3-3 闘い済んで、日が暮れて

「カズ様、その名前は先ほどお使いになっております…。」

「そう、ごめん。それじゃ、ヒナゲシで。」


パーティーの後半は名付け大会に様変わりした。

まどかさんが、カップルとなった者は俺から名前を与えると言っちゃったから、パーティー会場は戦場さながらだった。

 カップルとなった者は満足そうに一列に並んでいる。

まだの者は我先にと、女性、男性にアタックしている。


 800人居たと思うが、300人には名付けただろうか…。

最初は、いろいろと表情や風貌で考えていたが、埒があかない。

今は、男性はアニメに出てきた男性キャラの名前、女性は花の名前などに変化している。

皆、ごめんな…。しっかりと名前つけてあげられなくて…。


 それでも、皆満足している。

 ようやく最後の一組に命名が終わり、まどかさんが一言挨拶をする。


「皆の者、良かったの。

 これも、ジュークのおかげである。

 我もジュークを頼りにしておるが、魔国の繁栄は皆の力で成り立つ。

 その事を重々肝に銘じてくれ。」

「ははーーーーー。」


お開きとなった。

疲れた…。ほんと、死ぬほど疲れた…。

その場でヘタヘタと座り込んでしまった。


「ジュークさん、大丈夫ですか?」

「あ、ルナさん、ありがとね。大丈夫ですよ。

 ちょっと、気遣いしすぎただけです。」

「それにしても凄い数の名前をお付けになられましたね。」


 うん。俺もそう思うよ。

未だに頭の中にいろんな固有名詞が浮かんでるから…。


「流石に疲れたね。」

「では、雇用は私めがマッサージをさせていただきます。」

「へ?」


後ろを振り返るとレインさんが立っている。


「いや、レインさんも疲れたでしょ。」

「カズ様ほどではございません。」

「んじゃ、お願いしようかな。

 それと、レインさんもマッサージしてあげるからね。」

「え?よろしいでしょうか?」

「だって、第5夫人になるんでしょ。なら、大丈夫だと思うよ。ね、まどかさん。」

「むーーーー。

 でも、今日は仕方ないなぁ~。ダーリンとレインが踏ん張ってくれたからね。

 それじゃ、今晩はあたしとレインだね。」


 そうだった…。俺専用の寝室が無いんだった。


 後片付けは明日行えばよいことを告げ、別棟に向かいレインさんを加えた6人で展望風呂に入ることとなった。

 5人を想定していた風呂なので、全員が入ると肌が密着して凄い事に…。


「カズ殿、疲れたという割には…」

「アルルさん!それ以上は言わないでくださいね。上と下は生き物が違うんです。」

「ジュークさん、それは本当ですか?」

「いえ、嘘です…。」

「ダーリンは正直だからね。でも色恋沙汰は鈍感。

 ふふ。こんなすっごいダーリンの奥さんになっちゃうなんて、あたしたちって本当にラッキーだよねぇ~。」


 うん…、よく分かりません。

思考回路が回りませんよ。


「あ、それよりもまどかさん、麓に街を作って欲しいって。」

「ん?何で?」

「そりゃ、カップルになるでしょ?その後は結婚するでしょ?子どもも生まれるでしょ?」

「あ、エッチい声とか漏れないようにだね。」


 どストレートに言うんじゃないよ!


「ま、そういう事にもなるんだけど、子どもができたら城の中は大騒ぎになるからね。

 危ない場所もあるし、できれば街でみんなで見守ってくれるという形になれば良いと思うんだけど。」

「うん。ダーリンが言うなら、その方が良いよね。

 しかし、みんながあえぐ声とか聴きたかったなぁ~。」


 まどかさん…、そんな性癖があるんですか?


