第二章 魔術学園入学

『循環相原論』

 さて、私がどういう立場で循環魔法を説くか話しておくのが公正であろうが、それは難しい。地下空間の桎梏が迫りつつあるので、必要なことだけを記す。

 一方の極を螺旋、もう一方の極を循環と見なし、その両極へ交互に傾いて来たのが魔法の大まかな歴史と見てまず間違いない。それぞれの始まりは大アンブロシウスとヴァイ・ヴァスヴァットだ。彼らの態度は、まどかを生きた神と見るか、死んだ神と見るかの違いに起因している。

 が、これは私から見れば異常である。そも、この星の内円が欠損していたがために星働秘儀テウルギアを諦め、超越秘儀ニルヴァーナに頼らざるを得なくなったのだ。周知のことだが、当星の円に働きかけるのが普通であるところを、数々の恒星に鞍替えするのは並大抵のことではない。順当ではないからだ。超越秘儀……その第一の級の完成は次の世代に託された。すなわちノイゲバウアーとダリウス二世である。


  グルヴェーグ著『循環相原論』より抜粋

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