2-12 深夜、魔王城にて…

【乱痴気とは、気を取り乱して理性を失うことである…。】


 理性なんて失ってませんよ…。

それに俺、恥ずかしいですって…。

それでも皆上気づいてとろんとしているのは何故だ?


「だってぇ、皆で気持ちいい事したいじゃんね!」


まどかさん…、その意味が分かりません…。

愛し合うことって…と真剣に考えてしまう…。


でも、まどかさんにとってはアルルもルナもターニャも幸せになってくれることを望んでいる。その甘美な状態もシェアしたいのだろうか…。

いいよ。おっさん…、みんなが甘美になれるまで、動き…ませんよ。

というより、動けませんよ…。


 まるでガリバー旅行記の小人の国状態。

4人がいろんなところをキスしてくれる。

なんて良い状態なんだろうか!とは思うが、俺は一人しかいないよ…。


 でも、動かなくて良いテクは本で読んだことがあるから、その辺りは記憶と実践!

なんとかなるもんだ…。


アルルさんもルナさんも痛くないようにした…つもり。

でも、まどかさんがはしゃいじゃって、まどかさんだけ乱痴気パーティー状態。



「カズ殿、とても甘美でした。」

「ジュークさん、ありがとう。」

「あの…、お礼を言われるようなことではなく、痛くなかった?」

「途中から気持ちよさの方が勝った。」

「まだ頭の中がジンジンします。」

「でしょ~。ダーリンとのエッチい事って、とぉっても気持ち良いんだよね。ね、ターニャ。」

「はい!これが永遠と続けばいいのに、って思いますね。」


俺、賢者モード…。

というより灰状態…。

でも、4人が満足してくれて嬉しいよ。

でも、金輪際ハーレム4人はご勘弁いただきたい。

何せ、腰が立たない…。動けない…。


「あの…、まどかさん。」

「ダーリン、分かってる。明日からはあたしともう一人だけにするから。」


おぅふ!2人でもキツイんですよ。


「できれば、お一人で…。」

「それは却下ぁ~。だって、一人だったら、あたしだけになっちゃうもん。

 それにさ、あたしがダーリンの左側で寝るでしょ?そしたらダーリンの右側が寂しくなっちゃうよね。」


 うん一理あるけど、そうすると俺、動けないよね?

おっさん、夜トイレに何度も行かなくちゃいけないんだよ。

しかし、今晩トイレどうしようか…。真剣に悩んでしまう。

ま、とにかく寝るに限る!

そう思い、寝る…寝る…寝る…。

寝れないよ…。トイレが気になって…。


「まどかさん、トイレ行ってくる。」

「んも~仕方ないなぁ。早く戻ってきてね。」


 服を着て本館のトイレに行って用を足す。

しかし、城も様変わりしたなぁ。

ここまで劇的に変える必要があったかどうかは分からないけど、何とか様にはなってきていると思う。

 そう言えば、本館の地下に下着を作っている工房があったんだ。

一度覗いてみるとするか…。


深夜の城は誰もおらず静まり返っているが、工房だけ煌々と明かりが灯っている。

誰かいるのかと思い扉を開けて見ると、アラクネさん達が一生懸命下着を製作している。


「あ、ごめんなさい。仕事中でしたね。」

「これはジューク様。ようこそおいでくださいました。」

「真夜中なのに仕事ですか?」

「はい。私たちは夜行性なので、夜仕事をしています。」

「すると、昼間はお休みですね。」

「はい。その代わり、他の種族が下着を製作しております。」


うわ、交代制なんだ。どうりでまどかさんがあれ以来下着のことを言わなくなった訳だ。

これが理由だったんだ。


「大分行き届きましたか?」

「そうですね。8割がたといったところですね。」

「そうですか。

 あ、そう言えば魔王様がレースとかついた下着が欲しいと言っておりましたが、レースとかはあるんですか?」

「ええ。ようやくできました。

 それと、ヒップの部分にもそういった加工ができるよう生地にも工夫をしております。」

「そりゃ、凄いですね。」

「あ、そう言えばジューク様が前に仰っておられたブラジャーですが、どういったモノでしょうか?」


肩ひもの普通のブラジャーなんだが、ここまでの技術があれば出来ると感じた。

紙を取り、絵に描いてみる。


「こういった感じのブラジャーなんだけど、胸を隠せるようにカップを作り、そのカップを覆うように伸縮性の生地で作るんです。それでカップの部分と背中の生地とに紐をつけ、肩にかけるような感じで。」