「そりゃ、聞かれると恥ずかしいと思いますけどね。」

「そんな事ないよね~。」

「悶々としますが、その後カズ殿がやさしくしてくださるので…。」

「あ、ジュークさん大丈夫ですよ。魔王様の部屋は防音ですから、音は聞こえませんからね。」

「そうですか…、痛みいります。」

「ダーリン、それよりもボディシャンプーとシャンプーとリンスの生産を上げないといけないよ。みんな凄い勢いで使っていくからね。」

「ん?そんなに無くなるもの?」

「だって、ウェアキャットとかウェアタイガーなんて、全身毛だよ。

 どこまでがシャンプーでどこからがボディシャンプーを使えばいいかって、ルナに真剣に聞いてきたくらいだから。」


 笑いの神君臨!ツボに入った…。

そりゃそうだよな。


「じゃぁ、石鹸の製造を半分にしてその半分を回しましょうか。」

「うん。じゃぁそうして。あ、そこ気持ちいい。もう少し…うん…」


まどかさんの髪を洗いながら頭皮マッサージをしている。



「じゃじゃーん!レイン!ダーリンの妻になった証にこれを与えるよ~ん。」


まどかさんが黒い下着と白いナイトガウンを渡している。


「こんな素晴らしいものをいただけるのですか?」

「そだよ。

 これはね、ダーリン自らデザインして、型紙をおこして作ってくれたんだ。

 でね、この下着は王族である“あたしたち”しか着ることが許されないモノなんだよ~。」


 おい!いつの間にそうしたんだ?


「まどかさん、流石にそれは…、型紙が勿体ないよ。」

「んじゃ、黒色が王族だけの色にする?エッチいよ?」

「う…、そこは何も言えない…。」

「じゃ、決まり~。黒色のこのデザインは王族限定ね。

 あと、何で限定にする?

 あ、こんなのどう?」


 おぅふ!まどかさん、流石に俺とレインさんだけしかないが、大胆だよ。

ヒップの部分の布をキュッと上げる。所謂Tバックだ…。


「まどささん、流石にそれは寒いと思うんだけど。」

「そう?それじゃ、ダーリンが脱がしやすいようにサイドを紐にするとか、こう前も上がってる、えと何て言ったっけ?ハイグレ?」


 どこの物騒なヤンキーだよ…。


「ハイレグね…。」

「そうそう、ハイレグにしたり、ダーリンを悩殺できるものが良いなぁ~。」


ひとつ深呼吸して、真剣に言う!


「まどかさん、レインさん、そして、ここに居ないアルルさん、ルナさん、ターニャさん、下着で悩殺なんてしなくて良いです。

 俺は、皆さんといるだけで悩殺されてますからね。」


 あ、しまった…。地雷源に踏み込んでしまった…。

 まどかさんがいきなり抱き着き、服を脱ぎ始めた。


「ま、魔王しゃま…、わたし…、こんなに動けませんが…。」

「うん…。分かってる…。

 最初は…。動かなくて…。いいからね…。

 ん…。

 ダーリンに…、全部あずければ…。気持ち良く…。なるからね…。」


 最中に説明するんじゃないよ…。

でも、官能的だけど…。


・・・その後、レインさんと一緒になりました…。


俺の胸の左にはまどかさん、右にはレインさんが寝ている。


「ほんと、ダーリンって凄いね。」

「いえ…。」

「だって、二人を相手に踏ん張っちゃうんだもん。」

「それは、俺が動いていないから…。」

「あ、そか。でも、あたしは気持ち良くて動いちゃうんだよね~。

 あ、レインにはまだ分かんないよね。でも、そのうちこうなっちゃうからね。」

「魔王様、途中から頭がボーとして夢の中に居るようでした。

 これが甘美というのでしょうか。」

「甘美ってのは分かんないけど、あたしは気持ち良い~って思うけどね。

 ま、人それぞれだけど、もうダーリン無しでは生きられないよ。」


 俺を挟んで、そんな話をしているんじゃない!

灰になるまで踏ん張っちゃうかもしれないから…。

その後待っているのは腹上死かもしれないが…。


 今思うんだが、この世界に転移してからというもの、体力というか性欲があるのは何でだろうか?食い物が違うんだろうか?

俺のスキルは無かったと思うんだけど…。


「まどかさん、俺のスキルって無いんだったよね。」

「ん?無い?あ、ごめんね。正確に言わなきゃいけなかったね。

 ダーリンのスキルは“無(む)”って言うのか、“無(なし)”って言うのか分かんないけど、とにかく漢字一文字で無と書いてあっただけなんだよ。」


 なんだ?それは?

無(む)なのか、無(なし)なのか不明って事か。

ま、どちらにせよ無は無なんだが…。


「いずれにせよ、俺は弱っちいって事だね。」

「そんな事ないよ。ベッドでは無敵だからね。チュ!

 それじゃ、レイン、もう一回いっとこっか?」


無心になれば元気にならないかも…、と思ったが、無は起点とも言うよな…。

まどかさんの挑発にしっかりと乗ってしまった俺であった。

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