2-11 別棟の完成…?

「まどかさん、お願いがあります!」

「ん?どうしたのダーリン?」


 食事の時にまどかさんにお願いしてみる。


「城で働く男性を増やすことは可能ですか?」

「兵士さんがいるよん。」

「えと、それ以外で例えば庭師さんとか、工房で道具を作ってくれるヒトとか…。

 そうしないと城で働く女性たちの出会いがドワさんとホビさんだけは可哀そうで。」

「そう言う事ね。

 それなら問題ないよ。庭師はエルフが良いかな?工房は流石にホビットが良いと思うけど、魔法とか使うのであれば、砲台のヒト達が入るから、いろんな種族がいると思うよ。」


そうなんだ…。

そう言えば、まだ兵士さんを見ていなかった事に気づく。


「アルルさん、兵士の種族について、まだ聞いてませんでしたね。」

「そうだな。ゴブリン、オーク、ウェアウルフ、ウェアタイガー、ミノタウロス、リザードマンが歩兵かな。ケンタウロスが騎兵といったところか。

 エルフが弓で、空はハーピーと竜人、あとはナーガやアラクネ…この2種族は魔法もあるので、砲台が良いかと思っている。」


 すみません…。イメージが沸きません…。

何ですと?ウェアウルフにウェアタイガー?獣人と何が違うの?

ハーピーって何?ナーガって?

キョトンとした顔を見て、アルルさんがにっこりと笑う。


「まぁ、見れば分かるぞ。」

「そうですよね…。

 あ、あと、兵士さんの食事は誰が面倒しているんですか?」

「そりゃ、兵士に決まっている。当番で飯を作っている。」

「うん…、では、兵士さん用に男性の料理人を雇う事にしましょう。

 あと、各種族の代表者2名は男性ですか?」

「種族にもよると思うが…、男性の方が良いのですか?」

「いえ、どちらでも。でも既婚者よりは未婚者の方が、城で働く人との出会いもあると思いますので。」

「ダーリンは、みんなに結婚してもらいたいんだよね~。」


俺が料理人に教えたトンカツをおいしそうに頬張るまどかさん…可愛い。


「皆がハッピーになれば良いですよね。」

「ん?カズ殿、ハーピーは鳥だが?」

「あ、ハーピーでなく、ハッピー。幸せって意味です。」

「そうか、なら私らはハッピーなんだな。」

「そうだよ~アルル。あたしたちはこんなに凄いダーリンを見つけちゃったんだからね。」


歯痒い…。

普段褒められた事が無いので、耐性がないんだが…。


「えと…、それより料理人の種族ってどの種族が適しているんですかね?」

「んと…、ジン?ハーフデーモン?」


ん?ジンって酒じゃないのか?

それに半悪魔って?血をメインにするのか?って、血はドラキュラか…。


「ルナさん、そのあたりの選定はお任せしても良いですか?」

「はい。勿論ですわ。」

「ところで、俺が教えた料理人さんはどんな種族なの?」

「ハーフデーモンですわ。」


うわ、知らなかった…。

あのガタイの良いおばちゃん、もとい女性、ハーフデーモンだったんだ…。

今後、謝っておこう。って、何に謝るんだ?


「ダーリン、ところでさぁ…」


ん?まどかさん、何だ?


「あたしたちの住む塔が完成したんだよね。」


え!まだ2日しか経ってませんよ…。

部屋とかも見てませんが?


「へ?こんなに早く?」

「そうなんだよね~。みんな張り切ってくれてね。

 ま、細かいところは明日仕上げるんだけど、一回見てみる?」

「はい!是非見たいです。」

「んふふ。そう言うと思って、お風呂も準備してあるんだよ~。」


 お風呂の準備については、何か間違っていると思うが、こんなに早く出来上がるのはびっくりだ。

中を見てみたいよ。


「それじゃ、食事が終わったら行きましょうか?」

「うん!アルルもルナもターニャもね。それとレインもスズもね。」


皆で別棟へ行く。

夜なので外観は暗くて見えないが、中に入ってびっくりした。


「な…、何ですか?この豪奢な造りは?」

「そりゃ、ダーリンやあたしたちが住む場所だからね。精一杯綺麗にしておかないとね。」

「まどかさん、これは綺麗ではなく豪華、豪奢というものですよ。」

「ま、みんながね、魔王様が住む場所だから、もっと煌びやかにしたいって言ってたのを、これでも押さえたんだよ。」


頭痛がしてきた。

質素で良いんですよ。この調度品とか売れば凄い高値が付くでしょうに…。


「でね、1階はこの奥にキッチンとダイニング、リビングでしょ。その奥にお風呂がありまーす!」


まどかさんがふんぞり返って説明している。


「では、2階にまいりまーす!

