第64話人の縁
「ねぇ、恭介さん?何時ものマスコミの人達と、連絡取れる?」
「どうした?」
「来夢の彼女の事、分かったら報告しますって約束したの」
「あ~それで静かになってたんだ、じゃあ
取ってどうしたらいい?」
「私の事務所に、来て貰って欲しいんだけど」
「了解」
そして、未来の事務所に、マスコミがやって
来た。
「あの~未来さん、今日は?」
「前に約束していた、来夢の彼女の事です」
「お会いになったんですか?」
「はい!可愛いくて、本当にいい子でした!
お付き合いしているので、来夢への
インタビューは、いいですけど、彼女は
一般の人なので、そっとしてあげてくださいね!そして、暖かく見守ってあげてくださいね!」
「未来さん、忙しいのに約束を忘れずに
守ってくれたんですね!」
「はい!約束ですからね!」
「我々も必ず、約束を守りますよ!安心して
ください!」
「ありがとうございます!今日は事務所
なんで、おにぎりは出せませんけど
すみません」
「ハハハハ、又、楽しみにしときますよ!」
「じゃあ、我々は引き上げます!」
「未来さん、議員のお仕事、頑張ってください!応援してますから!」
「はい!ありがとうございます!」
引き上げる、マスコミ。
「未来さん、益々、魅力的になったよね!」
「本当に、忙しいのに約束を守ってくれて!」
「凄いよね!」
口々に、帰って行った。
未来は事務所に入ると
「谷脇さん、ちょっと」
「はい、何でしょう?」
「あのレディースの子達って、大学受験する
って、言ってたけど、その後連絡は?」
「あ~そうでしたね!」
「あ~じゃ無いわよ!直ぐに連絡して
みんなに悪いけど、事務所に来て貰って!」
「はい!直ぐに連絡します!」
連絡をする谷脇。
「先生、今みんな大学に、行ってるそうです!そして明日、事務所に来るそうです!」
「そう、分かったわ、ありがとう!」
「あの~先生どうされるんですか?」
「大学の合格祝いを、してあげないとね」
「先生……」
(この人は、本当に凄いな!)
翌日、事務所にやって来た、元レディースの子達。
「お姉さん、お久しぶり~」
「お久しぶり~じゃ無いわよ!受かったなら
受かったって、連絡しなさいよ!」
「だって、お姉さんは忙しいから、遠慮
したんですよ!」
「何、子供が大人に、遠慮なんかしてんのよ!」
「えっ!私達って、まだ子供?」
「私にしたら、これからも、ずっと子供です!」
「ハハハハ、何かお姉さんに言われたら
嬉しいな!うん!子供でいいや!」
「みんな、良く頑張ったね!合格おめでとう
はい、これ」
「えっ?」
未来は10人の子達に、プレゼントを渡した。
「お姉さん、何?」
「合格祝いよ!10人お揃いの万年筆だから
ちゃんと、元レディースって、ネームを
入れて貰ってるからね」
「え~!それは、要らないでしょう!」
「いいの!記念だから」
「お姉さん、ありがとう!最高のプレゼント
だよ!これで又、勉強頑張って、卒業したら
私達は、お姉さんの事務所に就職するから
よろしくね!」
「あら~楽しみね!待ってるわ、フフフ」
又、未来の事務所が、賑やかになりそう
だった。
未来は嬉しかった。
手を振って帰って行く子達を、谷脇と見送った。
「先生!あんなに忙しいのに、何時の間に?」
「谷脇さん、人の縁という物は、大切に
しないとね?」
「はい!勉強になります!」
すると未来が、谷脇にそっと右手を出す。
「先生?その手は?」
「谷脇さんが、勉強になりますって言うから
授業料でも、くれるのかな?って思って」
「もう~先生~」
笑う2人。
「でも谷脇さん、あの子達が、このまま
順調に行って、本当に自分のしたい事を
見付けてくれるのが、1番の私の望み
だけど、人生は色々有るから、挫折も
味わうでしょう!それを乗り越えれる子は
いいけど、無理な子は、うちで働いて
貰いましょう!その時は又、力を貸してね!」
「先生……」
谷脇は泣いてしまった。
未来の優しさに、胸が熱くなり堪えられなかった。
「谷脇さん?大丈夫?」
「はい!先生、何でも、おっしゃって
ください!私は絶対に先生の側から離れ
ません!先生の手となり足となり働きます!」
「絶対、離れませんて、ストーカーにでも
なる気?」
「もう~」
そして又、2人で笑う。
2人には、幸せな時間だった。
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