「ふむふむ…。これはチューブブラよりも良いですね。

 あれは運動すると落ちてしまいます。」

「あはは、そうなんですよ。だから運動するときはスポーツブラが良いんですよね。

 これはスポーツブラのタンクトップの肩の部分が細くなったものだと思っていただけると良いと思いますよ。」

「あ、そう考えれば簡単にできますね。

 ジューク様、型紙を作ってくださいませんか?」

「うん。いいよ。

 それと、パンツの方だけど、こういったものも作れないかな?」


 ブラとパンツの型紙を作る。


「ありがとうございました。これで大分はかどると思います。」

「アラクネさん、申し訳ないんだけど、この型紙のパンツとブラジャーを4セット作ってくれないかな?」

「はい。構いませんよ。色はどうしましょうか?」

「そうだね。黒でできるかな?」

「はい!10分ほど待ってもらえますか?」


 アラクネさん、10分で4セット作るなんて凄技だよ。

それに精巧でかわいい。うん。トイレ行ったお土産に4人に渡そう。


「アラクネさん、ありがとね。」

「いえいえ。下着?でしたか?

 そのヴァリエーションも増えましたので、皆喜ぶと思います。」


ふと、思いついた事を行ってみる。


「そうそう、絹という生地はありますか?」

「はい。キャリオンクーラーという魔物の繭から採れる糸で作った布のことですね。」

「あるという事は、こういったモノを作る事はできますか?」


もう一度、紙に書いて型紙をおこす。


「ジューク様、これは何でしょうか?」

「ナイトガウンです。

夜これを着て寝るんですよ。」

「こんな良いモノまで教えていただけるんですね。」

「でも、絹を結構使うから高いんだよね…。」

「いいえ。キャリオンクーラーでしたら、そこら中に居ますので、絹は沢山採れますよ。

 ただ、今は染色しておりませんので白しかありませんが。」

「問題ないですよ。

 これも普通サイズが3つと、少し大きめのサイズを1つ作ってもらえますか?」

「これなら、簡単にできますね。では5分お待ちください。」


 下着4セットとナイトガウン4セットが出来上がる。


「アラクネさん、素晴らしいです!

 これも時間があるときに作ってもらえると、女性が喜ぶと思いますよ。」

「ジューク様、ありがとうございます。

 私たちも下着を作る楽しさが出てきました。またいろいろな種類を作りましょう。

 いろいろと教えてくださいね。」


 とても満足している。

そして、こんなにも早く出来上がるなんて、アラクネさんは素晴らしい!

鼻歌交じりで別棟に入ると、4人が玄関で待っていた…。


「ダーリン!とぉ~っても長いトイレでしたね。

 道にでも迷ってたの?」

「あ、ごめんね。

 本館のトイレで用を足した後、地下に行ってみてね。

 そこでアラクネさんと下着の話をしていたんだ。

 アラクネさんって、夜行性なんだね。」

「ふ~ん。それで?」

「ん?もしかして妬いてくれてる?」

「そだよ。だって、こんなに素晴らしいダーリンだもん。みんなダーリンの事好きに決まってるよ。」

「“蓼食う虫も好き好き”だと思うけど…。」

「虫がどうしたの?」

「ヒトにはそれぞれ好き嫌いがあるって事だよ。

 あ、それと皆に見せたいものがあるから、部屋に行こうか。」

「ん?なになに?」

「ここではだめだよ。部屋でね。」


・・・


「じゃーん!これがまどかさんが欲しがってた黒色の下着セットです!」

「うわ!これ作ってくれてたの?」

「作ったのはアラクネさんだよ。俺は型紙を起こしただけ。」

「それでも、これからこういった下着が着れるんでしょ。やったーーー!」

「アルルさん、ルナさん、ターニャさんの分もあるからね。」

「ねね、着けてみて良い?」

「どうぞ。」

「うわ!可愛い~、そしてエッチい!これ最高だね。

 これでダーリンを悩殺できるよ。」


 皆、黒の下着を着けている。

うん。エッチい。


「それとね、もう一つ、ナイトガウンです。これ着て寝れば寒くないよ。」


皆がナイトガウンを着てみる。


「うわ!これもエッチいね。」

「甘美です…。」

「可愛い…。」

「あの…カズ殿。皆と少し違うようだが、これが正解なのだろうか…。」


アルルさん、背が高いからナイトガウンが短すぎてギリギリのラインだ。

うぉ!これはエッチい。


「アルルさん…、凄く良いですよ。」

「そうか…カズ殿がそう言ってくれるなら、良いのだな。」

「む~、あたしもアルルのようなエッチいのがいい!

 それでダーリンを悩殺して、エッチい事いっぱいするんだ!

 丈はこの辺りで。

見えるか見えないか、何て言ったっけ? ちらリズムだ!

エッチいんだよね。」


おぅふ!まどかさん、最高です。

しかし、そんな言葉を知っていて、蓼食う虫も…は知らないんだ…。

でもおっさん、踏ん張りますよ!


「それじゃダーリン。もう一回いっとく?」

「はい。喜んで。」

「やっほ~!」


 夜中の大運動会のはじまりの合図だった…。

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