を触ってくるんだけど、この後どうしたら良いのかな」
「まあ、そうなのですか。〈サトミ〉ちゃんは、まだ大人じゃ無いのに、〈タロ〉様たったら、困った人ですね。
〈サトミ〉ちゃん、嫌なら、嫌って、ハッキリと言った方が良いですわ。
〈タロ〉様は、〈サトミ〉ちゃんの気持ちを、きっと分かってくれますわ」
「そうですね。明確に止めてと言ったら、止めてくれます。
すごく嫌がっているのに、続けてはしてこないです。
ただ、興奮されていると、伝わらない時がありますので、そこは注意が必要です」
「胸は恥ずかしいだけで、嫌じゃないの。二人も触られるの」
「触られます。それも、段々増えてきてますわ」
「最近は、二人切りになったら、必ず触ってきますね」
「ふぁ、そんなに。心配なのは、胸だけなら良いけど、もっとエッチなことをしてきたら、どうしょうって、少し悩んでいるの」
「私も、〈サトミ〉ちゃんと一緒ですわ。良く分かります。それ、悩みますよね。
されるがままでは、待っていたみたいだし、どこまでされるか怖くなります。
かといって、全て拒否して〈タロ〉様を落ち込ませるのは、避けたいのです。
拒絶していると、思われたら悲しくなります」
「私も、同じです。悩んでいます。
私自身はまだ早いと思っているのですが、〈タロ〉様の希望を叶えてあげたい気持ちもあるのです。私と〈タロ〉様の、妥協点を探っている感じです」
「そうだよね。〈タロ〉様に触られるのは、嬉しい気持ちもあるんだよね。
でも、これ以上は少し怖いんだ。
〈サトミ〉が、慣れるまで、もう少し待って欲しいと思っているんだ」
「一緒です。もう少し待って欲しいですよね。
私は今の状態で、十分幸せなのですが、男性はもっと先に進みたいようです。
〈タロ〉様だけでは無く、男性全般がそうみたいです。学舎の友達が言っていました」
「困ったことに、そのとおりですわ。男の人は、そうみたいです。
欲求を満たすため、年上のメイドに、手を出す人もいると聞いたことがありますわ。
こうなると、そのメイドが力を持って、ややこしいことになるようです。
〈タロ〉様は、そんなことはしないと思いますが、そうなるのは、避けなければなりません」
「ひゃ、そんなこともあるんだ。〈サトミ〉は、〈タロ〉様を信じるよ」
「私も〈タロ〉様を信じますが、少し心配になりますね」
「それと、母から、〈タロ〉様は狙われるから、注意しなさいと言われていますわ」
「えっ、〈タロ〉様は、どうして狙われるの」
「〈タロ〉様は、独身の貴族家の当主で、ご両親もおられないからですわ」
「あっ、〈タロ〉様の妻になれば、若くて家族もいないから、好き勝手に出来ると思われているのですね」
「そうみたいですわ。
独身で、貴族家の当主で、家族もいないとなると、滅多にない玉の腰なんですって。
母は、注意しなさいと言うけど、どうするのよ、って感じですわ」
「〈サトミ〉達、三人も許嫁がいるのに」
「そのとおりなのですが。
私達との婚約を破棄させようとする人が、出て来る可能性があるということですわ」
「そんなの〈サトミ〉は嫌だよ。〈タロ〉様と結婚したいよ」
「私も、そんなことには、耐えられません。
〈タロ〉様が、籠絡されないように、今まで以上に、気を付ける必要がありますね」
「〈サトミ〉達、三人で、〈タロ〉様を悪の手から守るんだね」
「悪ですか。そうですね。私達から見たら、完全に悪ですね。
悪は〈タロ〉様に、近づけたらいけませんね」
「〈タロ〉様を守る方法ですけど、私達は〈タロ〉様から、目を離してはいけないと思います。
三人で見張れば、何とか出来るはずですわ」
「〈サトミ〉は、〈タロ〉様をしっかり見張るよ」
「私も、当然監視します。
それと、〈タロ〉様の希望を叶えるようにして、〈タロ〉様を少しでも満足させたいと考えています。効果は未知数ですが、出来る範囲でやってみます」
「私も、〈タロ〉様の欲求を、出来るだけ発散させたいと思いますわ。
でも、〈サトミ〉ちゃんは、無理しないで、嫌なら嫌って言わなければダメよ」
「そうですよ。嫌なことを我慢していると、辛いですよ」
「二人は、嫌じゃないの。大丈夫なの」
「嫌って言うよりは、とっても恥ずかしい、かな。
三年後には嫁ぐのですから、少し早くなるだけですわ。
でも、無理はしないようにするから、大丈夫よ」
「私も〈アコ〉ちゃんと同じですね。
〈タロ〉様は、優しいから、酷いことはしないと思っていますよ」
「そうだね。〈タロ〉様は、酷いことはしないよね。
〈サトミ〉も少しは、触らしてあげるよ。でも、どこまでなんだろう」
「ふふふ、最初の悩みに、戻ってしまいましたね」
「うふふ、本当ですわ」
「あはっ、〈タロ〉様は、ずっと私達を悩ましてくれるね。
でもね。そこも含めて、好きなんだ」
「ふふふ、〈タロ〉様は、悪戯する少年と変わりませんね。
相手をしてあげなきゃと、思ってしまいます」
「うふふ、〈タロ〉様は、困った甘えんぼさんですわ。
甘えられるのも、嬉しいものです」
― それからも、三人は色々な話を、時には笑いながら、時にはしんみりと、時が経つのを忘れて話した。〈サトミ〉の瞼が開かなくなるまで。 ー
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