第117話 スペンス乳腺の開発

 「もう、〈タロ〉様は」


 僕には壮大な考えがあるんだ。

 胸のGスポットと言われる、スペンス乳腺を開発しようと思っている。


 開発出来れば、胸がすごく感じるようになると、ネットに書いてあった。

 極めれば、胸だけで絶頂するらしい。夢がある開発だ。


 ただ、効果が出るまで少し時間が必要なのが難点だ。

 現に〈クルス〉は、少しくすぐったいだけみたいだ。


 横乳を触っているだけでは、芸がない。時間は有効的に使おう。


 「〈クルス〉、学舎は楽しいかい」


 「そうですね。楽しいと言うより、充実していますね」


 「へぇー、充実なのか」


 「勉強好きな人達と一緒に過ごすのが、すごく新鮮な体験です」


 「皆、勉強好きなの」


 「皆さん、本当に勉強しています。本をすごく読んでいますし、勉強が楽しいみたいです」


 「うへぇ、勉強が楽しいの」


 「〈タロ〉様は、楽しく無いのですか」


 「楽しくないな。出来ることなら、勉強はしたくないよ」


 「そうなのですか。私は楽しいですね。

 皆さんと競って知識を吸収して、高め合う感じに、何とも言えない充実感を覚えます。

 領地で私は、本ばかり読んでいる変わり者でしたが、《赤鳩》では普通の女の子なのですよ」


 「《赤鳩》は本の虫で、勉強好きという変態の集団なんだな。

 〈クルス〉も変態になっちゃったのか」


 「〈タロ〉様、酷い言い方しますね。でも、そのとおりな面は少しありますね。

 私は変態ではありませんけど」


 「はは、自分だけ違うんだね。変態の友達は出来たの」


 「変態、変態と言わないで下さい。訂正します。皆さん、変態じゃありません。

 皆さん、良い人達です。私にも良くしてくれますし、友達も出来ましたよ」


 「そうか、そうか、友達が出来て良かったな」


 「うふふ、〈タロ〉様、それが聞きたかったのでしょう。分かっていますよ」


 「えっ、「それ」ってなんだ」


 「私に友達が出来たのと、上手く学舎生活がおくれているかでしょう」


 「そうかな。でも、そうかも知れないな」


 「〈タロ〉様は優しいですね。私のことを心配してくれていたのですね。

 でも、心配ご無用です。私は上手くやっていますよ」


 〈クルス〉は、僕の方に顔向けて、ニッコリと微笑んだ。

 それから、もっと顔を近づけてきた。あれ、何が言いたいことがあるのかな。

 僕の顔をイケメンだと言いたいのか。まあ、違うと思うけど。


 〈クルス〉は、近づけていた顔を元に戻して、触られている左胸に視線を落として、残念そうにしている。

 イケメンだと言いそびれてしまったのだろう。

 思い切って言ったら良いのに。今なら誰も笑わないよ。


 「あのー、〈タロ〉様は、私の左胸ばかり触っていますが、どうしてですか」


 あっ、左胸ばかりではマズイな。左右が歪になったら悲しい。僕の右手も可哀そうだ。


 「胸じゃ無いよ。脇だよ。右も触らないと不公平だな。今度は右脇を触るぞ」


 僕は、〈クルス〉の脇を両手で持って、強引に〈クルス〉を持ち上げた。


 「キャッ、〈タロ〉様。ちょっと待って。自分で移りますから」


 〈クルス〉は少し抵抗したけど、僕の身体の上を引きずるようにして、〈クルス〉を右側に移動させた。


 「〈クルス〉は、軽いな」


 「もう、〈タロ〉様は、強引過ぎます」


 「ごめん。悪い。良い方法だと思ったんだ」


 〈クルス〉は、めくれてしまったスカートを急いで直している。

 直す前に見えたショーツは赤だった。意外だ。

 〈クルス〉が赤色を履いているとは思わなかったな。


 「〈クルス〉、赤いな」


 「やだ、〈タロ〉様。下着を見たのですね。私が赤を選んでも良いじゃないですか」


 「えっ、何のこと。顔が赤いって言ったんだよ。へぇー、今日の下着は赤色なのか」


 「えっ、顔のことなんですか」


 〈クルス〉は、本当に顔が真っ赤になった。


 「〈クルス〉、赤色の下着を少し見せてよ。どんなのか興味があるな」


 〈クルス〉の部屋着のスカートをめくろうとするけど、〈クルス〉もスカートを掴んで抵抗する。


 「いやです。〈タロ〉様止めて。今日は見せません」


 「あれ、赤色を選んだのは、見せてくれるためじゃないの」


 「ち、違いますよ。気分で選んだだけですよ」


 「そうなのかな。僕に、見られても良いように選んだんじゃないのか」


 「そんなことはありません。〈タロ〉様、もう意地悪言わないで下さい。

 胸の横を触らせてあげたじゃないですか。それで十分でしょう」


 「胸じゃ無いよ。脇だよ」


  僕は右横乳を、スペンス乳腺の開発のために優しく触り始めた。


 「はぁー。やっぱり触るのですね。〈タロ〉様、早いとくすぐったいです。

 ゆっくりでお願います」


 おぉ、〈クルス〉は、スペンス乳腺の開発のことを知っているのか。不思議だ。

 確かに、ゆっくり触れと書いてあった。

 でも〈クルス〉が、スペンス乳腺を知っているはずは無いな。


 「分かったよ、〈クルス〉。ゆっくり触るよ」


 「くれぐれも胸の横だけですよ。ところで、〈タロ〉様の学舎生活はどうなのです」


 「僕は普通だと思うよ。同じ組のヤツと上手くやっているよ」


 「お友達も出来たのですか」

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