2-5 視察(ゴブリン・オークの農業)
賢者モードを大きく越えて灰になっています…。
まどかさんとターニャさんは俺の両脇で気持ち良く寝ている。
うん。それでいいんだ…。
両腕を取られているので動けない。
今日は何するんだっけ、とおさらいしてみる。
今日は、ゴブリンの集落で農業指導とオークとエルフの集落で家畜の飼育指導だ。
むにゃむにゃとターニャさんが目を覚ます。
「カズさん、おはようございます。」
「うん。おはようさん。まだ、まどかさんが寝てるからね。」
「うふふ。カズさんはまどかさんの事が大好きなんですね。」
「そんな事は無いよ。ターニャの事も好きだし、アルルさんもルナさん好きだよ。」
「はい、それにとても素敵な経験をさせていただきました。」
「照れるね。」
「いいえ、私にとって甘美な事でした。また愛し合いましょうね。」
「お手柔らかにお願いします…。
さて、行動を開始しましょうか。
まどかさん、起きてください。ドワさんのところに行って、鍬と鍬をもらいに行きますよ。」
「ん~。もう少し…。」
余程いい夢を見ているんだろう。笑ってるよ。
「唐揚げが無くなりますよ。」
「へ?唐揚げ?どこ?どこ?」
まどかさんがガバッと起きて、辺りを見渡している。
「さて、それじゃ行動開始しましょうかね。。」
3人で食事場所に行くと、アルルさんとルナさんが待っている。
「ターニャ、遅いですよ。」
「ごめんね。」
「で、昨日はどうだったの?」
「えとね…、ゴニョゴニョ…。」
3人のガールズトークを無視し、まどかさんと2人で食事をとる。
「んじゃ、今日も籠で行こうね。
あ、その前にルナ、バッグは出来てる?」
顔を真っ赤にしたルナさんがおずおずと差し出した。
「ん。ありがとね。」
「はい。魔王様、ジュークさん、今日も早いお帰りをお待ちしておりますね。」
眼がキラキラとしているが、うん…放置しておこう。
マジックボックス付きのバッグを数個持って籠に乗る。
操縦はレインさんだ。
「それじゃ、しゅっぱーつ!」
うぉ!やはり最初のフワッと感は気持ち悪い。
それでも昨日よりは何とか持ち堪えることができている。
「シメさんも早く慣れるといいね。」
「ま、こればかりはね。」
「あ、そうだ。ダーリンも1個マジックボックス付きのバッグ持っててね。」
そんなこんなを話しながら、ドワさんの集落に到着する。
「魔王様、ジューク様、お待ち申し上げておりましたぞ。」
「ドワーフの長よ、昨日ぶりじゃな。」
「昨日ご依頼のありましたモノでございます。」
「そうか、ジュークよ。これで良いか?」
「はい。申し分のないくらいの出来でございますね。
それではいただいてきます。」
さっき、まどかさんにもらったバッグの中に鍬と鍬を入れる。
「ジューク様、そのバッグは?」
「あ、これですか?これは、昨晩智将ルナリア様が作っていただいたモノで、マジックバッグですね。」
「ほう、それがかの有名なマジックバッグですか。」
しげしげとみている。
するとまどかさん、
「此度の褒美を渡さねばならぬの。
では、ドワーフとホビットの長よ、このマジックバッグをそちの部族に渡す。
使ってくれ。」
「ははぁ~~~~。ありがたき幸せ。部族の宝といたします。」
「宝ではなく、使って欲しいのじゃ。
これから市が立つ。その市にそちらの作ったモノをバッグに入れれば、荷物にはならんじゃろうて。」
「そこまでお考えいただけるとは…。ありがたき幸せにございます…。」
ドワさんとホビさんの長、泣いてるよ。
「では、また来るぞ。」
「はい。いつでも歓迎いたします!」
籠に乗って、次なる目的地のゴブリンの集落に向かう。
どうやら、スズさんが先ぶれを出しててくれたようで、ゴブリン総出でお出迎えのようだ。
まどかさんが集落に下りると皆平伏する。
「面を上げい。長はどこじゃ。」
「ここにおりまする。」
「今日は迷惑をかける。では、これよりジュークの言葉を我の言葉としてしかと心にとめよ。」
「はは~~~。」
ここでも水〇のご老公様だ。
「ジュークと申します。
では長さん、皆さんの中で力がある者を20人選抜してもらえませんか。」
「分かり申した。では、ここに。」
お、早いね。流石スズさん、先ぶれで段取りしてくれてたんだ。
バッグの中の鍬と鍬を50本ずつ出す。
