第121話 〈アコ〉の耳かき

 しばらく、〈アコ〉が、「奥まですごい」とか、「みっちりだわ」とか、「こんなに長いの初めて」とかを、言いながら右耳の穴を掃除してくれた。


 「〈タロ〉様、次は左です。反対になって下さい。匂いを嗅ぐのは厳禁ですからね。

 分かっていますね」


 「はーい」


 〈アコ〉の膝の上で、反対向けになると、〈アコ〉のお腹の方へ、顔を向けることになる。

 自然と〈アコ〉の胴を抱く形になるな。でも斜めだ。

 胸は態勢的に無理だ。お尻を触るしかない。触りにくけど、頑張るぞ。


 「〈タロ〉様、今度もお尻ですか。鼓膜には注意して下さいよ。

 エッチな、〈タロ〉様が悪いんですからね。分かりました」


 「はーい」


 また〈アコ〉が、「こっちの穴もすごい」とか、「狭くて入らないわ」とか、「こんなに固いの初めて」とかを、言いながら左耳の穴を掃除してくれた。


 僕もまた、「ううん」「奥の方が気持ち良い」「もっとスリスリして」と声をあげてしまう。


 「〈タロ〉様、無事終わりましたよ。信じられないほど、一杯詰まっていましたわ。

 〈タロ〉様は変な声を出すので、他の人がいるところでは、とても出来ませんね。

 また、二人きりになったらしてあげますわ」


 「ありがとう。〈アコ〉の耳かきは、思ってた以上に気持ち良かったよ。またスリスリして欲しいよ」


 「はー。耳かきのお礼とは思えない言い方ですね」


 「そうだ。僕ばっかり気持ちよくしてもらって悪いから、〈アコ〉の肩を揉んであげるよ。

 胸が大きいと肩が凝るんだろう」


 「気持ちよくって、何ですか。耳かきですよ。どうして肩が凝るのを知っているのですか」


 「さっき首を触った時に分かったんだ。すごく凝ってたよ。さあ、肩揉みをするよ」


 僕は、〈アコ〉の脇を両手で持って、強引に〈アコ〉を持ち上げた。


 「キャッ、またなの。ちょっと待って。〈タロ〉様、私をどうするのですか」


 〈アコ〉の抵抗を無視して、僕の両足の間、股のところへ引きずるようにして、〈アコ〉を移動させた。


 「〈アコ〉は、案外軽いな」


 「もお、〈タロ〉様は、いつもいきなり過ぎですよ。自分で動けますし、案外とはなんですか」


 「ごめん。こうしないと肩を揉めないだろう」


 〈アコ〉は、めくれてしまったスカートを急いで直している。

 直す前に見えたショーツは白だった。極々普通だ。もっと違う色を履いていると思ってた。


 「〈アコ〉、白いな」


 「〈タロ〉様。強引に私を動かしたのは、下着を見るためでしたのね。嫌らしいですわ」


 「えっ、何のこと。〈アコ〉の首が白いなって言ったんだよ。へぇー、今日の下着は白色なのか」


 「えっ、首のことなんですか」


 〈アコ〉は、僕のいったことが、本当かなって顔をしている。


 「〈アコ〉、白色の下着を少し見せてよ。どんなのか興味があるな」


 〈アコ〉の部屋着のスカートをめくろうとするけど、〈アコ〉はスカートを掴んで抵抗する。


 「きゃー、〈タロ〉様ダメです。絶対見せません」


 「あれ、見せてくれないの」


 「そんなことしませんよーだ」


 「そうなのか。悲しいな」


 「〈タロ〉様、そんなお顔しても、今は無理です。そんな心の準備はしていませんわ」


 これだけ嫌がっていると、仕方が無い。素直に肩を揉むか。


 〈アコ〉の髪は、ファファしたくせ毛だから手に絡まって、首にたどり着くまで大変だ。

 〈アコ〉の首を上から下まで、すーと撫でてみる。


 「きゃ、〈タロ〉様、くすぐったい。揉むんじゃないのですか」


 「揉むって言ったけど、素人が下手に揉むと、身体の筋を痛めるというだろう。

 触るくらいの揉み方をしているんだよ。触って血行を良くするんだよ」


 「そうでしたか。〈タロ〉様、良く知っていますね。でも、あまりくすぐったくしないで下さいね」

 〈アコ〉の首を上から下まで、すーと撫でるのを、何回か繰り返す。

 〈アコ〉は、くすぐったいのを我慢しているみたいだ。時々首をすくめている。

 今度は、首から肩まで、すーと撫でるのを、何回か繰り返す。


 「〈アコ〉、どんな感じだ」


 「少しくすぐったいですけど。気持ちいいです。首と肩が少し楽になりました」


 今度は、〈アコ〉の腕を持って上にあげるのを繰り返した。


 「〈タロ〉様、今度はなんですか」


 「腕を動かして血行を良くしているんだ。可動域も大きくなるんだよ。結構気持ち良いだろう」


 「はい。気持ちいいですわ」


 今度は、〈アコ〉の腕を持ち上げて、脇と胸の間の筋肉を優しく揉んだ。


 「きゃ、〈タロ〉様、そこは胸ですよ」


 「良く見て見ろよ。結構太い筋肉だろう」


 「そうですか。そう言われれば、そうですね。筋肉を揉まれている気持ちよさですね」


 次はどうしよう。胸を持ち上げるか。


 〈アコ〉の両胸の下に両手を差し入れて、胸を持ち上げるようにマッサージをする。

 もちろん部屋着の中に手を入れている。そのための部屋着なんだから、当たり前だ。


 両親指でスペンス乳腺を刺激するのも忘れていない。先を見据えた開発が必要だ。

 この一連の動作が、肩こりに効くかどうかは知らない。


 でも何かには効いているはずだ。たぶん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る