第144話 私の口紅が付いちゃったんです

 「ほら、感じ易いんじゃないか」


 「そんなこと無いです。でも、もう触らないで。お願いします。

 そうだ、〈タロ〉様。〈タロ〉様が脇と言い張っている、胸なら良いですよ。

 何も触れないのは可哀そうですから、譲歩します」


 「そうだった。忘れてた」


 僕としたことが、スペンス乳腺の開発を忘れていた。

 他のことはともかく、こんな大事なことを忘れるなんて、僕はどうかしているよ。

 継続は力なり、横乳は揉むなりだ。


 僕は〈クルス〉の背中の方から、部屋着の中へ手を入れて、〈クルス〉の横乳を優しく触る。


 「〈タロ〉様、くれぐれも胸の横だけですよ。真ん中はいけません」


 「ここは脇だよ」


 「まだ言いますか。頑固ですね」


 〈クルス〉の背中の方から、抱きかかえるように、触っているので、僕の股間は〈クルス〉に密着している。


 少し元気になっている僕の小動物が、〈クルス〉の腰に当たっているようだ。

 〈クルス〉が、もじもじと腰を動かして、僕の小動物から逃れようとしている。

 でも、僕の太ももで、〈クルス〉の太ももをがっちりホールドしているから、逃げれないぞ。


 「〈タロ〉様。私、口説かれましたけど、まだ、全てを許してはいませんからね。

 これ以上されたら怒りますからね」


 「えぇ、口説かれたんじゃないの」


 「そうですけど。まだなんです。我慢してください。少しずつですよ」


 「少しずつなの」


 「そうです。少しずつです。一度に進むと身体に悪いのです」


 「えっ、身体に悪い。本当なの」


 「本当です。〈タロ〉様、鼻血が止まらなくて死んでしまいますよ」


 「鼻血。鼻血なんて出ないよ」


 「でも、〈タロ〉様の鼻の下に赤いものが付いていますよ。鼻血じゃないですか」


 〈クルス〉が、僕の鼻の下を指で拭った。


 「ほら、見てください。赤いのが付いていましたよ」


 「本当だ。指が赤くなっている」


 「ふふふ」


 〈クルス〉が、僕の顔を見て、クスクスと可笑しそうに笑っている。

 何かからかっているな。


 「なんだ。良く見たら、口紅じゃないか」


 「ふふ、本当ですね。

 〈タロ〉様が、あんなに激しくキスするから、私の口紅が付いちゃったんですよ」


 「そんなに、激しかったかな」


 「それはもう。押し倒された時は焦りました。泣きそうでしたよ」


 「そうなの」


 「そうなんです。それと、剥げて見っとも無いから、口紅を落としますね。

 それから、夕食を食べましょう」


 「夕食は楽しみだけど、口紅はもう塗らないの」


 「食事をとるので止めておきます。

 それに、また、〈タロ〉様が襲いかかってきたら怖いですし。ふふふ」


 「しょうがないな。少しずつにするよ」


 「ふふ、お願いしますよ」


 〈クルス〉が、作ってくれた夕食は、海老と野菜を巻いた春巻きみたいなものだった。

 皮はパリパリ、海老はプリプリ、野菜はシャキシャキと、〈クルス〉は素材を生かして相変わらず料理が上手い。


 「〈クルス〉の料理は、いつもとっても美味しいよ。いくらでも食べられるよ」


 「褒めて頂いて、嬉しいです。もっと食べてください」


 〈クルス〉が、進めてくるので一杯食べてしまった。お腹が苦しい。

 僕達は帰り支度をして、部屋を出ていく。


 部屋の扉の前で、〈クルス〉が、僕の袖を引いたので、立ち止まって〈クルス〉を抱き寄せた。


 〈クルス〉の薄い唇は、もう赤くは無いけど、しっとりと濡れているようで、僕を待っている。

 強く抱いて、顔を上げた〈クルス〉の唇を強く吸った。

 「チュル」と大きな音をたててだ。


 舌を〈クルス〉の口の中へ入れたが、もう抵抗は無かった。

 〈クルス〉は「んう、んん」と声をあげるが、僕のしたいようにさせてくれる。


 僕が、舌を舐めるたびに、〈クルス〉の身体が小刻みに震える。

 〈クルス〉が僕の背中に回した手に力が入る。


 執拗に〈クルス〉に舌を舐めていると、〈クルス〉の身体の力が抜けて、手は添えているだけになった。

 〈クルス〉の甘い匂いが、〈クルス〉も身体から漂ってくる。


 「はぁん、〈タロ〉様。もういけません。これ以上、私の舌を舐めないで。お願い」


 〈クルス〉は、僕がキス出来ないように、僕の胸に顔を埋めてきた。


 僕は、〈クルス〉のお尻全体を揉みしだく。〈クルス〉のお尻は柔らかく僕の手を受け入れているようだ。


 「やっ、〈タロ〉様。私のお尻をそんなに強く揉まないで。もう帰る時間ですよ」


 「そうか。残念だな。続きは次の休養日だな」


 「んうん、それが、次の休養日は、友達と期末試験の勉強会があるのです。

 残念ですけど、〈タロ〉様と二人切りでは逢えないのです」


 「そうなんだ。大変だな。《黒鷲》は学年末しか試験は無いから、良かったよ」


 「んうん。〈タロ〉様、本当に止めて。私のお尻はパンの生地じゃありませんよ。

 そんなに揉んじゃ嫌です。いい加減にしてください。帰らないといけません」


 「分かったよ」


 「ふー、〈タロ〉様は、ますますエッチになってきましたね。

 強く制止出来ない私もいけないのですけど、もうお手上げです」


 「少しずつにします」


 「本当でしょうね。お願いしますよ」

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