 2階は、会議室とスズとレインの部屋でーす。さらに料理人さんの部屋もありまーす。

あ、レインとスズ、今日はこれで解放ね。お疲れ様!

 では、あたしたちだけで上に行きまーす!

なんと、3階はダーリンとあたしたちの愛の巣でーす!」


3階に来て、目を丸くした…。

部屋が二つ?何故に二つ?こんなだだっ広い部屋居る?


「あの…、まどかさん…、多分ですが、この部屋は執務室ですね。

 で、もう一つのだだっ広い部屋は?」

「4人の愛の巣!」


おぅふ!まどかさん…、おっさん無理っす。

いくらハーレムだと言っても…速攻、腹上死しますよ。


「体力ないですよ…。」

「うん。知ってる。だけど、皆見たいじゃんね。」


 いえ、見たくないでしょ…。

って、何を?


「あの…、流石に引きました…。」

「え~、でもみんないい子だよ。ダーリン、みんな襲っちゃって良いんだよ。

 エッチい事いっぱいしようよ。」


 完全に天然系エッチだ…。


「まどかさん…。」

「だって、一人で寝るの寂しいじゃんね…。」


 我に返った…。

そうだった。まどかさんは数十年、一人で寝てきたんだ…。

その寂しさに比べれば、4人で寝るのなんて…


は!いかんいかん。情にほだされるところだった…。


「それじゃ、提案なんですが、俺の執務室を一つ作ってください。

 俺は基本、まどかさんと一緒に寝ますので、俺の部屋にベッドは不要です。

 それと、アルルさん、ルナさん、ターニャの部屋も。

 このだだっ広い部屋を分割できれば問題はないですよね。」

「む~。確かにダーリンは執務室が欲しいって言ってたよね。

 ん。分かった。それじゃダーリンのお願いを叶えちゃおう!

 んじゃ、部屋はこんな感じで!」


 取り出した紙にサラサラっと平面図を描いていく。

ん?何かおかしいぞ。

何故に俺の執務室を中心に、その周りに皆の部屋があるんだ?

俺はどこからこの部屋に入るんだ?


「これなら、ダーリンの部屋に誰でも入ることができるし、ダーリンの部屋を介して、皆があたしの部屋に来れるね。」


 だから…何故に複数なんだ?

おっさんを腹上死させる気か?


「はぁ…。まどかさんの強い思いには感服ですが…。

 で、各階のトイレはどうなってますか?」

「あ…」


 ま、まさか…。


「作って無かったね。あはは。」


まどかさん…、“てへペロ”じゃないよ…。

結局、3階の構造はもう一度明日やり直しすることになり、俺の部屋が真ん中という最悪の事態も免れた。



今は屋上に行き、露天風呂を満喫している。


「まどかさん、この屋上風呂はナイスアイディアです。」

「えへへ、そうでしょ~。

 ここだけ踏ん張っちゃったもんね。」


1階の風呂もそうだが、ここも5人が入れるだけのお風呂だ。


「で、1階は誰が使うんですか?」

「ん?あ、そうだね。要らないか?」

「いや、レインさんやスズさん、料理人さんが入る風呂は必要ですから。

 であれば、広さを半分にして、その半分を備蓄倉庫にすれば良いのでは?」

「そうだね。地下に行くよりは楽だし、そこに冷蔵庫作っちゃおうか?」


 へ?地下もあるんですか?

初耳ですよ…。


「まどかさん…、この地下には何があるんですか?」

「むふふ…。それは見てのお楽しみ。

 エッチい事するための部屋だよ。」

「もしかして、縄とか手錠とか鞭とか…無いですよね…。」

「ん?あるよ。」

「その気は俺にはありませんよ。」

「その逆で、あたしたちがダーリンを甚振(いたぶ)るんだよ…。」

「へ?」

「あはは~!冗談だよ~。

 地下はルナとターニャの研究室だよ。」


まどかさん…、今晩奥歯ガタガタ言わせてやるぞ!

って言っても、俺の方が先にダウンするんだが…。


「それじゃお風呂出て、最初で最後の大きなベッドで乱痴気パーティーしよ!」


ちょ、何言ってんだ?

アルルさんもルナさんもそれは恥ずかしいって思ってたんじゃないのか?


アルルさんとルナさんを見ると、頬を赤らめモジモジしていた…。

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