4-12 魔王城への帰還…、そして最後のお仕事

「それじゃ、俺たちは帰るからね。

 この国の事はこの国で塩梅よく対処して欲しい。」

「ははっ!

 四龍の主であるシメ殿、またのお越しをお待ち申し上げております。」

「それじゃ、みんな、俺が良いって言うまで、下向いてて!」


だって、四龍さんが裸になるんだよ…。

そんな姿見せたくないじゃん。


 四龍さんが龍の姿に戻る。


「皆、ありがとう。もう良いよ。」

「うぉぉぉぉ~~~~~」


王様はじめ、皆が四龍さんの大きさと荘厳さに驚いてるよ。

拝んでるヒトも居る…。


「それじゃ、また来るかもしれないからね。」

「お達者で!」


行きはニーナさんだったので、帰りはマデリーンさんに乗っていく。


しかし、これだけ大きな四龍さんを待機できる中庭って…。

どれだけ贅沢してるんだろうかね…。

まどかさんの城の中庭なんて、花壇と噴水があっただけだよな。


魔国に向けて飛んでいく。


「まどかさん、こんな感じで良かったかい?」

「さすがダーリンだね!あたし交渉なんてしたこと無いから…。

 あたしだったらダメだったろうね。」

「いや、それもこれも四龍、いや、ブレイクさん、マデリーンさん、ナタリーさん、そしてニーナさんの力だよ。

 それに、ちびドラちゃんズもね。」


「うふふ。光栄ですわ。

 それに、我が子たちも今日の経験は良きものとなったでしょうね。」

「しかし、みんなのブレスがあんな事になるとは思わなかったよ。」

「カズしゃん、私たちのブレスは単に攻撃するだけではないんですよ。

 ブレスというのは、祝福というものもありますよ。」

「あ、スペルの問題か?

 確かにブレスは呼吸するって意味もあるし、スペルが違えば神の加護ってのもあったよね。」

「そうですね。シメさんの発音ですと祝福を意味する方になりますからね。」


 げ!痛いところを突かれた。

俺、thの発音苦手だったんだよね。


「で、まどかさんは“迷い人”ということなんだよね。」

「うん。どこでこの世界に来たのかは分からないけど、いつの間にか来てたって事だね。

 でも、迷ったおかげでダーリンにも会えたし、瑞穂も生まれた。

 こんな幸せなことは無いよ!」

「こちらこそありがとね。

 こんな弱っちい俺でも出来ることがあった事、みんなとの子供も出来て、家族が増えて…

 なんかすっごく嬉しいよ。

 それにこの世界…、俺にとっては凄くいいよ。」

「うふふ。では、今宵は5人ですね。」

「へ?それは少し無理かも…。」

「大丈夫ですよ。まどかさんも私たちも回復が使えますからね。」

「あ!それでか!

 イチャイチャラブラブの時、疲れないのは!」

「ダーリン、今頃気づいたんだね。」

「いや…、ま…、良いけど…。

 でも、そのうち“打ち止め”って、旗が出るからね。」

「あはは!それ見たい~!」


 他愛の無い話をしながら、フーギに到着する。

あかねさん、ひよりさん、みほさんは、迷い人として帰る手段を探しながらここで暮らすようだが、ひよりさんとみほさんは、イケメンとガチムキの種族との交流を既に始めているようで、既に眼がハートになっていた。


「そう言えば、シュン坊はどうした?」

「あ、あの厨二病なら、さっきまでそこで倒れてたけど…。」


 ん?倒れてた?

もしかして…と思った瞬間、向こうの方で大きな音がした。


「あの音は?」

「多分、あいつだと思いますよ。」



「さーせんでした!」

「あのな…、誰彼構わず『結婚してくれ~』って叫ぶのはどうかと思うぞ。

 あ、それと、王国のシャルルさんだっけ?

 シュン坊の事待ってたぞ。」

「うぉ~!やっぱ俺には待っててくれるヒトが居たんだ!

 それも王女だ!」

「あ、多分王女では無いかも…。」

「え?どうして?」

「なんか、この国で生産してた下着とかシャンプーとかを独占してたみたいだから、王様にこっぴどく叱られてるかも…。」

「であれば、すぐ傍に行ってあげるのがナイトだ。

 うぉぉーー!俺の青春はシャルルさんと一緒になることだったんだぁー!

 じゃ、おっさん、俺、王都に行くわ!

 じゃぁな!」

「あぁ、踏ん張れよ!」


 何事にもまっすぐな奴は、所々痛いけど、スッキリしている。


 あかねさん以外はこの街で仕事を見つけるようだ。

あかねさんは城に行き、ウォ●ュレットの研究を手伝ってくれる。

フーギから魔王城まで、じゃんけんで負けたニーナさんに乗って城まで行く。


「負けたのは城までですよ。

 このじゃんけんが夜の順番なんて言わないでね!」

「分かってますよ。ニーナ。

 城に戻ってから、夜の順番を決めますから。

 あ、それと、ニーナはいつもグーを出すので、私たちはいつも勝てるんですよ。」

「え?そうだったの?」


 おいおい…、こんなところでじゃんけんの心理戦をしてるのか?

ナタリーさんもヒト、いや龍が悪いね。


「ま、いつもと同じかな?」

「そうだね、ダーリン!」


魔王城に着いた。

みんな、もう慣れてるのか、普段通りの仕事をしている。

ニーナさんから降りたあかねさんは、お約束通りキラキラを吐いてる。

慣れるまでは我慢だ。心の中でサムズアップしておく。


「まどかさん、それじゃ最後の仕事しようか。」

「うん。」


まどかさんの寝室に入り、軽く口づけをする。


「ダーリン、ほんとに良いの?」

「当たり前だよ。こんな可愛い奥さんに疑われるような事しちゃいけないからね。」

「もう!ダーリンったら。」

「それじゃ、始めるね。」


“無”と言うスキルを掌で消した。


「うん。これでいいね。」


いきなりまどかさんが抱き着いてきた。


「うぉ!まどかさん、どうした?」

「なんか、無性にダーリンに抱き着きたくなった。」

「どうして?」

「分かんないけど…、ダーリンの存在自体が…、その…、凄く…、もう!えいっ!」


 まどかさんが俺をベッドに押し倒して…ゲフンゲフン。



「で、一体どうしたんだ?」

「だって、ダーリンの姿見てたら、無性にエッチい事したくなっちゃって…。」

「なんだ?そりゃ?」

「ええとね…。

 ダーリンのスキルとか鑑定してみたらね、何と“色”ってのがあるんだよ。」

「へ?だって、俺のスキルというか称号って、訳の分かんない“無”と“愚者”と“四龍の主”じゃなかった?」

「それがね…、“無”ではなくて“色”なんだよ。」

「ちょっと待って。

 んじゃ何かい?訳の分かんない“無”ってのは、ゼロとかという意味ではなく、あくまで色が着いてなかった“無色”ってことだったの?」

「良く分かんない。」

「はぁ…。どれだけチートが無いスキルなんだよ…。

 それに、色って何だ?色って!」



「ダーリン、それはね…、

 あたしたちの色に染まってくれるって事だと思うよ…」


おい!それは白色だよ!

まどかさんが俺にヒールをかけ、もう一度熱い眼差しを向けてきた…。

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