第2話 マック

「何食べようかなぁ。来たのはいいけど、こういうファストフードって後が気になんのよねぇ」


「この後、カロリー消費したいなぁ」


 チラッ


――――――――――――――――――――

 僕は、放課後に美希ミキとマックに来て、何を注文するか考えていた。

 隣にいる彼女は、なぜか腕を組んでいてその豊満な胸を押し付けながら、店内の喧騒に負けない様に耳元でささやいてくるんだ。

――――――――――――――――――――


「そんで、君は何を注文するの?

 あー、バリューセットね」


「シェイクも頼みたい? わかるー。マックのシェイクは何故か美味しいよね。でも追加すると多すぎる気がするなぁ」


「それじゃ、シェイクをシェアしようよ」


「ねー。いいでしょ? アタシに太って欲しいの?」


 …………


「そういうのが好み? それなら頑張るけど……」


「なーんてね。まぁ、胸はもうちょっと欲しいんだけどさ」


 むにゅ むにゅ


「そうだ! アタシと一緒にジムで筋トレしない?」


 ⁉︎


「他の子を誘っても興味ないって言うし、いつもボッチだからさ」


「……来て欲しいって思っちゃダメ? かな?」


 ギュギュ

 ウルウル


の人は♡コースがあって、タダで試せるよ?」


 ドキドキ


 コクコク


「ホント! 良かったぁ。それじゃ今度の週末よろしくね♪」


 ピトッ


「今回のお会計はアタシが払うよ。お願いを聞いてもらっちゃったしさ♪」


「『それじゃ気が済まない』って? それならこの後にさ、カラオケ奢ってよ♪」


 ⁉︎


「あ、すみませーん。カードで払います。はーい」


 ピピピピピ


 ジー


 サラサラ


「払っちゃった♪」


 ギュ


 むにゅ


「これで、君はもうアタシの言うこと聞くしかないよね♪」


 ピトッ


 むにゅむにゅ


〜 〜 〜


「はーい。アタシ達のでーす」


「それじゃ、席に行こっ♪」


 タタタタ


「んーと、空いてる所はぁ……あそこにしよっか」


 コツン


「そ、れ、で……この後どうする?」


「『なにが』って、カラオケだよ。カ、ラ、オ、ケ♪」


「本気に決まってるじゃん。アタシはいつだって本気だよ♡」


 ドキドキ


 ??


「なーんでそんな事言うのかって顔してるねぇ」


「アタシが電車で痴漢にあいそうになった時、助けてくれたじゃん。覚えてる?」


 コクコク


「あの時って、東京に出てきたばかりでさ。どうしよーかと思って声かけてくれて助かったんだよね」


「あとね、アタシが追試になった時」


 コクコク


「勉強教えてくれたじゃん?」


 ふむふむ


「アタシ体動かすのは好きなんだけど、勉強はあんましなんだよねぇ」


「でも、君に教えてもらった時はさ。なーんかこう、頭に入って来たって言うかー。こう落ち着くっていうかー」


 コクリ


「ま、そんな感じ?」


 コテン


「だから、アタシが運動て言うか、筋トレダイエットを教えてさ」


 うんうん


「君がアタシに勉強教えるのってのはどうかな。って考えてんの」


 …………


「その顔、分かるよー『走るのめんどいな』って顔してる」


 ドキッ


 ピュー


「走るのも良いんだけどねぇ。有酸素運動ってすると筋肉減っちゃうのよねぇ」


 ?


「いや、筋肉付けてカロリー調整する方が痩せるよって話」


 ??


「ようは走らなくて良いんだよって事。楽でしょ?」


「どう? 興味出て来た?」


 コクコク


「よかったー。それじゃ、よろしくね♪」


「まずはシェイクから……やっぱ最初の一口が一番」


 パクッ


 チュー チュー



「んー。美味しー。なんでこんなにバニラシェイクって体に響くんだろう♪」


 チュー チュー


「んんぅ♡ もう、ちょっと♡」


「ハァハァ、もうやめないと……でも……はぁはぁ♡」


 ん ぐぐぐぐぐ


「ど、どうぞ……」


 ぐぎぎぎぎ


「……アタシはもう良いから。さぁグッと底までイって」


「ググっと」


 ドキドキ


 はぁはぁ


 チュパ


 ごきゅごきゅ


「どう、美味しい? アタシの唾液入りシェイクは?」


 ⁉︎


 ブハッ


「ふふ、そんなに嬉しかった?」


 げほっ げほっ


「大丈夫? コーラ飲んだら」


 あーん


 ゴクゴクゴク


「それも、アタシのだけどねw」


 ‼︎


「さてと、ハンバーガー食べよっと♪」


 パらり


 カプッ


 もぐもぐ


 ごくり


「このパンとお肉、それにケチャップの香り……」


「普段あんまこういう物って食べないんだけど、今日はトクベツだからね♪」


 パクパク


「このマックのそっけないポテトも……絶妙な塩っぱさ」


「手が止まらなくなるけれど……ダメ、ダメなんだからぁ♡……で、でも……」


 ??


「『なんでそんなに頑張ってんだ?』……んーアタシってさ、中学の時はちょっとこう、ふっくらしてたのよ」


 ぷよぷよ


「んで、このままじゃダメって高校入る前から筋トレし始めたんだー」


 ??


「ほら、アニメでやってたじゃん筋トレやってる女子高生のやつ」


 コクコク


「あれ見て始めたらなんかハマっちゃった♪」


「それからジム行く様になって、って感じだねー」


「でも、今日は休養日だから暇なんだぁ」


「だからさこの後……」


 プルッ


「スマホ鳴ってるよ」


 パッ


「誰から? あー、お母さんから……って、家に連絡してなかったの?」


 ……


「それなら、ちょっと貸して♪」


 スパッ


 カッ  カッ  カッ

   カッ  カッ  カッ  ピッ


「うん、これでよしっと♪」


「今日は遅くなるってメッセしたよ」


「だってぇ、この後一緒にイクよね?」


「カ、ラ、オ、ケ♪」


つづく

――――――――――――――――――――

あとがき


マックシェイクって美味しいですよねぇ。

(やはり、この展開に既視感が……う、頭が……)

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