第14話 衝撃のスカートめくり

 座るところを探していると、ボサボサの髪で危ない雰囲気の婆さんが、一人でベンチに座っている。

 関わりたくないので、出来るだけ離れた場所に座った。


 ベンチに座っていると、数人の子供達が遊んでいるのが見えた。

 僕と同じくらいの年恰好だな。

 何の遊びだろう、元気だなと、何とはなしに見ていたら、衝撃の光景が展開された。


  ~~~~~~~~

 

 一人のやんちゃそうな男の子が、気の強そうな女の子のスカートを捲り上げたんだ。

 俗にスカート捲りと言うヤツだ。

 女の子は隙を衝かれたのか、それは見事に捲くれ上がって、白い下着と太ももが眩しく、ハッキリと見えた。

 モロ見えって言うヤツだ。 


 ~~~~~~~~


 僕は雷が直撃したかのように、体じゅうがビリビリ痺れてしまって、頭がクラクラした。

 脳天から、身体の先端まで電流に貫ら抜かれた。


 僕もしたい。

 スカート捲りがしたい。

 許嫁を捲りたい。

 許嫁達を捲ったら、今見た以上に体中が痺れると思う。

 痺れて死ぬかもしれないが、本望だ。


 スカート捲りは、犯罪とまでは行かないと思う。

 小学生の時に出来なかった夢を叶えたいんだ。

 十四歳の少年の可愛いイタズラさ。


 本当は十四歳じゃ無いけど、身体に思考が引きずられてしまうんだ。

 それが異世界転生の法則なんだ。


 きっと、〈タロ〉君に影響されているので仕方がないんだ。

 〈タロ〉君も正しい男の子だ、したくないはずが無い。

 肉体を貰ったんだから、〈タロ〉君の思いを、遂げさせてあげる義務があるんだ。


 ただ、凄く怒るだろうな。嫌われるかもしれない。

 何とか、嫌われないように出来ないものか。


 どうすれば、スカート捲りを正当化出来ないかと、必死に考えていたら、スカート捲りをされた女の子が凄んできた。


「あんたさっきから、あたいのこと、ずーと見てたでしょう。

 どういうつもりよ。下着も見たでしょう。

 イヤらしいんだから。謝りなさいよ」


 顔立ちは可愛いんだが、気の強い女の子だな。

 やんちゃな男の子に逃げられたので、こっちにお鉢が回ってきたようだ。

 隙が出来た原因が、見知らぬ少年の僕だったためか、責任の一端があると言いたいらしい。


「あー。君のことを見てたわけじゃない。

 仲良く遊んでいるなと、見ていただけだよ。

 パンツが見えたのは、僕の所為じゃない。文句は捲ったヤツに言いなよ」


「やっぱり、下着見たんだ。ほんと、イヤらしい」


 見られたのが、恥ずかしいのか、悔しいのか、真っ赤になって怒っている。


「パンツくらいどうって事ないじゃないか。あんまり気にするなよ」


「なんですって。イヤらしいクセに、偉そうに言わないでよ」


 言い争っていると、少し離れたところから、やんちゃな男の子が、女の子に忠告してきた。


「〈マチ〉、もう止めろよ。その人、御子息様だよ。怒られるよ」


「エッ、ウソ」

 と言って、女の子がジーと僕を観察してくる。


 それで気づいたのか、「え、えっと、ごめんなさい」

 と言って走って逃げて行った。


 やんちゃな男の子も「御子息様、ごめんなさい。怒らないで」

 と言って走って逃げて行った。


 やれやれ、元気一杯だな。

 二人並んで凄い勢いで逃げて行く。普段は仲が良いのかもしれない。


 それにしてもだ。やんちゃな男の子は、上手くスカート捲りを有耶無耶にしたな。

 有耶無耶にしながら、忠告で恩も売っている。

 チャンスを逃さない、目ざといヤツだ。

 単にこのままでは、マズイって思っただけかもしれないが。

 考えすぎか。


 僕は引き続き、スカート捲りという困難な命題を考えながら、帰途に就いた。

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