皆、新しい道具を見て眼を輝かしている。
「それじゃ、20人の方、10名はこちらを、10名はこっちを持ってついて来てください。」
皆を連れて、畑の予定地に到着する。
うん…、荒れ地だ。
切株や岩もたくさんある。
先ずはこの障害物をどける作業からかな…。
まどかさんに小声で聞いてみる。
「まどかさん、ここにある切株とか岩とかを取り除く魔法ってある?」
「んーないかな。土魔法が使えればどけることも可能なんだけど、魔法が使えるゴブリンって少ないんだよね。」
「まどかさんはできる?」
「出来ない事はないけど、移動するだけなのか、壊す方が良いのかどっちだろう。」
「できれば、撤去してもらった方がいいかな。
あ、マジックボックス使えない?」
「シメさん、頭良い~!それ使えるよ。」
「じゃぁ、バッグを2,3個渡してもいい?」
「問題ないよ~。」
観戦しているゴブさんの中から3人選んで長に説明する。
「何と、そのようなお宝を使わせていただけるのですか。」
「スピード重視ですので、では、始めましょうか。」
最前列にバッグを持ったゴブさん3人、次に鍬を持った10人、鍬を持った10人が並ぶ。
最初に障害物をバッグの中に入れ、鍬で土を細かくする。そして鍬で畝を作る。
ものの20分程度で10本の畝ができた。
「では、鍬と鍬を持った方で、残っている道具を配り、この方法をみなさんに教えてください。次にここに作物の種を撒いていきましょう。
種は間隔を空け、指の第一関節まで土に突っ込んでタネを入れて土を被せてください。」
種まきはゴブさんの女性がやるようだ。
どんどん畝もでき、ゴブさん総出で畑仕事をしている。
「タネをまいたところから、一日2回水を上げてくださいね。
あ、じょうろが欲しいね。スズさん、申し訳ないけど、こんな道具をドワさんとホビさんに伝えて50個くらい作ってもらえないかな?あ、まど…魔王様、バッグをスズさんに一つ渡してもよいですか?」
「ん。分かったのじゃ。」
「道具が出来上がるまで、申し訳ありませんが丁寧に水をかけてくださいね。」
「分かりました!」
これで、農業は終了だ。
次はオークの集落だな。
「では、また来るぞ。それまで農業に励んでほしい。」
「あの魔王様、あのバッグはお返しした方がよいでしょうか。」
「そちたちの働きを考慮して渡したモノだぞ。せいぜい使ってくれ。」
「あのような高価なモノを…。ははぁ~。魔王様には末代まで忠誠を誓います。」
籠に乗りオークの集落に向かう途中、まどかさんに聞いてみる。
「マジックボックス付きのバッグって、いくらぐらいするの?」
「ん-。分かんないけど、あたしが勇者だった頃は金貨5枚以上したかな?」
「金貨1枚がいくらなのか分からんが、相当高いものなんだろうね。」
「そうだね。新品の馬車一台分と一緒だって言ってたね。」
普通車一台が300万から500万だとすると金貨1枚100万円くらいするのかなぁ…なんて思っていると、オークの集落に到着する。
まどかさんは同じように長に挨拶し、バッグを渡すと、みなひれ伏している。
すごい威力だ。水〇のご老公の印籠くらいか?
オークの集落では、オーロックスの小屋を作り、そこで牛肉と牛乳を作ってもらう。
牛舎の近くには飼料をつくる農場も必要なので、鍬と鍬を渡す。
流石オークさん、力持ちばかりで小屋なんてあっという間に作ってしまう。
畑もものの10分で広い農地が完成した。
あ、最初からゴブさんの畑も耕してもらった方が効率的だったかな?
なんて思いながら、オーロックス数頭を小屋の中に入れて飼い始める姿を見たところで、長にバッグを使ってもらうよう伝えた後、籠に乗った。
「シメさん、順調だね。」
「そうだね。でも家畜を飼うと問題も出るんだよね。」
「どんな問題?」
「匂いと排泄物だよ。」
「それを回収する種族が居れば良いんだけどね…。」
「排泄物を集める車って何て言ったっけ?バーベキュー?」
「あ、バキュームカーね。あ、そう言えば城のトイレって最終的にはどこで処理されているの?」
「ルナが知ってるから、後でルナに聞こう。」
ま、そんなもんだよね。
でも排泄物って、もしかするとすごいモノができるんだよね。
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