2-4 故郷の料理の後には…♡

「さて、それじゃ始めますか!」


フォウルの肉を小さく切り、そこにニンニクと生姜を刻んだ甘辛いソースに漬け込む。

醬油がないのが痛いが、ま、代用できるもので。


 漬け込んでいる間、米と大麦を水に浸しておく。

キャベツを千切りにし、これで下ごしらえは終了っと。

次に小麦粉に塩と胡椒をまぶし衣を作り、フライパンのようなものに油をたっぷり入れ温める。


「ダーリン、それって…。」


まどかさんの眼がランランとしている。


「うん。唐揚げね。」

「や、やった~!唐揚げだぁ~!」


まどかさん、1mくらい飛んだぞ…。

次に鍋に水に浸しておいた米と大麦を入れふたを閉め、先ずは強火で、沸騰したら弱火にしてポコポコ言い始めたら火を止めて、そのまま放置。

ソースが染み込んだフォウルの肉に粉を付け、油の中に投入っと。

片面2分ずつ、これ俺流ね。

揚げたものを油切りの上に置く。

皿にキャベツの千切りをのせ、唐揚げを置く。

お米は…と、良い感じだ。


「さ、まどかさん、できたよ。」

「うん。ありがと…。」


 まどかさん、泣き出しちゃった。


「シメさん…、私…、とっても幸せだよ。

 何十年も忘れてた日本の食べ物…、再現してくれるなんて…。

 もう…食べれないと思ってあきらめてたんだ…。」

「レパートリーは少ないけど、また作ってあげるよ。

 それに、料理人さんも見てたから、また作ってくれるよ。」


 ご飯をよそい、食事にする。


「さぁ食べようか。」

「うん。いただきます。」


 まどかさん、唐揚げを口の中に入れる。

目を閉じながら味を確かめ、麦ごはんを一口食べる。


「おいしい…。」

「ちょっとアレンジしているけど、なんとかなったね。」

「ありがと…、なんだか食べるのが勿体ないよ…。」

「また作ってあげるよ。」

「ん。ダーリン…、大好き!

