第59話 〈サトミ〉が回る
もう一度寝ようか、このまま起きていようか、と考えていたら。
「〈タロ〉様、こんな朝早くからどうしたんですか」
と〈サトミ〉が声をかけてきた。
「〈サトミ〉こそ、こんな朝早くからどうしたんだ」
「〈サトミ〉が先に聞きましたよ。
でも良いです。
昨日の夜、早く寝すぎて、目が覚めちゃったんです。
しょうがないから、猫ちゃんと遊ぼうと思ったの。〈タロ〉様は」
「僕も、〈サトミ〉と同じだ。中途半端に目が覚めたんだよ」
猫達は、〈サトミ〉を見つけると、ゴロゴロと喉を鳴らしながら、トコトコ近寄っていく。
〈サトミ〉の踝のあたりに身体を擦り付けて、甘えているようだ。
〈サトミ〉も慣れた手つきで、喉を優しくさすって、猫達に声をかけている。
「〈タロ〉様も、猫ちゃんと遊んでいたんですか」
「追いかけっこをしてたんだ」
「へぇー、そうなんだ。〈サトミ〉も、たまにするんだよ」
〈サトミ〉は、猫達に「追いかけっこだよ」って言ってから、勢い良く走りだした。
猫達も、〈サトミ〉が言うなら仕方が無いっていう感じで、少し遅れて〈サトミ〉を追いかけ始めた。
でも、猫達の方が早いから直ぐに追いつかれて、スカートに纏わりつかれている。
〈サトミ〉の膝上丈の若草色のスカートに、〈トラ〉と〈ドラ〉の寅縞模様が絡んでいる。
「恥ずかしいけど、次はこうよ」
〈サトミ〉は、こう言って、スカートを摘まみ上げて、跳ねながら走りだした。
スカートを持ち上げて、かつ、跳ねることによって、地面からの距離を稼ぐ作戦のようだ。
猫達も盛んに飛び跳ねるけど、高さがあって、位置も変わるので、スカートに届かないようだ。
中々うまい作戦だ。
僕にも、うまみがある。
スカートを摘まみ上げて、跳ねるので、〈サトミ〉の太ももや白いパンツが、頻繁に見えてしまう。
もう、日が差してきたので、十分明るい。
〈サトミ〉は、ギリギリパンツが、見えないぐらいまでスカートを高く摘まみ上げておいて、飛び跳ねるんだから、それは見えてしまう。
地面に着地にする時には、スカートが空気をはらんで、落下傘のように広がってしまっている。
〈サトミ〉の、ピンク色のムッチリとした太ももや、大きめの白いパンツも、くっきりと見えた。
飛び跳ねているので、パンツなんか、お尻に少し食い込んで、真ん中に縦ジワが出来ているのも見えてしまった。
少し崩れているエロスと言うのか、兎に角好いものだ。
ハッピーサンシャインだ。
猫達は、最初、この「摘まみ跳ね作戦」を攻めあぐんでいたが、やはり敏捷さでは一枚も二枚も上手で、直ぐにスカートにじゃれ付き始めた。
〈サトミ〉は、僕の方を向いて、
「〈タロ〉様、しっかり見ててよ。いっぱい勇気がいる、とっておきの技なんだから」
と大きな声で宣言して、両手を水平に広げて、その場で回転を始めた。
手でバランスを取りながら、片足を軸に、もう片足で地面を蹴って、器用に回転している。
〈ハヅ〉と〈サヤ〉の兄妹だけあって、運動神経は良いんだな。
猫達は、「何だ何だ何事だ」という顔で、回るスカートを凝視だ。
ただ、回転すると、スカートが遠心力で浮き上がる。
一回転では、少しだが、二回転、三回転とスカートが、段々浮き上がってきた。
最後の五回転目では、スカートはもう水平で円盤のようになってしまっている。
スカートの中の太ももと白いパンツは、むき出し状態だ。
身体を極端に片方へ捻じっているので、白いパンツは右に偏って、左に半分はみ出したお尻が可愛い。
可愛いプリプリお尻に頬ずりしたい。
〈サトミ〉は、「目が回る」と言って、倒れそうになるので慌ててかけよって、身体を抱き寄せて支えた。
「〈タロ〉様、見ててくれました。〈サトミ〉の技、ちょっと良いでしょう」
「〈サトミ〉、良くあんなに上手く回れるね。凄いね。
とても可愛かったよ。
猫達も、全く手が出せなかったようだよ」
「可愛かったですか? でも、褒められて嬉しいです」
〈サトミ〉は、僕の背中に手を回して、抱き合う形になっている。
少し見上げて、僕の顔を見詰めながら、上気した桃色の笑顔だ。
一仕事やり遂げたような、満足気な表情でもある。
〈サトミ〉を胸に抱きしめていると、やっぱりじんわりと暖かい。
胸も順調に成長しているようで、確かな弾力を感じる。
きっと、胸も可愛いんだろうな。
「〈タロ〉様、最近元気が無くて、心配してたの。
でも、今は元気になって良かった。
〈サトミ〉も、少しは役にたったかな」
〈サトミ〉は、僕を元気づけるために、わざと見せてくれたんだな。
恥ずかしいのを堪えて、モロに見せてくれたんだ。
「有難う〈サトミ〉。〈サトミ〉のお陰で元気になったよ。
可愛い〈サトミ〉がいるのに、元気が無いわけないさ。
もう大丈夫だよ」
恥ずかしがりやの〈サトミ〉には、随分勇気がいったんだろうな。
僕は、身体の奥から嬉しさが込み上げてきて、〈サトミ〉を強く抱きしめた。
「〈タロ〉様、嫌じゃないけど、ダメだよ。
こんなに強く抱きしめられたら、ドキドキしちゃうよ」
「〈サトミ〉、もう少しだけこのままで」
「〈タロ〉様、……」
〈サトミ〉は、僕の背中に回した手に、ギュッと力を込めて答えてくれる。
暫く抱きしめていたけど、朝食の時間になりそうなので、仕方が無く〈サトミ〉を離した。
家に帰って行く〈サトミ〉の頬は、ピンク色で恥ずかし気だったけど、振り返って僕を見た顔は笑っていたよ。
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