第36話 〈アコ〉のスカートをめくる
部屋に戻った後、暫くして〈アコ〉が訪ねてきた。
黒っぽいフード付きの上着を着て、忍ぶように部屋に入ってきた。
部屋に入ってきた時は、表情が硬かったが、僕を見て安心したのか、上着も脱いでいくぶん和らいだ顔になった。
薄いピンク色のワンピースに着替え、赤い口紅もつけて、少しお化粧をしているようだ。
ワンピースは膝丈で、胸元も大きく開いている、大人の女性が夜に着る服のようだ。
「〈タロ〉様、お邪魔します。お疲れのところすみません。先程は母が失礼しました」
「〈アコ〉こそ、疲れてないか。お母さんのことは気にしていないよ。〈アコ〉のために必死なんだと思うよ」
「〈タロ〉様に、そう言って頂けると救われます。少し疲れてはいますが、私はまだ大丈夫です」
「無理しないでよ。立っていると疲れるから、ベットだけど、僕の横に座りなよ」
「〈タロ〉様、その前にお聞きしたいことがあります。
〈サトミ〉ちゃんと〈クルス〉ちゃんに聞きましたが、〈タロ〉様はスカート捲りをするのが夢で、男の子は好きな女の子のスカートを捲りたいと思うって、言っていらしたのは、本当ですか」
ありゃ、〈サトミ〉も〈クルス〉もしゃべったな。
どういう意図で聞いているのか分からないけど、色々バレているのなら、正直に言っちゃえ。
「ハハ、子供っぽくて、恥かしいけど本当なんだ。好きな女の子には、ちょっとした悪戯をしたいって思うんだよ」
「そうですか。お二人にはしたんですね。私にも悪戯をしたいのですか? 捲ってみたいと思いますか? 」
〈アコ〉は頬を桃色にしながらも、真剣な面持ちで聞いてくる。
おー、願ってもない申し出だが、そう真剣な顔で言われてもな。
「そりゃ、もちろん、したいよ。でも、イヤだろう。無理しないで」
「〈タロ〉様に、好きと言って頂けるのなら、私は我慢できます。私が好きなら、どうぞ捲って下さい」
「うー。分かったよ。〈アコ〉が好きだからするよ」
〈アコ〉は顔を両手で覆い隠して、僕の目の前に真直ぐ立っている。震えているようにも見えるが、決意は固いようだ。
〈アコ〉の前で腰を落とすと、〈アコ〉の綺麗な足が間近に見えた。
優美な曲線を描く素足は、足首から段々とボリュウムを増しながら、最後はスカートの中へ消えている。
膝も、疵一つ無く形も素晴らしい。
流石は貴族の令嬢、膝もお嬢様だ。
僕は、ワンピースの裾を両手で固く握って、勢いよく捲り上げた。
「イャン」って小さく悲鳴を上げて、〈アコ〉が堪らず、ワンピースの裾を両手で強く押さえてしまった。
残念、もう少し見ていたかったな。
短い時間だったけど、白くてムッチリと肉感的な、〈アコ〉の太ももが見えた。
太腿は、柔らかそうなのに張りがあり、もう大人の女性の色香が漂っている。
レースに縁取られた白のパンツは清楚ながら、ムチムチの太腿と相まって、豪華な雰囲気を醸し出している。
痺れるような多幸感が、またまた僕を包んだ。体がジーンと痺れて、白い衝撃が通り過ぎていった。
ミッションコンプリートだ。ついに、満願達成したぞ。
「あっ、〈タロ〉様すいません。恥ずかしくて、思わず押さえてしまいました。今度は我慢しますから、もう一度しますか」
〈アコ〉は顔も、首も、腕や足さえも桃色に染めて、恥ずかしさに耐えているといった風情で、僅かに顔を下に向けて、途切れ途切れに話しかけてくる。
それが、得も言われぬ品となって、半端ないお色気を放出している。
天性なのか、作為的なのか、魅了されそうで怖いくらいだ。
「疲れている〈アコ〉に、これ以上無理はされられないよ。有難う〈アコ〉、夢が叶ったよ。幸せだよ」
「〈タロ〉様のためなら、なんということはありません。少し恥ずかしかっただけです。真の許嫁と認めて頂いたようで、嬉しいくらいですわ」
「嬉しいくらいか、それは有難いな。それはそうと、こっちに座りなよ」