 あ、これって逆転してるね。普通、女の人が男のヒトの胃袋を掴んでおくんじゃなかった?」

「よく知ってるね。夫婦になった時の言葉だね。

 男性の胃袋を掴むってのは、美味しい料理が作れるって事。その美味しい料理を食べたいから、男性は仕事が終わったら家に帰って来るって意味だったと思うよ。」

「そうなんだ。

 なんだか、あたしとダーリンって逆転してるね。」

「はは、そうかもね。」


 米も大麦もあった。いろんなものを使えば、なんちゃって日本食だってできる。

魔国も捨てたもんじゃない。

それに、何度も言うけど、まどかさんの笑顔を見てるのが幸せだ。

あ、俺、完全にまどかさんに惚れてるな…。


2人して唐揚げを平らげた。


「ふー満足、満足。

 さて、シメさん、お風呂入ろっか。」

「へ?お風呂?」

「そりゃそうだよ。結婚したんだからね、これからずっと一緒に入ろうね。」

「はは、そうだったね。んじゃ入ろうか?」

「あ、アルルもルナもターニャも結婚したんだった。

 それじゃ、4人で入ろうか。」

「ひゃ?ひゃい。」


お風呂の途中で三将ズに会い、皆でお風呂に行く。


「さて、昨日のお湯は抜いておいたから、新しく入れる、と。

 んじゃ、アルル、ターニャ、昨日の要領で行くよーん。」


昨日よりも早くお風呂が出来上がった。


「それじゃ、入ろうか~。」


 やっぱり、お風呂は気持ち良い。

それにいつの間にか4人に増えた妻とのお風呂タイムだ。

皆笑ってる。


「んじゃ、まどかさんから髪の毛を洗ってあげるよ。」

「ん。ありがとね。」

「次はアルルさん、ルナさん、ターニャの順ね。」

「はい。」


やはり、一度頭皮の汚れを落とせば、泡立ちはいい。

昨日のように何度もシャンプーをしなくても大丈夫だ。

頭皮をマッサージしながら、髪を洗っていく。

そしてリンスをつけ、流していく。


アルルさん、ルナさん、ターニャにも同じ事をしてあげる。


「ダーリン、ありがとね。それじゃ、今度はあたしたちが洗ってあげるね。」

「ひゃ?そんな事したら、鼻血でるんだけど。」

「だいじょうぶだよ。それにもう結婚してるんだからね。」


 なんだか言いくるめられているような気はするが…。

まどかさんが笑顔ならいいよ。

「ふ~さっぱりした。やっぱお風呂っていいよね~。」

「魔王様、昨日の今日でお風呂信者になられましたね。」

「あればやっぱり入りたいし、それにこの香りと髪のサラサラ感、もう手放したくはないよね~。皆もそう思うでしょ?」

「そうですね。こんなに気持ち良いモノだとは思っておりませんでしたね。」

「一日の汗を流せるってのが、こんなに気持ちが良いモノとは…。」


 ふふ、風呂は正義なんだよ!

その正義の前に、誰もが屈するのだ。

なんて、悦に浸っていると、ターニャさんがモジモジとしている。


「ターニャ、どうした?」

「あ、いえ…。その…気持ち良いと言えば、昨晩魔王様とカズさんは一緒で何をされておられたのかと思いまして…。」


まどかさんと俺…、顔からマグマが噴出した…。


「あ、一緒に寝てるんだよ。」

「それであれば、私たちも一緒に寝たいのですが…。」

「ターニャ、それはだめ――――!

 あなたたちに、あの気持ち良さは分かんないから。」

「魔王様、気持ち良いとは?」

「あ、ゲロっちゃった…。」


 まどかさん、そこはゲロったではなく、墓穴掘っただよ。

ここは年長者であると思っている俺が説明しないといけないよね。


「ターニャ、えと一緒に寝るってことはお互いの身体と体温を感じ合い、愛し合うことね。

 そして子孫を残すためにある行為をするんだよ。」

「あ、まぐわい、所謂セックスですね。」

「なんだ、知ってるんだ。」

「はい。書物庫にありますから。」


一体、どんな本が残ってるんだ?


「その行為を二人の合意の元で行うんだよ。」

「では、私たちもできるという事ですね。」

「へ?」

「子孫を残すためにも、そして愛していただくためにも。」


まどかさんに小声で聞いてみる。


「精霊族とヒトって、子孫残せるの?」

「うん…。」


あちゃー。


「だめだよ。あたしまだ満足してないもん!」

「ちょ、まどかさん、何言ってるんですか?」

「あたしが一番だからね。ターニャは第二婦人だからその後ね。」

「ちょ、ちょと待って。連日連夜、複数回の登板はいかがなものかと…。」

「カズ殿、私どももおるのですが。」

「ジュークさん、そうですよ。」

「まどかさん…、俺、近いうちに死ぬかも…。」

「シメさん安心して。そんな事はさせないからね。

 ちゃんと順番で。今日はあたしとターニャ、明日はあたしとアルル、明後日はあたしとルナね。」

「ちょ…、二人は確定なんですか?」

「だって、あたしは正妻だからね。それに、あんなにも気持ちいいんだもん。」


今のまどかさんの発言により、三将ズの目が肉食獣の目になった…。



「カズさん、ありがとうございました。愛し合うって、こんなにも気持ち良いんですね。」

「でしょ~。ターニャもそう思うよね。

 シメさん、実はテクニシャンなんじゃない?」


まどかさん…、どこでそんな言葉を覚えてくるんだろうか…。


「俺には分からないよ。でも、こうしたい、こうしてもらいたいって思う事をしてみれば愛し合う事になるんだと思うよ。」

「へー。そうなんだ。じゃ、ちょっと試してみよっと。」


まどかさんが布団の中に入って行く。

ひゃ。こりゃ、なんてことをするんだ。


「ひめひゃん…きもちいい?」


こりゃ、くわえながら喋るんじゃない。


「魔王様、一体何を…。え!すごい!回復魔法無しでこんなに…。」


こりゃ、ターニャ、リアルに実況するんじゃない!

って、ターニャも参加するんじゃない!


はうぅ…。女性陣もテクニシャンじゃないか。

それじゃ、ということでまどかさんの可愛いお尻をこちらに向けてっと。


「ひゃう!」

「魔王様…カズさん…、凄いです…エッチぃです。」


大運動会が始まり、灰になりました…。

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