第95話 肘でグリグリ

 皆は、僕の失敗を見て、先にフーフーと息を吹きかけて、小龍包もどきを十分冷ましてから食べている。


 僕は最初のペンギンだったのか、人身御供だったのか。

 〈アコ〉には子供扱いされるし、やるせないな。


 こうなったら、メロンおっぱいに攻撃を敢行しよう。

 肘を張って、メロンおっぱいをグリグリしてやるぞ。


 メロンおっぱいは、僕の肘の先で、変幻自在に形を変えていく。

 肘の分だけ凹んで、プリンと弾けて元に戻る。

 柔らかいだけじゃ無く、張りもある素晴らしいおっぱいだ。


 〈アコ〉は、少し顔を桃色にして、「悪戯は止めなさい」という目で僕を睨んでいる。


 〈リク〉と〈アコ〉の手前、声に出しては言えないようだ。

 恥かしいのか、体裁を保つためか、そんなに嫌じゃないのか、三つのうち、正解はどれだ。

 三つ全てかも知れないな。


 〈アコ〉は、テーブルの下に左手を回して、僕の悪戯を止めようと肘を握ってきた。

 力の差があるから、強引に続けることは出来るが、それは乱暴すぎる。


 今度は、直ぐ横で密着している太ももが標的だ。

 テーブルの下なので、二人には見えない。


 〈アコ〉の太ももは、おっぱいほどじゃ無いが、それでも凄く柔らかい。

 触り心地が堪らなく良いな。


 モチモチした餃子の皮、弾力のあるお餅、スベスベの杏仁豆腐、どれも違うが、どの要素もある。


 二人には分からないよう、手首から先を動かして、〈アコ〉の太ももを撫でまわす。

 指先を使って、太ももの内側をサワサワと触りもする。

 太ももの内側は、布地を通しても、もっと柔らかくて、そして熱い。


 〈アコ〉は、肘から左手を離して、今度は僕の指を握ろうと必死になっている

 僕は、自由になった肘を使って、再度、メロンおっぱいをグリグする。


 〈アコ〉は、「ハァン」と声にならない声をあげて、全ての抵抗を止めてしまった。

 少し目に涙がにじんでいる気もする。

 やり過ぎたか。


 僕は触るのを止めて、〈アコ〉の左手をテーブルの下で、優しく握った。


 もう、エッチな悪戯はしないという意思表示だ。

 〈アコ〉は少し遅れて手を握り返してきた。


 それから、僕は、触ることを優先して遅れていた食事を再開した。

 時間が経ったので、もうそれほど熱くなく、冷まさないで食べられる。


 〈アコ〉も、後れを取り戻そうとパクパク食べている。

 甘い餡が入ったのを食べる時は、嬉しそうに笑っていた。

 それほど、怒ってないのかな。


 制服に着替えるために、〈南国果物店〉に一度寄る必要がある。

 〈アコ〉も、持ってきた制服を〈クルス〉の部屋で着替えているようだ。

 少したって、〈アコ〉が僕の部屋をノックした。


 「〈アコ〉、少し待ってくれ。

 今まで、〈カリナ〉と新しい店の話をしていたんだ」


 「〈タロ〉様、着替えを手伝ってさしあげますわ」


 「えっ、どうしたの」


 「良いでしょう」


 〈アコ〉は、僕の上着のボタンを外しながら、


 「あの、その、〈タロ〉様は、さっきはどうして、私に悪戯したのですか。

 怒ったのですか。それとも、何かが気に入らなかったのですか」

 と聞いてきた。


 「そうじゃないよ。うーん、〈アコ〉を触りたかったんだ。

 〈アコ〉にもっと触れたかったんだよ」


 「私を触りたかったのですか。エッチなことをしたかったのですか」


 「うーん、〈アコ〉が、僕に身体を引っ付けてくれたことが嬉しくて、胸を押し付けられて我慢出来なかったんだよ」


 「狭かったので、〈タロ〉様に引っ付くのは当たり前ですわ。

 〈リィクラ〉さんに引っ付くのは嫌ですし」


 「それが嬉しかったんだよ」


 「もう、〈タロ〉様は。

 私が〈タロ〉様をどう思っているのか、全然分かってないのですか。

 私が、キスを許したのも、胸を触らしたのも、〈タロ〉様がたった一人の特別な男性だからですよ」


 「それは分かっているつもりなんだけど、〈アコ〉が直ぐ横にいるのに触れないのが不満なんだ。不安でもあるんだ」


 「不満は少しだけ分かる気がしますが、不安ってなんなのですか」


 「上手く言えないけど、〈アコ〉の気持ちを確認したいんだ。

 エッチなことをして、確認したくなるんだよ」


 「エッチなことをしても、私が嫌がらないほど、〈タロ〉様が好きということをですか」


 「うーん、自分の気持ちが良く分からないところは、あるんだけど、その通りかも知れないな」


 「そうですか。私は、少しくらいエッチなことは、許していますよね。

 でも、他に人がいるところでは止めてください。私にも立場はあります。

 人前で胸を触られて喜んでいる女と思われたくはありません」


 〈アコ〉は話しを続けながら、ベルトを外して、僕のズボンを脱がしていく。

 僕のパンツが目の前にあっても、もう気にならないようだ。

 もう少し恥じらいを、という気持ちも芽生えてくるな。


 僕が〈アコ〉に言ったことは、一部本心だけど、半分以上は女の子の柔らかい胸や太ももを、単に触りたいという本能的なものが強い気がする。


 〈クルス〉や〈サトミ〉も触りたいし、問題が起こらなければ他の女性のも触りたいのが本音だ。

 これを正直に〈アコ〉に言うほど、バカでも無いし、狂ってもいないだけだ。


 〈アコ〉が僕の言葉をどれほど信じているかは、僕には分からない。

 七割なのか、三割なのか。全くなのか。考えて答えを出せる話ではない。

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