2-9 快適? ビフォー・ア〇ター
「あーーーーー!
昨日は寝ちゃったぁ~!
ダーリンとイチャイチャ、ラブラブな事が出来なかったぁ~!」
朝起きて、まどかさんが叫び始めた。
「私の順番は…、飛ばしですか?」
アルルさんが心配そうに聞いている…。
うん、聞かなかったことにしよう。
今日から工事が始まるんだ。それどころじゃないからね。
さて、何からやるべきか。
「むー、仕方がないから、今日からあたし達の部屋から作ってもらおう!
今日一日で仕上げますよ!」
なんか、まどかさんが張り切っている。
それよりも、早く研究室とか工場とか作った方が良いんだけど…。
ま、まどかさんがどこからやるのかは分からないけど、そのうち飽きてルナさんにバトンタッチするんだろうな…。
んじゃ、こちらはルナさんと本館の方のリノベーションと、兵舎を見ていこうか。
ドワさんとホビさんが大勢やって来た。
うわ、まどかさん、別館のリノベに大勢引き抜いていったぞ。
残った大工さんは…、50名くらいか。
それじゃ、25名ずつ分けて本館と兵舎を進めよう。
「ルナさん、本館の風呂場から始めて、次に地下からやり始めてもらって良いですか?」
「え?地下からではないのですか?」
「みな、踏ん張ってくれてるんだから、仕事が終わったら汗を流したいでしょ?」
「そうですね。では、お風呂を2分割し、脱衣所を作ってもらう所から始めますね。」
「うん。お願いします。」
「アルルさん、兵舎も1階から始めていきますが、部屋数足りますか?」
「十分足りると思うぞ。」
「それじゃ、階層を部族ごとに決めて作ってもらいましょう。
それをまとめてもらっても良いですか?」
「カズ殿、分かった。」
「それじゃ、頼みます。」
別棟に猛ダッシュした。
まどかさんの事だ…、1、2階をどうするかなんて決めてないだろう…。
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別棟に到着し、唖然とした…。
「ちゃんと出来てるじゃん…。」
まどかさんを過小評価していた。
魔王様自ら100名くらいの大工に指示している。
「そちが1階の現場監督だ。
24名を率い、食堂と厨房、リビング、そして風呂を作れ。
次に2階の現場監督をそちに任せる・・・・・」
おぉ、ちゃんと指示しているね。
それじゃ、俺は情内をぶらぶらと回りながら、皆が欲しいものを聞いていきましょうか。
しかし、この世界の大工さんは仕事が早い。
早いというよりも、あっという間に終わらせる。
一日目が終わる頃には、本館の風呂、地下が終了。まどかさんの塔は人数に任せ、1階から3階まで6割ほど完成。そして屋上に何故か風呂を作っている部隊が居る。
兵舎は1階が完成した。
「皆さん、お疲れ様でした。
汗もかいたと思いますので、本館の1階にお風呂がありますから、皆さん使ってくださいね。
それと、食事は本館の2階に広間がありますので、そこで食べてください。
申し訳ありませんが、寝る場所はまだ出来てませんので、使ってない部屋で自由に寝てくださいね。」
「ジューク様、あの石鹸とシャンプーとリンスを使っても良いのですかい?」
「ええ、どうぞ。自由にお使いください。」
「おぉ!それじゃ遠慮なく入らせてもらいやす!」
「男湯と女湯がありますからね~。間違えないでくださいよ~。」
ぞろぞろと風呂に移動していった。
「ルナさん、城で働いている方は何処に住んでいるのですか?」
「彼女たちは、基本帰宅していますので、問題ありませんよ。」
「ん?それは?」
「いえ、彼らが夜這いとかを考えておられるのかと…。」
「そんな事、今したら婚活パーティーに出入禁止くらいますからね。
皆真剣ですよ。
それと、進捗状況からいけば、明後日くらいに完成してしまうんですが、皆欲しいものとか無いんですよね…。」
「ダーリン、それはあたしの人望が厚いからという事だよね、よね?」
「そうかもしれないね。」
取り合えず相槌を打っておく。
「あ、忘れてた。
まどかさん、明日、ドワさんの集落に行きたいんだけど、籠を使わせてもらえますか?」
「ダーリンなんだから、勝手に使っていいよ。」
「でも、誰に話せば良いかと思いまして…。」
「そう言えば、忘れてたね。」
「ん?何を?」
「ダーリンのお傍付を誰にするのかを。」
「へ?そんな事言ってた覚えはありますが、不要となったんじゃなかったですか?」
「そうは言っても、あたしは明日も棟の指示で忙しいし、アルルもルナもターニャも…、あ、ターニャが今時間空いてるよね?」
「魔王様、本館の研究室と工房の最終調整があります。」
「むー…、誰か居ないかな?」
「そう言えば、まどかさんはスズさんが居るとして、アルルさん、ルナさん、ターニャには御付きのヒトは居るんですか?」
「私たちには精霊が付いていますので、居りませんね。」
そうなんだ…。
精霊さん、さぞかしいい仕事しているんだろうな…。
「であれば、レインで良いんじゃない?」
「そうですね。彼女なら問題はないでしょう。」
レインさんって、あの秘書みたいでおしゃべり好きなヒトだよな…。
確か、パトリシア・ニールに似ていたと思う。
「それじゃ、彼女とスズの部屋も棟に作っちゃおっか。」
まどかさんが俺を見てニヤニヤしている。
これ以上、俺に何をしろ、というのだね?