「分かりました〈タロ〉様。お側に座ります」
〈アコ〉は、身体が触れるくらいに引っ付いて、僕の横に腰を下ろした。
座るとワンピースが少しずり上がって、太ももの始まりが見えそうだ。
胸元も大きく開いているので、谷間の始まりも見えている。
誘われているのかと、勘違いしそうだ。
チラチラ見てしまうのが止められない。
「〈アコ〉は、〈タロ〉様に、何があってもお嫁に来て欲しいと言って頂いて、本当に感激しました。
嬉しくて、誇らしくて、〈アコ〉の身体が熱く火照って、困るほどです。
〈アコ〉は、直ぐにでも〈タロ〉様に嫁ぎたいと思っていますよ。
もっと良く〈アコ〉を見て下さい」
やっぱりチラ見はバレていたか。
〈アコ〉がグイグイくるよ。
一人称も変わって、甘えるような声になっている。
今なら何をしても怒られそうにないな。
「僕も〈アコ〉と、片時も離れたくないと思っているよ。手を繋いでも良いかい」
「良いですとも。〈アコ〉も〈タロ〉様と繋がっていたいですわ」
肩を抱き寄せながら、〈アコ〉の両手に僕の手を絡ませた。
〈アコ〉の手は、とんでもなく柔らかくて、白魚のような指をしている。
生まれてから、一度も手が荒れるようなことをしていない、お姫様の手だ。
〈アコ〉は嫌がる素振りを微塵も見せず、目尻をほんのりと薔薇色にして、僕の目を見詰めてくる。
これは、もっと先まで行かずにはおれないなと思った、その時。
「アッ、〈タロ〉様。誰か廊下を歩いています。静かにして下さい。
私のスキルは《遠聞》なので、普通よりは早くから聞こえます」
しばらくして、「ペタンペタン」と部屋横の廊下を歩く音が、やけに大きく響いて、やがて遠ざかっていった。
「〈タロ〉様、御免なさい。
今私は、〈タロ〉様の部屋に忍んで来ているのを、見られるわけにはいかないのです。
もし見られたら、何を言われて、何をされるか、分からない立場なのです。
名残惜しいですが、もう戻ります。
私を忘れないで下さいね。お願いします」
「〈アコ〉を忘れるはずないじゃないか。心配しないでよ」
「有難ございます。〈タロ〉様を信じていますわ。それでは失礼します」
〈アコ〉は、静かにドアを開けて、辺りを警戒しながら、戻っていった。
もっと先に行けそうだったが、邪魔が入ったな。残念だ。
〈アコ〉が誘うような態度をとったのは、これからのことを考えて、僕ともっと絆を深めたかったのかもしれないな。
母親に言い含められたのかもしれない。
不安定な立場の〈アコ〉の弱みに付け込んで、不埒なことをしなくて良かった気もするな。
翌朝、側室の二人の娘「マルワータ」と「ワンワータ」に見送られて、《ハバ》の町を出立した。
「〈タロスィト〉様、道中お気を付けください。今度はゆっくりと《ハバ》の町に遊びに来てくださいね。お待ちしていますわ」
「「マルワータ」様、「ワンワータ」様、お見送り有難うございます。
機会がありましたら、是非とも遊びにきますよ」
〈アコ〉の姿を、確認することは出来なかった。
僕達は《ラング》の町に、また二日かけて帰り着いた。
帰ってから、兵士達とそれなりの宴を催した。
兵士達との宴は、興味をそそられる話やバカ話が聞けて、それなりに楽しかった。
チョッピリお酒も飲んだよ。全くの素面じゃ宴会はキツイからな。
〈ハズ〉には報償も渡した。口止め料も兼ねてだ。
人生で初めて人を殺めたが、強い忌避感を持ったり、良心の呵責を覚えるようなことは無かった。
〈アコ〉を乱暴に扱い、酷い目に遭わせようとしていた盗賊に、一片の同情心も持ち合わせてはいない。
僕にとって、許嫁達は最重要事項だから、許嫁達の安全が何よりも優先される。
許嫁達の安全を犯すものは、排除するだけだ。
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