第26話 〈クルス〉のスカートをめくる

 小屋に〈クルス〉が訪ねてきた。


「〈タロ〉様、失礼します。

 完全ではありませんが、心の整理がつきましたので、やってまいりました」


 〈クルス〉は相変わらず固いな。


 それでも、病気が良くなった影響か、身体つきも少しふっくらとして、顔色も随分良くなっている。


「〈クルス〉、体の調子はどうだ。僕がここに居るのが良く分かったな」


「〈タロ〉様のお陰で、病気は治りました。今は普通の人と何も変わりません。

 食欲もあります。〈タロ〉様の居場所は、〈サトミ〉ちゃんに聞きました。

 猫を飼っていらっしゃるのですね」


「〈クルス〉良かったな。僕も嬉しいよ」


「〈タロ〉様・・・」


「何だい、〈クルス〉」


「〈タロ〉様に私は、一生返しきれない恩を頂きました。

 病気は辛かったのですが、治して頂きました。

 言葉に言い表せないほど感謝しています」


「〈クルス〉、丁寧にお礼を言ってくれて有難う。

 でもお礼は今ので十分だ。もうこれ以上気にしないでくれよ」


「〈タロ〉様・・・」


「何だい、〈クルス〉」


「私は、それでも〈タロ〉様に、少しでも恩を返さなければいけないと思っています。

 何も返さないのでは、あまりに虫が良すぎます。

 〈タロ〉様に何れ嫁ぐ身で今更ですが、〈タロ〉様に私を捧げます。

 私が〈タロ〉様に差し上げられるものは、私自身しかありません。

 私は、高価な物は持っていませんし、役立つ技能もありません。

 私自身しか無いのです。

 どうか私を奴隷のように扱って下さい。

 目障りなら、離縁して、売り払ってお金に換えて下さい。どうかお願いします」


 はぁー、〈クルス〉が重たいことを言うよ。ほんと真面目だな。


「〈クルス〉は、僕の妻になるんだから、奴隷なんてとんでも無い。

 結婚してから尽くしてくれたら良いんじゃないか」


「それでは、何も返せません。妻が夫に尽くすのは普通です。恩を返すことになりません」


「それじゃ、猫達の世話を一緒にしてくれないか」


「猫の世話では・・・。〈サトミ〉ちゃんもしていますし、恩が無くても、それぐらい私もしますよ。

 特に子猫の世話は苦になりません。むしろ、楽しいくらいです」


 〈クルス〉は、ダメ出しが多いな。そう言うのなら、


「〈クルス〉、断っても良いけど、スカートを捲らしてくれないか」


「えっ、スカートですか。私のを捲るのですか」


「ダメなら構わないよ」


「・・・。このくらいのことが出来ないようでは、身を捧げたとは言えませんよね。

 どうぞ捲って下さい」


「本当に良いの」


「私はここに立っていますので、〈タロ〉様の好きにして下さい」


 〈クルス〉の意思も固いようなので、お言葉に甘えることにしよう。


 僕は〈サトミ〉の時と同じく、腰を落とし、スカートの裾を両手で強く握って、勢い良く〈クルス〉のスカートを捲り上げた。


「キャ」って小さな悲鳴が聞こえたような気がするけど、〈クルス〉は大人しく立っている。


 〈クルス〉の足は、透き通るような白さで、静脈が青く透けて見える。

 太ももは細すぎるが、真珠の様に艶やかに光っている。

 大きめの白いパンツと相まって、白銀の世界を思わせる。

 目を凝らしてしまう。


 痺れるような多幸感が、また僕を包んだ。ジンジンするよ。さらに白い衝撃だ。

 願望が立て続けに達成出来て、怖いくらいだ。


「うー。あのー、〈タロ〉様、もう良いですか。お願いします。スカートを放して下さい」


 〈クルス〉の顔は真っ赤だ。

 露出している青白い素肌の全てが赤く染まって、不思議な色気がある。

 良く見ると、指先が小刻みに震え、目尻に涙も溜まっている。


 欲望に負けて、やり過ぎたか。


「〈クルス〉、ゴメン、大丈夫か」


「いいえ、私は平気です。初めての経験だったので、少し吃驚しただけです。

 ただ、今日は、これ以上は許して下さい。

 次からは心の準備をしておきますので、勝手を言いますが、お願いします」


「〈クルス〉、当たり前だけど、今日はもう何もしないよ。

 次も、〈クルス〉が嫌がるようなことはしないから、安心してよ。

 スカート捲りは、どうしてもしたかったんだ。

 〈クルス〉のを捲るのが夢だったんだ。

 夢が叶って、〈クルス〉の綺麗な足が見れて嬉しいよ」


「スカートを捲のが、夢だったのですか」


「そうだよ。男の子は、好きな子の足とかを見たいと思うんだよ」


「〈タロ〉様は、私のを見たいのですか」


「〈クルス〉が好きだから、そりゃ見たいよ」


「分かりました。〈タロ〉様がお望みになるのなら、幾らでも私のを見て下さい。

 〈タロ〉様に見て頂くのは、恥ずかしいですが、嫌じゃありません」


「〈クルス〉有難う。でも〈クルス〉、無理はしないでね。嫌な時は嫌って言っても良いんだよ」


「お気遣い有難うございます。

 では、必ず二人だけの時にして下さい。

 他の人に見られたら、もう表を歩けません。

 私のを見て良いのは、〈タロ〉様だけです」


「〈クルス〉分かったよ。必ずそうするし、無理は言わないよ」


 こうして、〈クルス〉のスカートを捲るミッションは、終了した。

 予想もしていない展開となってしまった。

 何でもさせてくれるという、悪魔の囁きだ。

 歯止めが効かなくなって、鬼畜となってしまうのが怖い。「鬼に金棒」だ。


 しかし、〈クルス〉の足は綺麗だったな。

 堪らないほど透き通って、ほっそりと真直ぐに伸びている、大変良いものだった。

 もっと肉がついたら、さらに良くなるぞ。また、したいな。


 後残っているのは〈アコ〉だけか。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る