「では、そこはお任せします…。」
「ダーリン、手を出したらダメだよ~。」
まどかさん、食いつく所はそこか!
「おっさん、4人でお腹いっぱいですよ…。」
「そっか~、レインなら良いと思うんだけどねぇ。」
「何を?ですか?」
「子孫繁栄!」
まどかさんの天然ぶりにあきれ返った…。
そのうち何も出なくなって旗が出るわ!
今晩はクリーンだけにしようと提案したけど、4人に断固拒否された…。
誰も入っていない女湯に入って行くが、やはり恥ずかしい。
「ダーリンは身内だから良いの!」
「昨日の髪の洗い方は甘美なものでしたものね。」
三将ズがうっとりとしている。
別に洗う事は問題ありませんよ…。ちょっと前かがみになりますけど…。
「あ、お風呂入る時のルールを決めておく必要があるね。」
「ん?それはどういう事?」
「まどかさんは銭湯入った事ある?」
「小さい頃、一回だけ行った事があるよ。」
「銭湯のルールって、教えてもらってない?」
「覚えてるのは、フルーツ牛乳飲むときは、腰に手を置くことくらいかな。」
それはルール…、ま、ルールか。
「じゃなくて、湯船に浸かる前に身体を洗う事、髪の毛を湯船に入れない事かな?」
「で、フルーツ牛乳を飲む時は…」
「フルーツ牛乳、まだ作って無いよ…。」
「じゃぁ、すぐ作ってよ~。ダーリンならちょちょいのちょいでしょ?」
イヤに期待をかけられるのだが、脱衣所にアクアスライムの部屋作って、そこに牛乳並べて、皆が腰に手を当て牛乳を飲む…、シュールだ。
面白いかもしれないと思ってきた自分が怖いわ。
「追々考えていきます…。」
「さすがダーリン!愛してる!」
「こりゃ、風呂場でいきなりダッシュすると…、ほら、言わんこっちゃない!」
まどかさん、派手に転んだ…。
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「ダーリン、もう少し優しくなでなでしてよ~。」
まどかさんの部屋で、派手に転んで腰をしたたかに打ったまどかさんを介抱している。
「お風呂では走らない、というのもルールに入れておきますね。」
「うん。ルナさんお願いします。」
「でも、ダーリン。
ダーリンが来て、まだ数日しか経っていないけど、大分変ったよね。」
「そうですね。
ジュークさんがいらっしゃってから、肌着?下着の加工から始まり、蒸留酒、種族への産業振興、兵の編成、城の改築…。とどまる所を知りませんね。」
「もうネタ切れですから、ご勘弁くださいね。」
「ううん。それだけじゃないよ。
結婚もできた!子供も!」
「嘘!?早すぎない?」
「これから出来る!」
やはり天然だ…。
「という事でレインにダーリンの秘書をやってもらう事で決定ね!
何か問題がある人ぉ~?」
おずおずと挙手をする。
「はい!ダーリン!」
「レインさんが秘書になるという事は、まどかさんと一緒に居る時間が少なくなるということになりますが…。」
「・・・そうなんだ…。
やはり、お傍付をつけるのは問題があるね…。」
まどかさんが真剣に悩み始めたよ…。
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